アイを知っている君に
恋愛要素薄目でポエミーです。恋を知らない作者が綴ります。ご注意ください。
ふわふわ。
今の状態を表すのなら、この言葉が適切だろう。
ふわふわ、ふわり。浮遊感。
まるで温かい海のなか。
僕はひとり漂っている。
たったひとり。
僕は「愛」がわからない。
打算もなく、ひとはひとを愛せるのか。
僕は「愛」がわからない。
君が触れるこのかおにも、
君が抱き締めるこのからだにも、
君がふさぐこのくちびるにも、
愛なんてない。
僕の心をひっくり返して、あらいざらいぶちまけたって、「アイ」なんて存在しない。
たった二文字が、わからない。
僕はひとを好きになれない。
愛しいと思えない。
そんな顔で、君に笑いかけれない。
ふわふわ、ふわり、浮遊感。
まるで海のように僕を包む、
この手をつかむ君がいる。
優しく、易しく、僕にふれる。
目を開ければ、君の、柔らかい笑顔。
僕は、それをじっと見ている。
僕は「愛」がわからない。
わからない、けれど。
僕に笑いかける優しい君が、
僕を融かしていく君が、
僕を愛しいとささやく君が、
僕を包み込んでくれる君が、
ずっと、幸せでいてほしい。
そんな君が、そばにいてくれるといい。
君の温もりを、感じていたい。
君はその顔にゆっくり笑みを浮かべて、
それは愛だよ、
と僕に微笑んだ。




