邪龍グィグィラゲヴァーン
1
「はじめまして、三輪と申します。よろしくお願いします」
「我ハ、グィグィラゲヴァーン。コチラコソ、ヨロシク」
「なんだか恐ろしい方だと思っていました」
「ウム、ニンゲン達ニハ怖ガラレテイル。ダガ、コチラカラ手出シシタコトハ、無イ」
「そうですか。……実はグィグィラゲヴァーン様にお願いがあるのですが……」
グィグィラゲヴァーンは首?を振った。
「卜部殿ノヨウニ、『グィーさん』デ良イ。コチラモ、三輪殿ト呼バセテイタダク」
「ではグィーさん……いや、グィー殿と呼びます」
「フム。デ、願イトハ?」
「ピピカドラグィラルを閉じ込める結界を、お願いしたいのです」
グィグィラゲヴァーンは頷いた。
「ナルホド、周囲ニ害ガ及バヌヨウニカ。ソシテ、卜部殿ガ拳デ言ウコトヲ聞カセルノダナ?ソレトモ、三輪殿ガカ?」
「いや、僕は無理です。卜部さん、よろしくお願いします」
「えっ?三輪さんかゴッドさんがやると思ってたんだけど。……まあ、いいか」
2
『ビガジャ!ビガジャ!ビガジャ!ビガガガガガガガガ!!」
「我ノ結界カラハ、出ラレヌワ!」
グィグィラゲヴァーンの結界が、ピピカドラグィラルと卜部翠隼を包んだ。
「何事だ!?……なっ!ピピカドラグィラルをどうするつもりだ、非国民どもが!!」
ピピカドラグィラルを召喚した者達が集まって来た。その後ろには、七色に輝く立方体ボディに三角形の頭部が屋根のようについた足が多数の触手で構成されたモノがあった。
「……七色のデンキパイロット……!」
「三輪殿、我ハ結界ノ維持デ精一杯ダ。済マヌガ、奴等ハ任セル」
「……わかりました」
ギュラララ!
「ハハハ!七色のデンキパイロットは、デンキパイロットの中ではかなり強力な型だ。脳髄からギョロギョロしたドス黒いモノを流して死ね」
「なるほど、七色はそういう仕様か……」
「無能者ヲ排除シマス。ビラビラビラビラ!」
七色のデンキパイロットは、三輪へと腕を伸ばした。腕の形状は、クレーンゲームのアームの様な形状だった。
三輪は斜め前へとかわし、七色のデンキパイロットの頭部へ縦拳を打ち込んだ。
ガイン!
七色のデンキパイロットは、頭部に「七色」という文字と発電所を表す地図記号が書かれている。三輪の拳は、「色」と書かれた部分をわずかにへこませた。
「ビラビラビラビラビラ!ビラビラビラビラビラビラ!」
「ちっ!……笑ってやがる。まだ卜部さんから習った対機械用の技は、使える自信がない。……落とすか」
北の海に面した道路で、三輪は戦っていた。ガードレールの先は崖で、10メートル下に海があった。海水からは、所々岩がのぞいている。
「ビラビラビラ!無能者ヲ排除シマス!」
七色のデンキパイロットが、凄い速さで三輪に突っ込み……外れた。三輪には当たらず、ガードレールを突き破った。
三輪は、ガードレールが破れた場所から下を見た。
「あー、ダメージあんまり無さそうだけど、登れずに転んで……また海に落ちた。……俺は活躍しなかったが……まあ、良し」
三輪は、ピピカドラグィラルを召喚した者達の方向を向いた。そして「ニヤリ」と口で言った。
「くそっ!……だが、七色を使えなくした位で、いい気になるなよ。まだ、灰色のデンキパイロットがある!」
「……どこに?」
道路にそれらしいモノは……無い。海にも……無い。
三輪は首を傾げた。




