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ラブゲッツ  作者: キョウ
6/9

恭介ノ章2 ーポンター

見ず知らずの女の子にこれまた見たことのない財布を渡された恭介。

彼はあの後店員に財布を言付け店を出た。


それから三日間、恭介は毎日同じ時間に起き、同じルートを辿ってミツバ書店へ足を運んでいた。

理由はあの女の子に会う為。


これまでの人生で女性を異性として感じた事のない彼だったが、彼女に対し興味が沸いていた。

金髪だからなのか、このゲームをしているからなのか、女性として興味があるのか、試聴を邪魔されたのでイライラしたのか、理由は彼にも解らなかった。


解らないからこそ会いたい、会って確かめたい。

その気持ちと、夏休みという時間を使って彼は毎日同じ行動をしていた。


しかしこの三日間、目的の彼女には会えず、今日もだめかという気持ちと共に帰路についていた途中、公園の側で大きな犬が彼に飛び付いて来たのだった。


「うおっ、ビックリしたぁ」


恭介は飛び付いて来た犬をとっさに受け止め、頭を撫でた。

犬ははち切れんばかりに尻尾を振り、大人しく座っている。


「すいませんっ!お怪我はないですか?」


しゃがみこんで犬と戯れている恭介に対し、パタパタと小走りしながらこちらへ来る女性がいた。

彼はすぐに飼い主さんと判断し、「ええ、大丈夫ですよ。」と笑顔で応え、ずっと犬の頭を撫でている。

女性は近くまでやって来て、「よかったぁ」と呟くと、犬に向かって話しかけた。


「こらっポンタ!急に走ったらダメでしょ?」


ポンタと呼ばれた犬は女性の声にビクッと反応し、頭を下げ耳と尻尾を力なく下げた。


「僕なら大丈夫です、あんまり怒らないで上げて下さい。」


恭介はしつこい程ポンタの頭を撫で続け、女性に話した。

女性は恭介に改めて頭を下げ、再び謝罪した。


「はい、本当は私がいけないんです、、、リールを離しちゃたから、、、ごめんなさい。ポンタも、ごめんね。」


ポンタは女性の元へ歩き、靴の上に手を置き、「まぁ気にするなよ、人生は色々あるぜ?」と言わんばかりの顔をした。


恭介はその様子を見て耐えきれなくなり、大笑いしてしまった。










そこから30分、二人と一匹は公園のベンチに座りお話していた。

女性は謝罪としてジュースでもと言いだし、恭介もまたポンタの頭を撫でていたかった。

二人の利害が一致し、恭介はポンタの頭を撫でながらコーヒーを飲んでいた。


「まぁ、それでは団地ですとペットは飼えないのですか?」


「そうだね、そういうルールがあるみたい、残念だったけどもう諦めてるよ。」


彼女の名前は白坂美樹(しらさか・みき)というらしく、今いる公園から近くの所に住んでいるご近所さんだった。

ご近所さんと言っても恭介の家から5分程歩くが、そこはまぁ愛嬌として、二人はかれこれ30分程犬の話題で盛り上がっていた。


「解りますっ、肉球って柔らかくて触るとこう、、、癒されますよね。」


「だよね、全身もモフモフ柔らかいし、尻尾を振った時の愛くるしさなんかもう、、、」


二人の熱い会話にいい加減ポンタもうんざりしていた時、「みきー?」という呼び声が聞こえてきた。

白坂美樹は立ち上がり、「ここだよ~」と声の主に対して手を振った。

近付いて来る女性を見て、恭介は驚いた。


女性は接近し白坂の手を握ると、「、、、心配した。」と呟いた。

白坂は「ごめんなさい。」と笑顔で女性の頭を撫でると、恭介に彼女を紹介した。


「明智さん、彼女は雪村レイラ(ゆきむら・れいら)ちゃん。私の親友です。」


白坂は同様に雪村に明智を紹介し、二人は視線を合わせると簡単に会釈した。


「みき、、、もう帰ろ、、、?」


雪村が白坂の腕を軽く引っ張ると、白坂は「はい。」と笑顔で応え、ポンタのリールを掴んだ。

白坂は恭介に「またいつか」と会釈し、雪村とポンタと共に公園を去っていった。


恭介は白坂の腕を引っ張って行く女性、雪村レイラの金髪に目を奪われ口数が少なくなっていたが、ようやく一言発した。


「バイバイ、ポンタ」

キャラデータ4


白坂美樹


身長160センチ、体重秘密<痩せ方>、好きな食べ物;炊き込みご飯。

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