Quiet talk 異世界召喚
※番外編です
ディルカナ帝国は、野心に満ちた国だった。
その歴史は六千年以上にも及び、五千年前――一冊の古文書が帝国にもたらされる。
当初、誰もその内容を理解できなかった。
しかし、長い解析と解読の末、それが“古代文字で記された召喚の儀式書”であると判明する。
帝国はその文献をもとに、数百を超える“異世界人”の召喚に成功した。
その成功こそが、ディルカナ帝国の傲慢を極限まで加速させるきっかけとなった。
帝国は「世界統一」という名の野望を掲げ、何度も異世界召喚を繰り返した。
だが――その儀式には、恐るべき代償があった。
異世界召喚は、世界の理を歪めるほどの魔力を消費する。
ゆえに、一度の儀式を行うたび、千年という時を経なければ再び発動できなかった。
それでも帝国は欲望を抑えず、幾度も儀式を強行した。
召喚のたび、帝国の周囲千キロは荒れ果てる。
瘴気が満ち、地は裂け、空は暗黒に染まり、草木は枯れ、魔物たちは絶え、やがてアンデッドが歩き始めた。
民は飢え、国は狂いながらも、それでも帝国は叫ぶ。
――覇を、この手に。と。
やがて事件が起こる。
四度目の召喚を終えた直後、召喚の文献が盗まれたのだ。
各国は、帝国の暴威に怯えつつも、同じ力を求めた。
帝国に潜入した諜報員たちは、帝国が“異世界召喚”という手段で力を得ていると知り、その儀式を模倣した。
こうして召喚の儀式は、瞬く間に世界中へと広がっていった。
今宵から数年前――各国は帝国に抗うために異世界召喚を行う。
だが、その行為こそが、世界を滅びへと導く最初の一歩であった。
誰も、それを知る由もなかったのだ。
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