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ピピカ召喚


「ピッピカルー!」

「ピッピカルー!」


暗い海に向かい、人々が叫んでいる。


「ピッピカルー!」

「ピッピカルー!」


海は黄色く濁り、波は荒い。轟々と鳴る風の音より更に大きく、人々の声が響く。


「ピッピカルー!」

「ピッピカルー!」

「ピーーカーールーーー!!!」


ひときわ大きな叫びが終わった時、目を開けられない程の光が生じた。

直径5メートル程の光輝く目玉に、20メートル以上はあるアザラシの様な胴体のついた存在が出現していた。


「おお、ピピカドラグィラル様だ……」

「光竜神ピピカドラグィラル……、本当に招くことが出来た」

「これで我らに歯向かう奴等を消滅させられる。ついでに、エネルギー問題も解決だ」


海に向かって叫んでいた人々は、彼らがピピカドラグィラルと呼ぶ存在をどこかから招いていたらしい。 興奮している人々の前で、ピピカドラグィラルと呼ばれたモノは何も言わずただ輝いている。

そして、人々の中から一人の男がピピカドラグィラルのに近づき、何か話しかけた。







「いらっしゃいまし」


その店のカウンターの中には、蝶ネクタイを着けたブタがいた。


「マスター、ワイルドピッグをロックでください。あと、乾燥リンゴの皮」

「はい、三輪さん。今日は、いい残飯が入ってますが、いかがですか?」


マスターと呼ばれたブタは、器用にグラスへと氷と酒を注ぎ、彼が三輪と呼んだ客に渡した。


「いや、ちょっと残飯はいらないかな」

「そうですか。まあ、三輪さんもこのブタ酒場に入って来れるからには、そういう存在なんでしょうが。でも、一応ニンゲンだったはずでしたね。あれ?鬼でしたっけ?」

「うーん、自分でもよくわからないです。汚鬼とか邪鬼とかになるのかな」


マスターは、剥いた後のリンゴの皮を乾燥させたモノを皿に盛って出した。


「しかし、初めてこのブタ酒場Tonに入った時は驚いたなあ。ザ・路地裏って感じの所にブタ酒場なんて看板があったから、つい入ってみたら本当にブタがやってる店だった」

「本来、お客さんもブタ族しか来ない結界はってたんですけどねぇ。こっちもビックリしましたよ」


三輪は酒をぐいと飲んで

から続けた。


「まあ、僕もブタ野郎とか言われてたしなあ、賃労してた会社では」

「はあ、ニンゲンの世界は世知辛いですねぇ」


三輪とマスターが、苦く笑っていると、ドアが荒々しく開かれた。


「ブフィ!大変だ、ピピカドラグィラルが現れやがった!」


目付きの悪いブタが、店に入って来た。

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