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世界が滅びかけたので竜は旅に出る  作者: 火川蓮
第三章

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Quiet talk 神々の決断

※番外編です

※父竜視点

死霊竜を討ってから、二日が経った。

森は瘴気に覆われ、狩りもままならない。

新たな狩場を探そうと、一息ついていたそのとき――。


『……おほん。聞こえておるかの?

竜神――ゼルヴァスよ』


頭の奥に、直接響く声。

この威光、この響き。忘れるはずがない。


〖これは――!! クレトヴァリス様……!

お久しゅうございます〗


我は慌てて姿勢を正し、頭を垂れた。


『うむ。久しいのう。

実は、頼みがあっての。

地上の様子――おぬしも、察しておるじゃろう?』


〖瘴気が満ちている件、でございますか〗


『いかにも。

数年前に人間どもが“やらかして”くれたおかげで、世界が危ういのじゃ』


〖……世界が、危うい?〗


『そうじゃ。

最初にそれをやったのは――ディルカナ帝国。

あやつらは四千年前、異世界召喚の儀式を生み出した。

力を求め、禁忌を犯し、ついに成功したのじゃ。』


クレトヴァリス様の声は、どこか怒りを抑えているように響いた。


『じゃがな、その儀式は両刃の剣。

他世界へ繋ぐには、莫大な魔力を食らう。

一度発動すれば――周囲千キロが数百年、死の大地と化す。

我ら神々が何度も警告を下したが、聞き入れることはなかった。

そして――数年前、さらなる愚行が起きたのじゃ。

各国が帝国の技術を盗み、同じく異世界召喚を行ったのじゃ。』


重苦しい沈黙が、胸の奥を締めつける。


『結果、数万を超える異世界人がこの世界へと呼び出された。

だが、その代償に――世界そのものが軋み、崩壊の危機に瀕しておる。』


〖なんですとおおおぉぉぉ……!〗


我は頭を抱えた。理解が追いつかない。

だが、クレトヴァリス様の声は静かに続いた。


『それでな――頼みというのは他でもない。

世界を救うため、贄となってはくれぬか?』


その言葉は、雷のように胸を打った。


〖……我ら神獣を、贄に……〗


『そうじゃ。

おぬしたちは“聖地を護る楔”として造られた存在。

じゃが今や、聖地の機能を保つのは――神聖国家にある世界樹イグドラシルのみ。

強固な結界に守られてはおるが、瘴気を吸い続ければやがて枯れよう。

新たな芽を育むには、数千年はかかるじゃろう……困ったものじゃ』


クレトヴァリス様の声に、苦悩が滲んでいた。


〖……そういうことならば。

この命、喜んで世界のために捧げましょう〗


我は、迷わずそう答えた。


『そうか……助かる。

だが、神獣の犠牲だけでは足りぬかもしれん。

それほどまでに、この世界は深く蝕まれておるのじゃ』


〖我らの命を捧げても、足りぬ……?〗


『うむ。その場合は――迷宮管理者ダンジョンマスターにも声をかけよう。

迷宮を世界と同化させ、再生の糧とする……その策も視野に入れておる』


我は息を呑む。

神々がそこまで追い詰められている――そう感じた。


〖……わかりました。我は、我の務めを果たします〗


『うむ。

世界が再び安定した暁には――転生を約束しよう。

もっとも、どのような形で生まれ変わるかは……わしにも読めぬがの』


微かな笑みが混じるような声がした。

そして次の瞬間――我の意識は、深い闇に沈んでいった。

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