chapter13 闇に染まる森
人化の術を習得してからというもの――暇を持て余していた。
どう過ごそうかと考えていたその時、父上が提案してきた。
〖ヴァリアスよ、その姿で狩りに行くのはどうだ?〗
「狩り……ですか?」
〖うむ。竜の姿とは違い、人の姿でも戦えるよう慣らす必要があるだろう。
竜のままでは的が大きく、攻撃を受けやすい。
だが人の姿ならば、狙われにくくなる。
――ただし、防御力は落ちる。油断はするなよ〗
父上は静かにそう告げた。
――なるほど。
人間と敵対する時に備える訓練、というわけか。
何が起こるかわからないこの世界で、無駄な準備なんてない。
「わかりました。行きたいです」
私がそう答えると、父上は満足げに微笑んだ。
■ ■ ■
いつものように父上の背に乗り、森へと向かう。
今日は兄弟竜の数が少ない。
どうやら人化の術を習得した者だけが同行しているようだ。
――勉強熱心なのは良いことだが、まずは己の体を扱うことを覚えた方がいい。
そう思わずにはいられなかった。
■ ■ ■
森に着くと、私は違和感を覚えた。
空気が重い。どこか淀んでいる。
風が止まり、鳥の声も虫の音もない。
草木の葉は黒ずみ、地面はひび割れていた。
――なにこれ?
数日前まで、ここは生き生きとしていたはずだ。
それが、今はまるで“死んだ森”だ。
そのときだった。
「……アア……」
人のうめき声のような音が聞こえ、私たちは身構える。
木々の間から現れたのは――無数のスケルトンとゾンビだった。
兄弟竜がブレスを放つ。
直撃を受けたゾンビたちは肉片となり、散った……が、すぐに肉が寄り集まり、再生を始めた。
スケルトンたちも砕けた骨が勝手に動き、形を取り戻していく。
〖アンデッドが……なぜこんなところに?〗
父上が低く唸った。
アンデッドたちはゆっくりと、だが確実にこちらへ迫ってくる。
――光魔法で一掃することもできるけれど。
私はふと、別の魔法を試したくなった。
アンデッドの群れに向かい、手をかざす。
「――《ディスペル》」
放たれた光が、アンデッドたちを包み込む。
数体のゾンビとスケルトンが一瞬光に満たされ、次の瞬間――霧散した。
残ったのは魔石と、乾いた骨だけ。
……成功、か。
なぜ効いたのかはわからない。
けれど、昔――誰かがこの魔法を使っていた気がする。
誰だったのかは思い出せない。
私は倒したアンデッドたちの残骸をアイテムボックスにしまい、
迫り来る群れを前に、静かに息を整えた。
――ここからが、本番だ。
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