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世界が滅びかけたので竜は旅に出る  作者: 火川蓮
第二章

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Quiet talk 異変の胎動

※番外編です

※父竜視点

我は子らに秘術を教えた。

すると――ヴァリアスは一発で人化の術を成功させた。

やはり、魔法に長けているようだ。


我は感心しながら、ヴァリアスの様子を見守る。

彼は人間形態のまま、肉体からだを動かす訓練を始めた。

拳を握り、くうを殴り、蹴りの動作を繰り返し、やがて棲みかを駆け回る。


そんなとき、息子たちがヴァリアスをからかうように言った。


「なんでお前、男なのに女になってるんだよ」

「変なの」

「もっと上手くできなかったのか?」


やれやれ、困ったやつらだ。

我が止めようとしたそのとき――ヴァリアスが口を開いた。


「それは、人化の術をマスターしてから言うべきじゃない?

君たちは、人間の姿にすらなれてないじゃんか」


そう言い放つと、空気が一瞬で凍りついた。


「なんだと!?」

「やんのか!!」

「生意気な……!!」


ヴァリアスに絡んできた息子たちは、竜形態に変わり、彼を見下ろしていた。

我は思わず、ため息を吐く。

ヴァリアスは不敵に笑っていた――まるで息子たちを“獲物”と定めるように。


流石に危機感を覚え、我は声を上げた。


〖やめんか!!〗


からかっていた息子たちはビクリと震え、たじろいだが――ヴァリアスだけは平然としている。


〖ヴァリアスよ、そんな険しい顔をするな〗


こいつも注意する。

ヴァリアスは時折――なにを考えているのかわからないときがある。

まぁ、今回ばかりはからかってきた息子たちが悪い。


そんなことを考えていると、息子たちはヴァリアスに謝罪していた。


「すいませんでした」

「ごめんなさい、殺さないで」

「どうか命だけは勘弁してください」


……これで、一安心だな。

我はそう思ったのだった。


■ ■ ■


しばらくして、ヴァリアスが不思議そうに尋ねてきた。


「父上、どうして私は女の子の姿になったのですか?」


我は少し思案し、語ることにした。


〖人化の術を発動した際、その竜の“精神状態”が影響すると言われている。

我らにも性別はある。

そして精神もまた――“無意識のうちに”自らの性を定めているのだ。

ヴァリアス、お前の場合はオスの竜として生まれたが……心はメスであった、ということだろう。

人間にも、時にそうした者が生まれると聞く。

まぁ、問題あるまい〗


そう告げると、ヴァリアスは静かに頷いた。


「なるほど……そういうことだったんですね」


それが、彼の答えだった。


■ ■ ■


ヴァリアスは相変わらず、肉体を動かす訓練を続けていた。

暇を持て余しているようにも見える。


〖ヴァリアスよ、その姿で狩りに行くのはどうだ〗


そう提案すると、ヴァリアスは目を瞬かせた。


「狩り……ですか?」


〖うむ。竜の姿とは違い、人の姿でも戦えるよう慣らす必要があるだろう。

竜のままでは的が大きく、攻撃を受けやすい。

だが人の姿ならば、狙われにくくなる。

――ただし、人の身は脆い。油断すれば、すぐに命を落とすぞ〗


我がそう告げると、ヴァリアスは少し考えたのち、頷いた。


「わかりました。行きたいです」


その返答に、我は微笑ましく思うのだった。


■ ■ ■


いつものようにヴァリアスを背に乗せ、森へと向かう。


今日は息子たちの数が少ない。

どうやら、人化の術を習得した者だけがついてきたらしい。

まだマスターしてもいないのについて来ようとは……。

このとき、我は止めておけばよかったと、後に後悔することになる。


■ ■ ■


森に着くと、違和感を覚えた。

空気が重い。どこか淀んでいる。

風は止まり、鳥の声も虫の音もない。

草木の葉は黒ずみ、地面はひび割れていた。


――これは!? 瘴気か!?

どうなっている!?

数日前までは、緑豊かで青々とした森だったはずだ。


まるで森そのものが、死を迎えているかのようだった。


周囲を窺っていると――


「……アア……」


低いうめき声が聞こえた。

木々の間から現れたのは――無数のスケルトンとゾンビだった。


息子たちがブレスを放つ。


直撃を受けたゾンビたちは肉片となって散った……が、すぐに肉が寄り集まり、再生を始める。

スケルトンたちも砕けた骨が勝手に動き、形を取り戻していく。


〖アンデッドが……なぜこんなところに?〗


我は唸った。

アンデッドは瘴気溜まりから発生するが――それには“因子”が必要なはず。

“アンデッドビースト”などのビーストゾンビやスケルトンビーストならば、まだ理解できる。


だが明らかに“人形ひとがた”のアンデッドが、これほど大量に存在するなどあり得ぬ。

この森は――我らドラゴンが訪れる森だ。

人間が近づくはずもない。

何度か見かけたことはあるが、我らを見た瞬間、一目散に逃げ出していた。


そう考えていたとき――


「《ディスペル》」


ヴァリアスがアンデッドの群れに手をかざした。


放たれた光はアンデッドたちを包み込み、数体のゾンビとスケルトンが光に満たされ、

次の瞬間――霧散した。

残ったのは魔石と、乾いた骨だけ。


!?

解呪――魔法だと!?

ドラゴンでは決して使えぬ魔法のはずだ。

なぜ使える!?

いや、それよりも――アンデッドを“解呪”しただと!?

解呪魔法は“呪いを解く”魔法だったはず……。

アンデッド相手に使えるなど、聞いたことがない。


我が混乱している間にも、事態は進んでいく。


「《ディスペルバースト》!」


ヴァリアスが叫ぶと、数百体のアンデッドが一瞬で消滅し、

残ったものたちが2か所に集まり始めた。

肉と骨が絡み合い、歪な塊となっていく。


融合が終わると――そこには2体の巨大な竜が現れた。


一体は腐敗した肉体を持つ腐食竜ドラゴンゾンビ

もう一体は骨だけの体をした骸骨竜スケルトンドラゴン


高位のアンデッドモンスターだと!?


その瞬間、息子たちが竜の姿に戻り、2体の死霊竜に向かってブレスを放った。

だが、死霊竜たちはものともせず突撃し、息子たちを吹き飛ばした。


あまりの速さに我は驚愕する。

我が攻撃しても、たいしたダメージは与えられぬだろう。

息子たちのブレスの様子から見ても、肉体の一部が消滅しても再生している。

おそらく、“対アンデッド魔法”でなければ、攻撃は通じぬのだろう。


――この事態、どう収束させるべきか。

我は思案するのだった。

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