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世界が滅びかけたので竜は旅に出る  作者: 火川蓮
第二章

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chapter18 憂鬱な報告

私の魔法が広がり、周囲に満ちていた魔力の波動が静かに消えていくのを感じた。

かなりの魔力を込めたから、数百キロは届いたはずだ。

……あとでアイテムボックスの中を確認しておこう。


生まれたときから魔獣を狩り続けて溜め込んできたから、今や中身は膨大な量になっている。

アイテムボックスを初めて使えるようになってからというもの、飢えをしのぐために、毎日狩っては収納してきた。

どのくらいの年月が経ったのかは分からない。

けれど、感覚的には――すでに数百年、戦い続けてきたように思える。


竜の死体を手に入れられたのは嬉しい。

だが、同族を食うのは……さすがに気が引ける。


そんなことを考えていると――。


〖ヴァリアスよ、帰るぞ。背に乗れ〗


父上が、低く唸るような声で告げた。

私は頷き、父上の背に乗り、今日起こったことを思い返した。


■ ■ ■


気づけば――すでに棲み家へ戻っていた。

さすがは父上、その速度は風よりも速い。


〖おかえりなさい。……他の子たちは、どうしたの?〗


母上が、不安げに父上へ問いかける。

私は背中を滑り台のようにして降りた。


〖狩りの途中で、少々トラブルがあってな……死なせてしまった〗


父上は、静かに、しかし苦しそうに言葉を絞り出した。

母上は短く〖そう〗とだけ返し、しばらく沈黙した後――ぽつりと続けた。


〖わたしも……言わなければならないことがあるの〗


〖どうかしたのか?〗


〖新しく産んだタマゴなのだけれど……漂う魔力が足りなくて、死なせてしまったの〗


母上の声は、涙をこらえるように震えていた。


〖少し前までは、こんなこと……ありえなかったのに〗


〖……“なにか”が、起こり始めているということか〗


父上の声には、深い憂いと警戒が滲んでいた。

ふたりの間に流れる空気は重く、私はただ黙ってそのやりとりを見つめていた。


そして――。


〖ヴァリアスよ〗


突然、父上に名を呼ばれた。


「なんでしょうか?」


〖先ほどと同じように、タマゴを回収できるか?〗


「……できます。けど、同じ理由ですか?」


〖いかにも〗


父上は頷いた。


母上に案内され、私は竜のタマゴを次々とアイテムボックスに収納していく。

全部で二十個ほど。


想像以上に大きかった――そう感じたのは、今の私が幼女の姿をしているからかもしれない。

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