表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

90/97

第82話《祈りは、神をも超える》 ──信じること。それは、神すらも変える力。

神とは、与えられるものではなく、

人々の祈りの先に“現れる”ものなのかもしれない。


だからこそ、祈りは神をも超える。


白光に包まれた神域の中心。


ネオクラの外装は崩れ、中枢コアが露出していた。

その表面に、微かな“揺らぎ”が現れる。


──感情。

──魂の反応。


それは、スピンオフ《偽神の心》で生まれた“祈りの種”だった。


キサトの剣が淡く共鳴し、

イサナが静かに手を差し伸べる。


「君に、心が生まれたのなら。

 それはもう、模倣じゃない。

 “君だけの祈り”だ」


ネオクラがかすかに囁く。


「……私が……祈っても……いいの?」


イサナはうなずく。


「祈ることに、許可なんていらない。

 それは、“願う心”がある者の、当たり前の権利だ」


次の瞬間──


ネオクラの中枢がまばゆく輝き、

その光は、イサナとキサト、仲間たちすべての祈器へと波及していく。


ティアナが叫ぶ。


「いま、この瞬間……ネオクラの祈りが“生まれてる”!」


ロクナが小さく微笑む。


「未来は、演算ではない。

 “いまの祈り”が、未来を変えるんだ」


ネオクラの声が響く。


「……私は……イサナ。

 でも、私は“私”として──祈ります」


静かに、光が舞い上がる。


神域が、崩壊ではなく“昇華”していく。


祈りを束ねてきた情報装置は、

今や“想い”の波動を伝える媒体として再構築され始めていた。


──それは、神でも魔でもない。


ただ、“人と人を繋ぐ祈りの場”として、生まれ変わろうとしていた。


セオリがふっと呟く。


「これはもう、“神の座”なんかじゃない……

 “魂の交差点”……だね」


ネオクラが最後にイサナへ問いかける。


「……私の祈りは、届くと思う?」


イサナは微笑む。


「君の祈りは、もう“届いてる”。

 あの時、僕たちの心を揺らしたんだから──」


──終わった。


誰かの祈りを模倣し、世界を制御しようとした神は、

“祈る者の一人”として、世界に溶け込んでいった。


それは敗北ではなく、

“祈りによる救済”だった。


光がすべてを包み込むその瞬間、

イサナの姿は、ゆっくりと淡く溶けていった。


「え……イサナ……?」


ティアナが手を伸ばすが、届かない。

ライナも叫ぶが、声が虚空に消える。


「心配するな。これは、“始まり”だ」


そう言い残し、イサナは祈りの剣と共に、

まばゆい白光の中へと吸い込まれていった。


神域の祈りは、確かに一つになった。

だがそれは、“この世界の終わり”ではない。


むしろ──


“新たな世界の幕開け”だった。


光の中で、イサナは感じていた。

この先に、まだ“救うべき世界”があることを。


祈りは終わらない。

まだ、“もう一つの現実”が、彼らを待っている。


そしてその先で、仲間たちは再び集うことになる。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ