chapter18 憂鬱な報告
私の魔法が広がり、周囲に満ちていた魔力の波動が静かに消えていくのを感じた。
かなりの魔力を込めたから、数百キロは届いたはずだ。
……あとでアイテムボックスの中を確認しておこう。
生まれたときから魔獣を狩り続けて溜め込んできたから、今や中身は膨大な量になっている。
アイテムボックスを初めて使えるようになってからというもの、飢えをしのぐために、毎日狩っては収納してきた。
どのくらいの年月が経ったのかは分からない。
けれど、感覚的には――すでに数百年、戦い続けてきたように思える。
竜の死体を手に入れられたのは嬉しい。
だが、同族を食うのは……さすがに気が引ける。
そんなことを考えていると――。
〖ヴァリアスよ、帰るぞ。背に乗れ〗
父上が、低く唸るような声で告げた。
私は頷き、父上の背に乗り、今日起こったことを思い返した。
■ ■ ■
気づけば――すでに棲み家へ戻っていた。
さすがは父上、その速度は風よりも速い。
〖おかえりなさい。……他の子たちは、どうしたの?〗
母上が、不安げに父上へ問いかける。
私は背中を滑り台のようにして降りた。
〖狩りの途中で、少々トラブルがあってな……死なせてしまった〗
父上は、静かに、しかし苦しそうに言葉を絞り出した。
母上は短く〖そう〗とだけ返し、しばらく沈黙した後――ぽつりと続けた。
〖わたしも……言わなければならないことがあるの〗
〖どうかしたのか?〗
〖新しく産んだタマゴなのだけれど……漂う魔力が足りなくて、死なせてしまったの〗
母上の声は、涙をこらえるように震えていた。
〖少し前までは、こんなこと……ありえなかったのに〗
〖……“なにか”が、起こり始めているということか〗
父上の声には、深い憂いと警戒が滲んでいた。
ふたりの間に流れる空気は重く、私はただ黙ってそのやりとりを見つめていた。
そして――。
〖ヴァリアスよ〗
突然、父上に名を呼ばれた。
「なんでしょうか?」
〖先ほどと同じように、タマゴを回収できるか?〗
「……できます。けど、同じ理由ですか?」
〖いかにも〗
父上は頷いた。
母上に案内され、私は竜のタマゴを次々とアイテムボックスに収納していく。
全部で二十個ほど。
想像以上に大きかった――そう感じたのは、今の私が幼女の姿をしているからかもしれない。
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