哲平ノ章1 ーカフェー
ジリリリリーという音が鳴り響いたのか鳴り響いていないのか
それは誰にも解らない。
誰が言ったか言わなかったか、真実はいつも一つ
目覚めた哲平は体を伸ばし、呟く
「12時、だ、、と?、、、寝すぎちった。」
学生諸君一同が一年で最も充実するであろう夏休み、ある者は海へ、またある者は川へ、またある者は山へ、またある者は夏休みの宿題序盤で壊滅計画を立てるだけ立てて満足げ。
色々な楽しみ方がある中、哲平もまた例外ではなかった。
夏休み初日から16時間睡眠。
まさに青春の無駄遣いとは彼の事を指すのだろう。
これ以上ない程睡眠をとった哲平は朝食という名の昼食をとり、服を着替えて自転車に乗り込んだ。
目的は10分程自転車で走った所にあるおしゃれなカフェ[アフタヌーン]に行く為だ。
余談だが店名はアフタヌーンでも、午後10時まで経営している。
ゆったり走っても10~12分で到着する所を、彼は5分で着くスピードで自転車をこいでいた。
理由は簡単、午前11時に知り合いと約束していたからだ。
(スゴい、タイムレコード更新するかも!?)
現在時刻は12時35分。
約束から一時間半以上の大遅刻をしているにも関わらず、彼はそんな事を考えていた。
キキーというブレーキ音と共にカフェに到着したのはそれから2分後の話。
犬じゃない方のお巡りさんに見つかれば確実に注意されるスピードで到着した哲平の第一声は、右拳を天に向け、まるでオリンピックで優勝を決めたかのような声だった。
「っしゃぁぁぁぁぁ!!!!!15秒更新!!!」
「っしゃぁぁぁぁぁじゃねぇぇぇぇぇ!!!!!」
怒号と共に哲平のお尻は強烈な痛みに襲われ、1メートル程彼は飛んだ。
「痛ぇ、、、普通に痛ぇ、、、そしてごめんなさい。」
お尻を擦りながら哲平は頭を下げ、強攻撃を仕掛けた人物の顔をみた。
「遅い!遅すぎる!もうお腹が減りすぎて大変な事になってるわ!」
「あ、大丈夫。さっき焼きそば食べたけどまだいけるから!」
「あんたの話じゃねーよ!って遅刻しといてご飯食べとんかいっ!!!」
本日2度目の強キックが哲平のお尻に突き刺さる。
哲平は飛んだ、それはそれは、、、飛んだ。
記録は2メートル50センチ、タイムレコードと同じく新記録だった。
二人はカフェに入り、注文を済ませた後、哲平は30分程説教を受けた。
哲平を説教しているのは藤川恵という女性で、いわゆる哲平の幼馴染みだった。
同い年でくりっとした目が特徴で気品もあり、常にマイペースな哲平を引っ張ってくれる姉さんみたいな存在だった。
「本当にごめんね、恵さん。」
「全くよもう、、、電話も出ないし、スマホはどこに置いたの?」
「あ、家に忘れた。」
「あんたって、、、、、体ばっか大きくなって、中身は全然ね。」
「恵さんは中身は大人なのに身長が、、、」
そこまで言い、哲平は口を紡いだ。
目の前の女の子がジェイソンも裸足で逃げ出す程の目をしていたからだ。
キャラデータ2
周防哲平
身長180センチ、体重65キロ、好きな食べ物;しいたけ