恭介ノ章1 ーサイフー
ジリリリリーというベタな目覚まし時計の音で恭介は目が覚めた。
未だ鳴り続けている時計を眺めつつ頭をポリポリと掻きながら、恭介は呟くのであった。
「、、、しまった、夏休みなのにタイマー切るの忘れてた、、、」
天気は快晴、空気も澄み渡る夏の朝を恭介は満喫していた。
恭介は今、夏休み初日の早朝から近所を散歩しているわけだが、彼に散歩という趣味は全く無い。
原因はほぼ毎日お世話になっており、哲平・誠司を除けば相棒と言っても良い程お付き合いのある愛しの目覚まし君だった。
終業式を寝坊し、両親に軽く叱られたのをキッカケにタイマーをリセットする事を忘れていたのだった。
「やれやれ、朝からついてないな。」
一人呟く恭介だが、彼には昨日と今朝の失敗を悔やむよりも考えなければならない事があった。
(彼女か、、、どうしよ、、、。)
テクテクとのんびり歩きながら考えるのはその事ばかり、だがそれもまた当然。
彼女候補と呼べる女性は一人もおらず、またクラスメートの女子の連絡先すら一人も知らないのだから、、、。
しかし客観的に見て、三人の中で一番彼女が出来そうなのは恭介であった。
根拠としては、まず彼だけ女性からお付き合いの告白を受けた事があった。(それも2回)。顔立ちの好みは人それぞれだが、基本的に誰が見てもソコソコの容姿であり、運動神経も体育の成績は中・高合わせても最大の10しか取った事がなかった。
人見知りもなく、会話も合わせられる、、、だが彼には致命的な事があった。
(彼女、、、ね、、、めんどくさいなぁ、、、。)
めんどくさがり屋、そしてこれまで異性を好きに、あるいは意識した事すら無いという現実。
(まぁうだうだ言って家にいても始まらないし、動くだけでもしてみるか。)
といった理由で彼は今早朝から散歩をしているのだ。
コンビニで朝食を調達し、回り道に寄り道を繰り返しながら二時間程ゆっくりぶらぶらと歩ながら彼は大手書店のミツバ図書に向かった。(めんどくさがり屋でも、ぶらぶら歩く程度はOK)
家から真っ直ぐ行けば15分程度の道だったが、早朝では店は開店しておらず、適度な運動と思い込んでようやく辿り着いた。
中に入るとひんやりとした冷房により火照った体は冷却され、恭介は死んでもないのに生き返った気分になった。
(ヤバい、、、ここは楽園か?)
成績は悪くないのに多少アホな恭介は一目散にCDコーナーへと向かった。
このデジタルな日本で皆がスマホを持ち歩いている時代だが、彼はここの試聴コーナーが大好きだった。
色々物色し、本日5度目の試聴をしている時、突然彼は肩を叩かれた。
突然で驚き、慌てて振り返ると、そこには同い年位の身長155センチ程の女の子が立っていた。
「、、、これ」
女の子は何かを差し出し恭介に話しかけているが、彼は未だ驚いていた。
理由は彼女の綺麗に染まっている金髪。
唖然とする恭介に疑問を感じ、女の子は更に話しかけた。
「、、、これ、、、落とした、、、。」
女の子はずいっと恭介の目の前に手を出すと、そこには財布が握られていた。
「え?、、、あ、ありがとう。」
恭介はようやく事態を把握し財布を受け取り、お礼を言うと、既に女の子はその場を立ち去り店を出ていった。
恭介はその後ろ姿を見続けながら、つい独り言をもらした。
「これ、、、俺の財布じゃないけど、、、」
キャラデータ1
明智恭介
身長170センチ、体重60キロ、好きな食べ物;オムライス
こんな感じでキャラデータを載せたいと思います。
追加で何かデータを加えて欲しい場合は、レビューにでも書いて頂ければ追加していきますですハイ。(笑