9.ベルゼブブ
ミレナは祖母の襟を掴んだ。
前のめりになる祖母の服を、ボタンが千切れそうな勢いで無理矢理開く。
骨と皮、脂肪の落ちた白い肌が剥き出しになる。
そして、そこには灰色の木の枝のように太い藤蔓があった。
胸の中央に根を張り、埋め込まれたようにがっしりと祖母の胸を掴んでいる。
ミレナの顔から血の気が引く。
クラッと一歩、よろけるように後ろに後退する。
同時に、祖母の襟を掴んでいた手が離れ落ちていく。
蒼褪めた表情のミレナに祖母は目を細める。
眉間に皺を寄せ、悩ましい表情をしながら、胸元と姿勢を正す。
「なんだい、見つかっちまったか」
「見つかったって……なんなのそれ!」
ミレナは床に向かって叫んだ。
全身を硬直させ、服の裾は千切れんばかりに握られる。溢れ出た気持ち。
しかし、どうしても祖母の顔を見れなかった。
ミレナの叫びをまるでいつもの小言を聞くように、祖母は調理に戻った。
冷蔵庫の戸を開け、中からニンニクや玉ねぎを混ぜた醤油ダレを取り出す。
毎日何かしらの料理に使うため、大瓶に保管しているものだ。
これをボールにあけると、スプーンで少しだけ掬い上げ、味の確認をする。
「なんてことはない」と伝えるように、祖母は普段と同じように動く。
ミレナから見ても、祖母の身体に問題があるようには見えなかった。
それでも、ミレナは祖母の身体に根付いた藤蔓が忘れられない。
「この歳で健康な方がおかしいだろう、あたしを何だと思っているんだい」
「だって、おばあちゃんにも“見える”んでしょう」
ミレナがまだ少女であるからと言って、祖母も同様に若いわけではない。
祖母は当時は珍しい高齢出産だったらしい。
孫のミレナが中学に入学したばかりとは言え、祖母はもう結構な歳であった。
だから、身体にガタが来るのは当然であると、毅然にふるまう。
老人が完全な健康体であり得るわけがない。そう言われれば、確かにその通りである。
体力と筋肉は衰え、視力や聴力と言った感覚も鈍り、内臓だって簡単に不調を起こす。
しかし、そうであったとしても、祖母にはミレナ同様“魔女の瞳”がある。
いち早く身体の調子に気付き、対策を打てるはずなのだ。だから、その藤蔓も治せるはずなのだと、ミレナは思っていた。
祖母は、冷蔵庫から鶏肉を取り出し、ボールの中に浸す。
その間に野菜室から取り出されたキャベツがみじん切りにされる。
祖母は料理の手を止めず、ミレナの質問に返す。
「見えてるよ。検査もしたし、治療もしてるさ」
「大丈夫なの……?」
「大丈夫じゃないよ」
「なんで、治療してるんでしょ。だったら治るんでしょ」
祖母の言葉にホッとしたのも束の間。ミレナの不安は煽られた。
治療をすれば治る。病気がなければネコは来ない。いつからそう思い込んでいたのだろう。
人間が誕生してから今日まで、不死身なヒトがこれまで1人でも存在しただろうか。
ミレナも気づき始めていた。
死はどこか遠い世界の出来事ではなく、不意に目の前に現れる気ままなネコのように、いつでもそばに存在しているものであると。
――そうかい。死は絶対に消えないんだね。
リフレインされる祖母の言葉。不安は顔にも映し出される。
嘆くようなミレナの言葉を聞き、不安に押しつぶされそうな孫の表情を祖母が横目で見る。
祖母は、針で刺されたようにピクリと目元を痙攣させた。
その表情を、祖母は誤魔化すように料理の手を早める。
片栗粉をまぶした鶏肉を、熱せられた油の中にサッと入れる。油の弾ける音。
香ばしい香りが辺りに漂う。
いつもなら、ミレナはこの音と匂いで腹が空き、夕飯への期待がワクワクと高まるはずだった。
「“がん”だよ。肺がん。それから昔やった結核がぶり返してね。まあこっちは薬で安心だけど――あたしゃ“がん”なんだよ」
ミレナは一瞬何を言われたか分からなかった。
自分の聞き間違いかと思った。だが祖母はそれを許さない。
はっきりと“がん”だと言い切った。
“がん”がなんであるか、ミレナは詳しく知らない。
だがそれが人を死に追いやる病であることはなんとなく知っていた。
祖母がどれほど「気にすることではない」と言わんばかりに軽く話しても、ミレナにそれを受け止める準備はなかった。
いつもの冷静なミレナであれば、大丈夫だったのだろうか。
死を遠くに感じていた時のミレナであれば、祖母の軽い喋り方に「大したことないんだ」と思えたのだろうか。
ミレナは世界が裏返ってしまったような感覚に陥った。
床に足が付いているというのに、天地が引っくり返ったような気持ち悪い揺らめきを覚える。
「なんで……?」
「なんでもクソもあるかい。あたしだって人間なんだよ」
「なんで!」
「……ミレナ」
ミレナの必死の叫びが、祖母に悲しい顔をさせた。
「なんで」と言われてもどうしようもない。
アスベスト、排気ガス、副流煙、公害……祖母が生きた時代の環境がそうさせたとも言えるし、単純に年齢的な問題もある。
祖母が、なにかを間違えたわけでも、悪さをした天罰が降りかかったというわけでもない。
たまたまである。
たまたま、祖母の気管支に腺がんが出来ただけであり、それを対処する術がなかっただけである。
祖母はミレナを見る。顔がぐちゃぐちゃに乱れていた。
――ああ。
祖母は自分の甘さを痛感した。ミレナの気持ちを甘く見ていたと反省した。
どこかで、この娘は強い子供だと誤解していた。
自身の病を知ってもドンと構えて、明るく振舞えるような人間だと、思い込んでいた。
もう、ミレナは自分を自分で止められなくなっていた。
決壊した堤防が川の氾濫を止められないように、一度溢れた感情をミレナは止められない。
悲しい顔を向けた祖母を見ても、冷静な自分に戻れなかった。
「やだよ、どうして、何も悪いことしてないでしょ!」
「良い人間が良い人生を送るわけじゃないだろう。こういうのは――ミレナ!」
ミレナは走り出した。
辛そうな顔の祖母から目を背け、自分の大切な人を失うかもしれない恐怖から逃げ出そうと走り出した。
祖母は追いかけようとするが、油の跳ねる音が祖母の足を引き留めた。
踵を返し、火を止めて、鶏肉を皿に避けてから、ようやくミレナの後を追う。
しかし、門を飛び出して周囲を見渡しても、ミレナの姿を見つけることが出来なかった。
「あたしゃ馬鹿か……!」
祖母は自身の冷静さを恨む。
なぜ火を止めに戻った。なぜ肉を油から出した。
放っておいたら危険だから? そんなこと、どうでもいいはずじゃないか。
もし感情的に動くことが出来たなら、ミレナを止めることが出来たかもしれない。
腕を握りしめ、祖母の奥歯がギリリと音を立てる。
あてもない、無駄かもしれない、それでも祖母はミレナを探しに駆け出した。
逢魔が時。
太陽が沈んでいく空を、光の残滓が色づける。
カラスが鳴き、子供たちは家路を急ぐ。
光が残る暗闇は、人と魔が生きる世界を交差させる。
ミレナは走り続けた。長く伸びた影法師がミレナの後を追いかける。
影は常にミレナに付いて回り、どんなに速く駆けても離れるわけがない。
ミレナにはそれがネコのように見えた。
影を切り離せないように、ネコは必ずミレナの前に訪れる。
逃げられるわけがないというのに、ミレナは自身の影から少しでも遠く離れようと駆けていく。
どんなに走っても空から注ぐ光がある限り、影は追い続ける。
どれだけ走ったのか、どこを走ったのかミレナには分からない。
息が上がり、酸素が頭に回らない。
息を深く吸いたくても、身体がそれを許さない。
肺が張り裂けそうになり、全身から汗が噴き出し、手足にかかる重力が何倍にも増す。
一歩足を踏み出すごとに、疲れが膨れ上がる。
一歩、また一歩と進めば進むほど、身体が悲鳴を上げる。
ミレナはついに立ち止まり、膝に手をつく。全身で息をして、少しでも空気を入れようとする。
太陽が沈み、影法師が闇に溶けたとき、煙草の匂いがした。
ボンヤリと人の気配がした。
虚ろな瞳で見上げた先にその男がいた。
闇に溶けるような黒のスーツに金の腕時計。
そして背中に蠢く蟲たち。
ミレナの父がそこにいた。
息も絶え絶えのミレナの前で、父は姿勢を正して上から見下ろし仮面のような笑顔を振りまいた。
「やあ、どうしたんだいこんなところで」
「あ、う、」
なぜここに父がいるのか、自分はどこまで走って来たのか。
朦朧とした意識の中でミレナは何も考えられなかった。
何か言葉を返そうにも、呼吸が乱れ言葉が纏まらない。
「もう暗くなるよ、ひとりで歩いていたら危ないよ」
今にも倒れそうなミレナの腕を、父の硬い手が掴む。
優しい言葉とは裏腹に、その手は獲物を逃がさないようガッシリとミレナの腕を握っていた。
ミレナは思わずその手を無理矢理ひっぺがした。
恐ろしいものから逃げるため、本能的に腕が動いたのだ。
無意識の中、咄嗟に動いたものだから、ミレナはバランスを崩し尻餅をついてしまう。
父は、その男は、転んだミレナに手を差し伸べることなく、背筋を伸ばしたまま見下ろした。
ミレナが見上げると、父の顔は暗くてよく見えなかった。
太陽からの光はもう届かない。
気づけば、闇が這い寄る夜が始まっていた。
「痛いなあ」
「えっ」
「君はそうやって人を傷つけて生きて来たのかい」
暗闇に同化した父。
その声は深く、鈍く、ミレナの耳に刻み込まれる。
錆びたナイフで無理矢理肉を抉られるように、耳に心に言葉が捻じ込まれる。
ミレナには彼が夜の化身に見えた。
黒い影の中、父の瞳だけが浮かび上がる。
ミレナは自分の身体が震えていることに気付いた。
走り過ぎて身体が疲れたのかもしれない。筋肉の痙攣かもしれない。
しかし、“震えている”という事実がミレナの心を縛りつける。
「ご、ごめんなさい」
言葉がつかえた。
一度覚えた不安が、恐怖が、身体を支配し始める。
普段なら大人相手でも堂々と振舞うミレナが吃音を起こした。
父の手がミレナの頭に伸びる。
その手はミレナの頭を地面に押し付けるようにぐしゃぐしゃと撫でた。
髪が乱れようと関係ない。これが優しさから生じた行動だろうか。
まるで動物を躾けるように、その手からは支配欲が滲み出ていた。
父は仮面のような笑顔を向ける。
「うん、偉い。ちゃんと自分が悪かったら謝る。ミレナはそれが出来る子なんだね。――どうして目を見ない」
「あっ」
頭を押さえつけたまま、父はミレナの顔を覗き込む。
その目は虚空だった。
ぽっかりと空いた闇の底のように、覗いてはいけない深淵のように、黒い穴が空いていた。
これはミレナの幻視である。
それでも、感情の見えないその瞳は、人が人に向ける眼から程遠い姿をしていた。
光が反射することのない黒い瞳から、ミレナは目を逸らすことが出来なかった。
「話は目を見て聞くものだろう。何を見ている。ミレナ。……黙ってたら何も分からないだろう」
「な、なにも見てないです」
空が薄暗いから瞳が穴のように見えるだけ。
ミレナも頭ではわかっている。
わかっているが、一度抱いた恐怖を簡単に払拭することが出来ない。
ミレナはもう、その目を見たくなかった。
しかし、目を逸らそうと――逃げ出そうとするミレナの頭を、父は両手で掴んだ。
「“ごめんなさい”だろう。ミレナ」
「えっ」
「“ごめんなさい”をちゃんとつけようか。さん、はい」
「あ」
「“ごめんなさい”だ。それぐらい言えるだろう」
逃げられない。
大人の男が少女の頭をがっしり掴んで離さない。逃げられるわけがない。
父は一切怒鳴らない。
だからといってその言葉が弱くも、まして優しくもない。
威圧的な低い声がミレナの頭に響く。
「ごめんなさい」と言わなければ絶対に離さないという意志がそこにあった。
自分の思うように相手が動くまで手を緩める気がないと、ミレナにはよくわかった。
そして、ミレナに対抗する力は残っていない。
「ごめんなさい……」
「“なに”が、ごめんなさい?」
「目を。見ていなくて……」
「目を見てなくて?」
頭が締め付けられる。
父が入れた力はほんの少しだった。
痛みも生まれないような微々たる圧迫感。
しかし、そのすこしの力がミレナに「お前は手の内だ」と再認識させる。
父の機嫌を損ねれば、どうなるか分かったものではない。
「目を見てなくて、ごめんなさい」
「――うん、よろしい」
怯えた瞳と震える声に満足したのか、父はパッと手を離し、自分の顔に笑顔を貼りつける。
ミレナは倒れるように両手を地面につき、ゼーハーと全身で息をする。
まるで先ほどまで水底に居たように、何度も、何度も呼吸をする。
父はミレナの腕を無理矢理引いて立たせた。
身体に力の残されていないミレナは、父に導かれるまま、傍に停めていた車に向かう。
「さあ、家まで送ろう。乗っていくだろう? 暗いんだ。それに、ボクは君のパパだ。断る理由はないだろう」
父はミレナの答えを待つことなく、彼女を車に押し込む。
祖母の車と違い、車内は広く座席が柔らかかった。
ホコリもゴミもない。
白いレースのカバーが取りつけられた座席は新品そのものだった。
まるでタクシーのような車内。
これが個人で使っている車だとは到底思えなかった。
ミレナはこの潔癖なまでに整えられた車内に居心地の悪さを覚える。
そして、綺麗に整えられているというのに、車内には煙草の匂いが充満していた。
ミレナには、どうしてもこの匂いが耐えられなかった。
胃が裏返りそうな気持ち悪さがミレナを襲う。しかし逃げ出す暇もなく、車は走り出した。
「しかし、お義母さんも酷いよね。アンナとの結婚を許してくれなかっただけじゃない。アンナが死んじゃったとき、なーんも連絡をくれなかったんだ。ボクは君たちのことが心配で仕方なかったって言うのにねぇ……。ほら、ミレナも見ただろう。こないだお義母さんはボクを拒否したところ。ホント、ボクが何をしたって言うのかな?」
運転をしながら父は飄々と話し始める。
ミレナに語り掛けているようにも聞こえるが、ミレナの意見を一切求めていなかった。
ミレナもまた、父に返事をすることはなかった。
ミレナは話をするどころではなかった。
車内の匂いと運転の荒さに、ミレナは吐き気を催していた。
口を開いてしまえば一気に決壊する確信があった。
無理矢理手で口を押え、少しも胃が動かないよう神経を集中させていた。
人の車を汚すわけにはいかない。
当然の気持ちから来るものでもあるが、それだけではない。
ここで胃の中身を戻してしまえば、父に何をされるか分かったものじゃない。
何を言われても、何を感じても、ミレナは口から手を離すわけにいかなかった。
「しかし、……酷いね、ここは。舗装された道がほとんどない。ひとつもないんじゃないの?こうやって夜になっちゃえば、外灯もない。真っ暗だ。それに、動物が道路に飛び出てくるだろう。田舎特有の、あれだよ。そうそう、来るときに鹿か何かをひいちゃってね。カモシカだったかな、あれは。ホント、危ないったらないよ」
父の話を出来るだけ耳に入れないよう、感覚と感情を殺しながらミレナはその時を過ごした。
無限に感じる苦痛の時間の末、ようやく車が停止した。
少女が走れるだけの距離なのだから、車で走ればあっという間の距離のはず。
それでもミレナは「ようやく止まった」と思った。
時間は同じに流れていない。楽しい時間は矢の如き速さで進み、苦しい時間は亀の歩みよりも遅い。
父と会い、家に戻るまでのわずかな時間だというのに、幾年月を重ねたような疲労感。
それほどまで、この男との時間は長く苦しいものであった。
車の扉が開き、父に手を引かれ、ミレナは外に出る。
疲れと吐き気で頭が朦朧とする。
焦点の定まらぬミレナに、父は耳元で小さく語り掛ける。
「どうだい、ミレナ。こんな所より、パパと都会で暮らさないかい?」
こんなところ――。
外灯もほとんどない。娯楽もない。あるのは自然のみ。
だが、それも良い自然ではない。虫が飛び、獣が畑を荒らし、太陽は水を枯らし、嵐は家をなぎ倒す。
そして古い思考から抜け出せない自治会の人間たち。田舎という視野の狭さから、簡単に相手を追い詰める少女たち。
この町に居る理由はなんだろうか。
自分が育った町でもない。思い入れがあるわけでもない。レントも帰ってしまった。
毎日が退屈な時間。クラスメイトとも馴染むことが出来ない。
ミレナがこの町に残る必要があるのだろうか。
だからといって、父と一緒に居たい訳でもない。なんとか頭を巡らせ、答えを探す。
「……おばあちゃんを、ひとりにできないから」
無意識のうちにミレナはそれを言葉にしていた。
自身から発せられた言葉を聞き、噛みしめるように頭の中で繰り返す。
「おばあちゃんをひとりにできない」だからミレナはここに居る。
そうだ、だから自分はこの町に居るのだ。
「お義母さんはずっとひとりだったから大丈夫だよ。ボクは寂しくて仕方ないんだ」
「でも――」
「今すぐ答えを言う必要はないよ。でも、パパは考えておいて欲しいな。ミレナのためになることを」
ミレナの言葉を聞くことなく、父は去っていく。
相手の意志を無視し、反論すら言わせない。
父は車に乗り込むと、エンジンをふかしてさっさと走り出した。
ジャリジャリと地面を鳴らしながら走る先を眺めていると、祖母が立っていた。
髪が乱れ、息が上がり、全身クタクタになった祖母がそこに居た。
祖母とミレナの目がカチリと合った。
瞬間、祖母は走り出していた。
ズボンの裾は汚れ、全身が汗に濡れ、どう見ても体力の限界としか思えない。
だというのに祖母はその身を顧みずミレナに飛び込んだ。そして強く抱きしめた。
身体が折れてしまうのではないかと思うほど、強く、強く抱きしめた。
ミレナは何か言おうと思った。
だが、何を言えばいいか分からなかった。言葉が何も出てこなかった。
祖母の背に手を回そうとしても、力が入らず動かない。
ミレナはただ、焼けるように熱くなった祖母の体温を感じることしかできなかった。
唯一動かせる視線をふと横に向ける。
玄関の引き戸のガラスに反射した自分の姿。巨大な蟲がミレナに噛みついていた。
どんなに祖母が抱きしめても、心は少しも動かなかった。




