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死の恐怖

最近眠いんですよねー。


冬になるとホルモンバランスの崩れによって眠くなったり、甘いものが欲しくなったりするそうです。


朝シャワーが効果的らしいです。



ズグッ



身体に振動が走る。


しかし、痛いとは思わなかった。


自分が自分でないような感覚。



・・・もう何もかもどうでもいいと思っていた。



汚された自分の体。


殴られ続けた顔はあざだらけで、とても見れたものじゃないだろう。


もう、彼に振り向いてもらうこともできないだろうし、その機会もないと思う。


今日も昨日からの行為で喉は枯れ、声も出ず、呼吸も浅く、顔は腫れ、節々や、性器が悲鳴をあげていた。


何も考えられなかった。



何処かに連れてこられた。


沢山の人が叫んでいるのが聞こえた。



楽しそうだ。


隣に彼が倒れた。


彼も同じ目にあっていたのだ。









「ーーーは、男の方から。やれ」




ザク



目の前の砂を誰かが踏む音がした。



砂の匂いが一段と濃くなる。



男の方から・・・・?



















ズグッ











僕の身体に振動が走った。



本当に避けるつもりはなかった。





死んでもいいかと思っていたから。





だから、何故自分が斧を躱したのか分からない。




反射的に身体は反転したのだ。






砂の匂い。


暑い気候で、砂の焦げた匂いがした。



腕が少し切れて、血が流れているのに気がつく。



・・・なんで避けるんだろう



死んでもいいと思っていた筈だったのに。






斧が振り下ろされる。



ヒュッ



必死で転がる。


ザッ



地面に斧が刺さる。



観衆がヤジを飛ばす。










逃げた。



必死で逃げた。


折れてしまっている左腕の肘から先が、ブラブラと振れる。




痛い。





首輪についた鎖がジャラジャラと音を立てる。


足の鎖はすでに外されていたが、一日中締められていたために、走るだけで痛みが走った。



観衆は楽しそうに笑っている。


「ほら、早く殺せー」



「頑張って走らないと捕まるよ〜〜」



観客はこの展開を楽しんでいるようだった。



円形の会場を走る。



走っても逃げれるはずがないのに。


必死に生を求める自分に驚く。


しかし、脱水症状と昨日からの負傷による激痛が僕の体力を奪っていったのだった。


















「なかなか死なんか。ふむ・・・。あれを使うとしよう。」



ヌベルスはニタリと笑う、



そして部下にあることを命令したのだった。





















遂に秀忠の体力は尽き、鎖にもつれて倒れてしまった。



しかし、追ってきていたはずの処刑人も、他の死刑囚を監視していた兵士も消え、闘技場には秀忠達のみになっていた。



『どういうことだ?』


「まずい。少年っ。できるだけあの扉から離れるんだ!」


この男はベルン。



秀忠と共に囚われていた研究者である。



「何故ですか?」



「奴らが来る!君の友達も一緒に離れるぞ!」



秀忠は凛を担ごうと腕を掴んだ。



その瞬間、


「ひっ」


怯えた声。


一瞬彼女から出たものと分からなかった。


「僕だよ。浅沼だ。何か来るらしい。担がせてくれるか?」


彼女はこくんと頷くと僕の背中に乗った。


顔や、腕、首、足、見える肌すべてに酷い痣があった。


『酷い。』


彼女が首に手を回し、ぎゅっと秀忠のボロボロになった服をぎゅっと掴んだ。



そこに、いつも自信に満ち溢れ、よく笑う、元気な彼女の姿はなかった。



彼女が受けた仕打ちにを想像し、怒りを覚えた。












「我が民よ!よく聞け!」


ヌベルスが叫ぶ。


「今より、この者たちにさらなる罰を下したいと思う。

《human》を使う!」



ざわざわと会場が不穏な空気になる。


「安心しろ!今回も鎖に繋いである安全な《human》を使う。

それに、《human》の跳躍力では、この高さの壁を越えることはできないことがわかっている。」



雰囲気が和らぐ。


そしてまた、新たな展開ひ期待する声が飛び交いはじめた。



「なんなんだ?《human》?新しい処刑人が来るのか?」


秀忠の問いにベルンが震える声で答える。


「《human》。ウイルス感染者は突然変異を起こし、意識を失い、身体が、変質した存在のことをいう。」



「はい?」



「だから・・・」





ギィーーーーー



闘技場の壁にある大きな扉が開く。



「何もいないじゃないで・・・」








ジャラ









ジャラ








ジャラ




















【鎖の音と共に《それ》は現れたのだった】




























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