chapter29 ドラゴンの食料事情
※複数視点です
side:ヴァリアス
私は、この不思議な洞窟を観察していた。
ゴブリンたちを殲滅すると、ドロップアイテムが地面に散らばり――やがて、吸い込まれるように地中へ沈んでいく。
その光景を見て、私は“この場所”が何なのか、おおよその見当をつけていた。
だが――まだ確定させるには、根拠が足りない。
そう考えていると、今度はアンデッドが現れた。
ゾンビやスケルトンが、鈍重な動きでこちらへと迫ってくる。
子竜たちがブレスを放ち、次々と打ち砕く。
だが――砕かれたはずのアンデッドは、骨や肉片を引き寄せ、再び立ち上がった。
「……アンデッドだし、そうなるよな」
私は光魔法の一つ、《ライトボール》を放つ。
光の球に撃ち抜かれたゾンビとスケルトンは、そのまま動きを止め、完全に沈黙した。
しばらくすると――今度は、ホーンラビットが姿を現した。
跳ね回るその姿を見て、私は即座に《ファイアボール》を放つ。
焼き尽くされた個体から、角と肉がドロップした。
――よし。
「肉だ」
私は思わず声を漏らし、子竜たちに指示を出す。
「狩っていいよ。あれは食べられる」
子竜たちは嬉しそうに鳴き、ホーンラビットへと飛びかかっていった。
■ ■ ■
side:???
ぼくは――侵入者を観察していた。
ゴブリン、アンデッド、ホーンラビットと、出現させるモンスターを変えてみたが、
どうやらホーンラビットへの食いつきが一番よかったようだ。
出現した瞬間にファイアボールが放たれ、数十匹が一気に殲滅される。
そして――ドロップアイテムへと変わり、角と肉が地面に落ちた。
肉だとわかるや否や、侵入者は駆け寄り、食らいついていた。
……相当、腹が減っていたのかな?
ドラゴンの胃袋がどれほどのものかは知らないが、
あの程度では満足しないだろう。
そう考え、頃合いを見てホーンラビットの出現を止め、
次はブルートボアを召喚する。
このブルートボアは、少し前にこの迷宮へ迷い込んだ個体を討伐し、吸収したものだ。
レッドボアよりも遥かに大きく、討伐にはかなりの犠牲を払った。
当時は、ゴブリンの上位種たちを多数失いながらも、
迷宮というアドバンテージを活かして、なんとか仕留めたのだった。
ちなみに、ブルートボアの体長は六メートルを超える巨大なイノシシだ。
肉は非常に柔らかく、実に美味かった。
レッドボアの肉も美味しいんだけど、ブルートボアには及ばない。
そんなことを思っているうちに、
ブルートボアは討伐され、子竜たちと少女の餌食となっていた。
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