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【第57話】 雷光に導かれしもの

目覚めた少女・ツユカ。

彼女は“ソラノヒメ”の転生体でありながらも、まだ記憶は深い霧の中。

でも、彼女はイサナたちと共に歩き出す決意をし、旅は最後の神域――雷の神殿へと向かう。

今回はその“第一歩”と、“雷”の気配が忍び寄る静かな転換の章です。


神殿を出た夜。

月は高く、静かにその光を地上に注いでいた。


神殿の外で、イサナたちは火を囲んでいた。

ツユカは少し離れた場所に座り、星を見上げていた。


「……寒くないか?」


イサナがそっと声をかけると、ツユカは小さく首を横に振った。


「……ありがとうございます。でも……なんだか、夢の中にいるみたいで」


「眠ってた間の記憶、ないのか?」


「はい……でも、不思議なんです。皆さんのことを、どこかで……知っている気がするんです」


彼女の瞳には、戸惑いと微かな希望が宿っていた。


「私……何者なんでしょうか」


イサナは少し考え、そして穏やかに言った。


「まだ全部を思い出さなくてもいい。思い出したくなったときに、ゆっくりでいい。……俺たちは、君と一緒にいる」


ツユカの表情が揺れる。

言葉よりも、あたたかい何かが胸に差し込んできたようだった。


「……私も、皆さんと一緒にいても、いいんですか?」


「もちろんだよ」

アマネが笑って言う。

「記憶よりも、今のあなたの想いが大事だから」


ミハヤも頷く。

「そうそう。それに、戦えるようになるまで育ててあげるし!」


「……私は戦いが得意では……」

ツユカは目を伏せたが、隣のセオリがふと口を開いた。


「戦うことだけが力じゃない。……あなたがここにいるだけで、きっと意味があるわ」


ツユカの目が見開かれる。


「……ありがとう、ございます……」


初めて、彼女が少しだけ笑った。

その笑顔は、どこか懐かしく、そして――確かに“ソラノヒメ”を想わせるものだった。



翌朝。


空には鈍い雲が立ち込めていた。遠くの空で、かすかな雷鳴が響いた。


「……来るな。雷の神域が呼んでる」


イサナが空を見上げて言うと、雷の方向にだけ、黒い雲が裂け、光の柱が地に突き刺さるのが見えた。


「最後の神殿……ですね」

セオリが低く呟いた。


「じゃあ、行こうか」

イサナが言い、全員がうなずく。


ツユカは、少しだけ躊躇いながらも、歩き出す皆の背を追った。

その足取りはまだ不安定だが、確かに“旅人の一歩”だった。


雷の神殿――

そこに待つのは、さらなる“試練”。

そして、その先で――時の神殿で出会ったヒユの言葉が、再び意味を持ち始める。

イサナと仲間たちは、最後の“祈りの座”へと向かう。


今回は“静と動”の狭間の章。

ツユカが仲間として旅を始め、少しずつ“ソラノヒメ”としての片鱗を取り戻し始めました。


雷の神殿では、新たな“守り人ヒロイン”が待っています。

そして、時の神殿で出会ったヒユの言葉が、この先の覚醒と選択に大きく関わってきます。


物語は、いよいよ核心へ――。


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