スピンオフ:現代編 第3話 タイトル: 「夢に導かれ、次なる神社へ」
御朱印帳を手に入れてから、速水日向は夢を見るようになった。
白い霧の中、鳥居をくぐる自分。
その夢に誘われるように、彼はまた神社へと足を運ぶ。
それは、ただの偶然ではなく、魂が目覚める“旅”の始まりだった――
夢は、ずっと同じ情景だった。
白い霧。見上げるような杉の木々。
その奥に、ひっそりと佇む鳥居。
その朝も、日向は早めに目を覚ました。
窓の外には晴れた空。
けれど胸の奥には、夢の続きがまだ残っている。
「……行ってみるか」
地図アプリで“近くの神社”を検索すると、
いくつか見覚えのない名前が表示された。
その中で一つだけ、写真を見た瞬間に胸がドクンと鳴った。
「……ここだ」
電車に乗り、バスに揺られ、最後は歩いて向かったその神社。
名前は「久賀神社」。
小高い丘の上にある、地元の人もあまり知らないような古社だった。
参道に足を踏み入れた瞬間、
あの夢で見た霧の景色が、現実に重なる。
(まさか、夢と同じ……)
木々の隙間から光が差し込み、境内に神聖な静けさが満ちていた。
拝殿の前で手を合わせたとき、
ふと、背後から風が吹いた。
「……“ヒカリ”……?」
誰かが囁いたような気がして振り返る。
しかし、そこには誰もいなかった。
境内の端には、御朱印の案内もなかった。
けれど、なぜか拝殿の裏手に、小さな石の祠があるのを見つけた。
「……奥の院、なのかな?」
祠の前に立つと、まるで時間が止まったかのように空気が変わる。
彼はそっと御朱印帳を取り出し、
祠の前で膝をつき、静かに祈った。
その瞬間――ページが、風もないのに一枚、ふわりとめくれた。
そして、そこに墨で描かれていたのは、
日向がまだ一度も訪れていないはずの神社の印だった。
(……なんだこれ)
驚きと共に、ぞくりと背筋が震える。
(この帳……普通じゃない)
日向は、もう一度静かにページを閉じ、立ち上がった。
帰り道。
彼は確かに思った。
(これは、偶然じゃない。俺は……どこかへ、導かれてる)
夢と現実が少しずつ重なり始めた速水日向。
御朱印帳の不思議な“ページ”が、次なる神社を示す――
それは、魂の旅路への鍵となる。
次回、「記憶を呼ぶ祠と、光の名(仮)」へ続きます。




