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最初の今日

初投稿です。

半年くらい前からちょっとづつ書いてて溜まってきたので吐き出しました。

ぶっちゃけ書くだけ書いてろくに添削してないので非常に読みにくいと思います。

はい、以上

 夏空に流れる雲は、どこか芸術的だ。

いつもより駆け足で動くそれは、まるで絵画の中から飛び出してきたように美しい。

昼下がりに、学校の屋上でそれを見上げたなら、なおさらそれを感じ取ることができる。


しかし、俺は断じて空を見るためだけにこんなところでこんな真っ昼間から空を見上げているわけではない。

思春期にありがちなナルシズムによく似たものだけで俺がここにいたのなら、この状況は最高だっただろう。

もしもそうだったなら、俺はきっとニヒルに笑いながら、状況を堪能していたに違いない。

残念ながら俺はそういったものには本来あまり興味がない。


だが、なかなかどうして悪くない。

鳴り響く始業のチャイムを、雑多な喧騒のひとつに数え、意識の外へと追いやる。

慌ただしい声を背に、ゆっくりと流れていく時間を享受する。

貯水タンクに背を預け、物思いに耽るでもなくひたすらにぼうっとする。

うるさい蝉の声と、アスファルトから照り返す熱気が暑苦しい。

しかしそのいかにもな感じがまたいいのだ。


こんな時間が永遠ならば、と少し前の俺は思っただろう。

誤解されるのも嫌なので言い訳させてもらうと、これは決してサボりではないのだ。

これはあくまで戦略性のある自主的欠席であり、決して意図無き怠惰によるものではない。

こういうのをルサンチマンとでも呼べばいいのだろうか?

先日の倫理学の授業で若さがどうとかいう意味だって言ってた気がする。

そうだ、これはルサンチマンだ。

若さゆえのルサンチマンだ。

こういう感じで小難しそうな単語を並べてサボりの言い訳を考えていないと、サボりの負い目に心が負けてしまいそうなのだ。

全く、こっちだってサボりたくてサボってるわけではないのに何故こんな思いをしなければならないのか。

あぁ、考えるほどに真綿で首が締まっていく。

その真綿にかかっている力は紛れも無く自信の思考によるものだ。


だからもうやめよう。

考えすぎもまた、体に毒だ。

そうして言い訳したり反省みたいなことをしたりしている間も、綺麗な空はそのまま綺麗であるのだ。

ふと、屋上へのドアが、ぎぃっと音を立てた気がした。

安寧をぶち壊す昼間の侵略者だ、きっとハリウッドも真っ青なイカれた野郎に違いない。

ハゲな黒人がショットガンを持って貯水槽ごと俺をハチの巣に加工していくにちがいない。

俺のぼうけんはここで終了、はいはいコンティニューしようぜ。

あぁ恐ろしいリアルよ、悪霊退散。


そう思っているとゆっくりドアが開き一人の女生徒が現れる。

背は小さめで黒い髪の毛でセミロングのとてもかわいらしい人だ。

俺は彼女を知っている。

彼女もまた、俺を知っている。

「あぁやはりこんなところにいた、君の行動は本当にわかりやすいね」

平穏と安寧と自由とそれからきれいな青空よ、さようなら。

誠に遺憾ながら、この不躾な侵入者がこの穏やかな気配を吹き飛ばしてしまったようだ。

「なんだいその顔は?折角白昼堂々授業をサボる友人を気遣って見に来てやったというのに」

眉根を寄せて、心底呆れたように言ってくる。

「俺はサボってるわけではないんだなこれが、いわゆるひとつのルサンチマンというヤツだ、どうだ哲学的だろう?」

「意味不明だよ」

「あぁやっぱり」

ばっさりと切り捨てられるなけなしの俺の言い訳。

どうやら思っていたとおりに間違っていたようだ。

「わかってたなら言わないことだね、無知を晒すほど恥ずかしいこともない」

心底どうでもいい会話を繰り広げている相手は俺の妄想の中のキャラクターである『一ノ瀬 一二三』という。

実にイタいだろう?自分でもわかってるのさ

けれども人は孤独には耐え難く、時として妄想に逃げることもあるのだ。

自らの意思で現実から逃避している時は特に。

「というわけで妄想の中の友よ、俺の前から消えてくれ……今は一人になりたいんだ」

「誰が妄想か、失礼だね君は」

嘘である、現実である。そして非情である。

ちなみに名前は本当だ、変わりまくっているお名前だ。

「さて、何か新しい発見はあったかい?もう今日で通算81回目の6月20日だ、いい加減にこのウザったいセミの合唱を真似できるようになりそうなんだよボクは」

「何も考えてない」

「無責任だねぇ……」

「そりゃ俺に今日を終わらせる義務も無ければ責任もない」

「一理ある、無責任と言うのは正しくなかった、ただ『のんびり』だねえと言ってやれば良かったかな?」

「失礼なことに違いは無い」

「まぁそんなことはどうでもいいんだよ。」

「"今日"についてだろ?」

「そうだよ、今日こそ何か思いついたかい?」

「全く、第一だな、俺たちがどうにかする必要があるのかこれ?どうにもならないんじゃね?」

「手があるなら尽くすべきだ」

「俺たち以外にも誰か"今日"にはたらきかけている人がいるかも」

「今まで僕達しか今日を認識してる人に出会わなかったのに?」

「やめよう、この話は……もし、なら、たら、れば、そんなことを今考える元気が無い。いい加減面倒になってきたまである」

「言われてみればそうだ、僕たちは困らないんだからそれで良いといえば良いな」

「だろう?だからとりあえず……寝るか」

「全く君は素晴らしく無責任だね、まぁ今更焦ったってしょうがないし僕もゆっくりするよ」

事実とは小説よりも奇なり。

誰かが言ったその言葉を、俺はこうなるまでずっと疑い続けてきた。

いいや小説の世界のほうがずっと愉快だ。

ところがどっこいそうでもないらしい、ということを俺は何回目だかの今日で把握できたのだ。

俺達の世界は、ある日を堺に一日を繰り返している。

現在、六月二十日。

それを早3ヶ月分近く過ごしている。

細かい日数は先ほど一ノ瀬が言ったとおりに81回目らしい、よく覚えてる。

小説の主人公よろしく最初の頃それはそれは戸惑った。

けれどどうしようもないし折角だからといろんなことを試したもんだ。

あ、いやらしい意味じゃないよ?ホントだよ?

一ヶ月分ほど過ぎた頃だろうか、俺はこいつと出会った。

いつもの日常をいつものように過ごそうと登校した俺は校門のどまんなかで呼びかける彼女を見て度肝を抜かれたんだ。

『今日という日を繰り返していることに気付いている人間はいないか!?』

普通そんなことを言ってるヤツがいれば100%まじりっけなしの近づいちゃいけない人扱い間違いなしだが。

あるとき突然、しかも心当たりのありすぎることを言い出したなら話は別。

俺は散々叫び疲れて一瞬黙った隙を狙って話しかけた。

『そうだな、前回の今日にお前はいなかった』

『ようやく現れたか!!名乗り出るのが遅い!!』

そもそも名乗り出る義理も無かったので大変言いがかりなのだが

それでも怒りながら半泣きで安堵の笑みを浮かべる彼女を見てもなお付ける悪態の一つも俺は持ち合わせていなかった。

案外これで素直なヤツなのだ。

彼女は、もしかしてループに気付けるのが自分だけなんじゃないのか?という孤独感がどうしようもなく表情に出てしまったんだろう。

俺か?俺は正直どうにかなるんじゃないかって思って特に不安は無かった。

存外自分に異常なことが起こったとしても冷静になれるもんだ。

一日を繰りかえすくらいじゃ俺のこの鋼の心をゆさぶることはできやしない。

さて、話が逸れてしまったがこうして俺は『俺たち』になった。

なんてことはない、誰かの表現を借りるなら『青空同盟』ってところだ。

このイカれた状況のなんともならなさを痛感しながらも足掻き続けて、いつかはへたどり着く。

ただそれだけの、たった二人だけの同盟だ。

最初は一ノ瀬の方はなにか知っているんじゃないかと思ったのだが……

どうやら一ノ瀬も何も知らないらしい。

最初の六月二十日夜に寝て、再び目が覚めたらこうなっていたとのこと。

というより俺も全く同じ状況としか言えないのだ。

細かい状況はもう覚えていないし、何か特別なことがあった気もしない。

つまりは、だ

「俺達は何もかも到底理解不能な状況を何も心当たりの無いまま手探りで解決しようとしているわけか」

「探せど何も出てこないからねぇ……しょうがないよ」

5ヶ月程度が経過し、それでも同じ行動を取り続けることを意識的に行うことができる人間は極めて少数だろう。

俺たちは毎日いろんな場所へ行っているが変化は全くない。

いや、記憶以外に記録が行えない以上確実に変化が起こっていないとは言い切れないのだが………

少なくとも俺達が観察する限りだとなんの違いも見受けられない、ということだ。

「これは前にも言ったかもしれんがやはり独りでなくて良かったと本当に思う」

「そうだねえ、たとえ僕でもこの状況で一人だったらとかんがえると恐ろしいね……正気を保っていることが果たしてできるだろうか」

「自分から振っといてアレだけど。たらればの話はやめよう、ただでさえ何事も目星が付かず絶望的なこの状況でさらに暗くなっては大変だ」

「揃いも揃って一日でうつ病にはなりたくないものだ」

「鬱になったら尚更このループから抜け出せない気がするのは俺だけか?」

「いいや僕もそんな気がしている」

「そうか」

「そうだよ」

この時期の太陽はほんのすこしばかり暑い

だが日焼けなどは全く気にする必要はない、どうせ無かったことになる。

「さて、こうして考えてたって無駄だな……今日の予定は?」

「となり町のオフィス街ってことになってるけど?」

「今の時間は?」

「4時だね」

「となり町までどれくらいかかる?」

「30分か1時間ってところかな行ったことないからわからないかな」

「2時間程度しか動けなさそうだな」

「状況は最悪だね」

「でもやるしかない」

「そもそも律儀に学校に来る必要があったのか?」

「今日は登校して作戦会議の日だからだろう?」

「あーそうだっけ忘れてた」

「それはいけない、今忘れるということは致命的だってことをよく覚えておいてくれ」

「はいよ・・・じゃあ探索へ行こう」

「そうだね」


宣言どおりとなり町のオフィス街へ電車で行き探索を始める。

かわいい女の子と二人で連れ立って歩くのだ。

年頃ならば心躍らないはずがないのだ。

かくいう俺も最初の3回目くらいの探索まではそれなりに緊張したものだ。

けれど今ではさっぱりだ。

そしてかれこれ1時間が経過し、夜の帳がその気配を濃密にし始める。

しかし、あらたな発見は無い。

と、いうよりも何を探せばいいのかわかってないのだ。

過去に行った様々な場所でこういたことが起こりうる『イレギュラー』を探しているのだが。

そもそもそれがどういったものかわからない。

形あるものが起こしたことなのか?

そもそも原因が存在するのか?

解決は可能なのか?

この探索に意味はあるのか?

何もかもが不明瞭、限りなく暗中模索。

どうにもならないことをどうにかするっていうのは難しいどころではないのだ。

しかし文敵を漁ろうにもこんな状況の助けになるような本とは何かがそもそもわからないのが現実だ。

時間というあやふやなものが確かに繰り返されているこの状況は一体何が原因なのか。

もしかしたら永遠にこのままなのではないだろうか?

いつもそんな不安が、頭の片隅で蟲が這いまわるように蠢くのだ。

無視していても執拗に動くそれを意識しないことはできない。

ネガティブな方へ向いてしまい続ける思考

しかしそれも二人でいれば案外平気なのだ

ああでもないこうでもないと言っているうちは”そんなこと”をも無視できてしまえる

あたりが暗くなり始め、さあ帰ろうかというときだ。

俺は視界の隅のほうで何かが起こった気がした。

些細な違和感だ。

まるで白い画用紙にミクロの黒点があるような気がしてならない程度の違和感。

いつもであれば絶対に気にすることもないであろうその違和感を。

どうしてか俺は無視することができなかった

『なに、時間はいくらでもあるんだ今日一日分くらいの浪費がなんだっていうんだ』

そう思ってパートナーへと打診する

「なあ、ちょっと今気になることがあったんだ」

世界が俄にざわめきだす。

まるで、止まっていた時間がほんの少しだけ流れてしまったかのように。

「ちょっと確認してきてもいいか?」

「構わないけど……何が気になったんだい?」

「何ってことはないがなんとなくそうしないといけない気がしてな」

「構わないけど・・・ボクも行くよ?」

「いや、一人で行かせてくれ、理由はちゃんと説明するから」

「う、うん分かった、君がそこまで言うなら」

そして気になる方向、なんてことはないビルの方へ向かう。

理由なんてない、けれど俺が一人で行かねばならない気がした。

はるか小さな黒点は更にその存在感を増し、けれど未だ発見には至らない。

確かに何かがここにある。

けど何もある要素が無い現状がかなりもどかしい。

「気のせい・・・だったのか?」

違和感は違和感でしか無く、やはり決定的ではなかった。

長い"今日"の中で俺はとうとう参ってしまったのかもしれない。

代わり映えのしない5ヶ月は一般人の俺には厳しいものだったのだろうか。

ふと、違和感という黒点が再び視界をちらつく。

ちょうど俺がどうにもならないのだろうかという思いを打ち消そうと何気なく上を見上げた時だった。

か細い違和感の糸をたぐり寄せる。

これを逃してはいけないと本能が察する。

目を凝らす、意識を集中する。

(野生の勘だなんて言いたくないが、何かがあるはずなんだ、諦めてたまるものか)

どうしてここまでムキになっていたのか、後で考えても全くわからなかった。

けれどこの時確かに感じたのだ。

可能性、この状況を打破しうる何かの気配の存在を。

そして

「なん、だ?あれは?」

少し開けたビルの隙間、そこから見える8階程度のビルの屋上

「ひ、人がッ!!」

飛び降りていた。

状況を察した瞬間、停滞している世界がよりスローモーションになる。

落ちていく人を呆然と眺めているしかできない自分の無力さを認識し続ける。

足は地面に張り付いたように動かない。

もう、どうにもならないということは明らかなのだ。

誰かが「ここから、スタートだ」と言った気がした。


そして何も出来ないまま、ここから見えないビルの下へ人は落ちていく。


あの高さだ、間違いなく死んだだろう。

うっすらと見えた影は同い年くらいの女の子だったような気がする。

真っ逆さまな彼女の姿が延々とリフレインしていく。

目前にした人の死を前に、強烈な過負荷が自分を襲う。


一歩も、前に進めない。

進めば、見つけてしまうだろう。

俺は、踵を返してきた道を走って戻る。

少しでも早く死の気配から逃げたくて、がむしゃらに走る。

「一二三!!帰るぞ!!」

相棒の手を強引に取って駅まで走る。

相棒はなにか言った気がするがそれに返事もできないまま俺たちはこの日は解散となった

俺という生き物が想像以上に脆かったことを、俺は今日まで知らなかったのだ。


見えていなかったが、想像してしまう。

肉が地表にたたきつけられ、綺麗な肢体が無残な死体へと変貌する様子が。

それは考えまいとする度に否応なしに考えてしまう。

頭から落ちていた。

きっと最初に潰れただろう。

それから全身の骨が折れただろう。

でも頭が無いから痛みは感じることはなかっただろう。

おそらくだが、地面には柘榴をぶちまけたような状態だっただろう。

赤く、黒く、どこまでも無慈悲な死の色。

見ていないから、考えてしまう。

あの死を。

そして、気付けば疲弊し、眠りについてしまった。


夢を見ている

まさしく夢の中を彷徨う浮遊感

雲の中にいるような曖昧な意識

目の前にいるのは・・・誰だ?

「おはよう、少年。」

誰かが語りかけてくる

光がこちらに向いているからかその姿がほとんど見えない

声が中性的なこと、イスのようなものに腰掛けていることしか確認できない。

「今君に姿を見られるわけにはいかないんだ、申し訳ないがこのままいかせてもらうよ」

お前は誰だ、と聞きたいが口が利けないようだ。

というか体と呼べる代物が今の俺には無いような気がした。

気がした、というのはそもそも目線を下に向けようにも目の前のこれから目がどうしても逸らせないので確認のしようが無いということなのだ。

つまり今の状況をまとめると

ひとつ、俺は目の前を見続ける以外の行動を取ることが出来ない。

ふたつ、目の前の人間のことはほとんどわからない。

みっつ、現在の状況が夢かどうかすらわからない。

最悪だ。

「意外と冷静だな、まぁいい話をさっさと終わらせよう。我輩もこれで忙しい身だ」

影は話し始める。

「現在の状況は大体把握してるだろ?まぁとんでもないことが起こっているんだ。まったくもって冗談じゃないというか、おかげ様で我輩も忙しくてたまらない、諸悪の根源にはぜひとも謝罪を要求したいところだ。あぁ悪い本題だね、まずはお礼を、貴様たちが各所を観測してくれたお陰でとうとう鍵が見つかった、我々は君達の目からしか物事を観測できなくなってしまっている、ふざけた話だ全く。それでだ、君達にはあることをやってもらいたい、それは―――――」


世界の果ての夢を見た。

俺は、それを覚えていられない。

とても大事な人が、大事なことを言っていた気がするのに、それも覚えてない。

( ‘д‘⊂彡☆))Д´) パーン

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