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悪役勇者の復讐 If

作者: 向日葵

ザクり、という音がした。きしぁ、という音がした。ががが、という音がした。ぐるる、という音がした。りりり、という音がした。ずずず、という音がした。グチグチ、という音がした。ぎぎぎぎぎぎ、という音がした。しぁあしぁあ、という音がした。ぐぎぁぎぁぎぁぎぁ、という音がした。ボキボキ、という音がした。みぢみぢ、という音がした。


ぎぎぎぎぎぎぐぎぁぎぁぎぁぎぁぐちゃぐちゃずずずりりりズドドドザクザクガガガがガガガかりりりりりりりしぁあしぁあしぁあしぁあぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃじじじじじじじじじじじじをくくクククククククククダダダダだじゅうじゅうきききききききききき



そして最後に、ストン、という音がした。


眠りそうになる瞳を押し上げ、霞んだ目で《それ》を見る。



誰かが《それ》を魔王と呼んだ。



おい、まおうはたいじされたはずだろう!?

なぜここにいる!?

だれかおうきゅうにれんらくしろ!!!

たすけて、ゆうしゃさまぁ!!

ぎゃあああああ!!!!!

うわあああああ!!!!!!




なぜ、どうして。




それだけの言葉も使えない。


なんとか言おうともがくが、すぐに力が抜ける。


だめ、ここに来てはダメ!!!!!!!

今すぐ逃げて!!!!!!!




だけど役立たずな私の体は、わずかにくちびるを動かしただけだった。



今にも閉じそうになる瞳を必死で押し上げる。



魔王は…?、消えた?


いや、まずなぜここに来た?


魔物をけしかけに来た?




いや違う。直感が働く。


私を見に来た。そう思った。



ああ、しまった。もうだめだ。あるはずのなかった力を使ったせいか、考えがまとまらない。




ぐちゃぐちゃになっていく。




「願うは回復

暖かな光によりて全てを治す

我の希望は癒すこと

人々笑みて受け入れよ

ヒール」



意識が落ちる直前。

ふと、暖かい何かに包まれる。




何度もこの身に受けた覚えのあるそれは。



「……回復呪文?」



え?誰が?どうして?私に?


まさか、アレ?


違う。彼女は人間側。その前に私に味方するわけがない。


「なあ、勇者。」


ポカンとマヌケヅラを晒す。




え? ・・・ 魔王?


「いろいろ考えて見たんだけどよ」


あー、とかいいながら私の目線に合わせる。


「お前が消えたらまた他の勇者が出てくるんだろ?」


声、出ねえのか? と言いつつ、そっと私の喉をさする。

その手が驚くほど優しくて。暖かくて。乾ききった心にじんわりと染み込んだ。


気づけば、ボロボロと泣いていた。


「うおっ。泣くなよ、な?」



温かい。困った顔で何度も頭をさする。



「ええっとな、勇者。俺が言いたいのはな、俺んトコ来ないか?って話なんだが。」


こくこく


「即答!?え?それはどういう意味だ?」


分かっているくせに。


「行く。」


「行きたい。」


「あなたのところへ、行かせて。」



周りが地獄絵図のようなさなか、私は彼にそういった。










































その後の事は単純だ。

勇者であるあいつと魔王である俺が手を組んだ。不可能?はっ。あるわけねえだろ。



あの王国は滅ぼした。民共の、最後まで勇者を信じていた姿勢には感動したさ、ああ。 嘘じゃない、本当にだぜ?



だが、真の勇者は自分たちが殺そうとしたあいつで、偽物が信じていた奴と知った時のあいつらの顔は面白かった。あいつにドン引きされるくらいに嘲笑った。





「何やってるの?」


「ああ、何でもないさ。ただ、楽しみだなあと思ってな。」


「…だからといって、そんなにヘラヘラしないでよ。きもい。」


「あと、もう一つ。」





「男か女かわからないのに、そんなにものかう必要どこにあるの!?」




あいつと、俺は幸せを掴んだ。


ただ、それだけだ。





























































































間のお話





うーん?と首をひねる。

出力50

威力50

という平均的な魔法«fire»

「死なない程度」がどれくらいか全然知らないから、一応これくらいから初めて見たんだけど。


「死んじゃうとか、ふざけてるよね。」


ま、いっか


«ribo-n»


この世界では結構当たり前に使われている復活の呪文。

それを、死んでいったやつに使う。





あ、目覚めた。


「あ、う。」


嫌だなぁ。カタカタって震えて。

そんなに怖いのかな?


くす、と笑みがこぼれる。


後ろには、まだまだたくさん私と一緒に遊んでくれる人がいる。

こいつは最初。


私を殺そうとした

私を消そうとした

私をこの世界へ呼んだ

私を誑かした

私をはめた

私に討伐を強制した

私を苦しめた





だから、


「こ、殺さないで、、、くれ、、、」


思わず首をかしげる。


ああ、こいつは


「殺すわけないじゃない。」


希望の輝く顔


「もちろん、たっぷり拷問して、そのまま生かして上げる。」


「他の奴が終わったら、一緒に殺して上げる。」



カタカタと震える。



「ああ、この世界では知らないだろうけど。

死後の世界って実際にあるんだよ?

天国、地獄、

その中間地点がここ。

いやー。皆さん怒ってたよー。

違う世界の人呼んで、しかもはめて殺そうとするなんて!!

怒り狂うって、あんなことを言うんだねぇ。」


笑顔で。

全員に聞こえるように。


「でもね、一般人は許すって。

でも、それなりの代償は支払ってもらうけど。」


知らなかった人々を巻き込むほど、私は落ちぶれていない。


「でもね、あなたたちは違う。」


さて、と。


「もちろん、私は協力するよ。」


ただし、


「ちょっとぐらい、自分で仕返ししても、いいよねぇ。」



«ribo-n»使わせてくれたし。



さあ、拷問を始めよう。

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