第50話「言霊の源流、時のはじまり」
交差する次元の先に広がっていたのは、遥かなる“始まりの時”――
言霊が生まれ、神話が芽吹いた、記憶の彼方の世界。
イサナたちはそこに足を踏み入れ、“時の起点”を知る旅へと向かう。
目の前に広がる世界は、どこまでも静かだった。
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それは“時間”という概念がまだ芽吹いていない、
原初の風景。
空には色がなく、地はうねり、
風は“音”のようなものを運びながら流れていた。
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「ここが……カムナの源流……?」
セオリの声は、まるで祈りのように空へ溶けていく。
ミハヤが目を細める。
「すべての“はじまり”の場所……言霊が生まれた、記憶の泉」
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その中央には、巨大な石碑があった。
まるで“時”を封じるかのように、幾重もの古代の言葉が刻まれている。
イサナがそっと近づき、指先で石碑に触れる――
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その瞬間、世界が脈動した。
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響きわたる音の連なり。
それは“言霊”の原初音――ウタのはじまり。
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『アウワ ウエオ アエイ ウオヱ……』
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どこからともなく、重なるように響く声。
古の神々の名、音の契り、祈りの始まり。
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「……これは、“カムナのウタ”」
セオリが目を見開く。
「わたし……知ってる。ずっと昔、夢の中で聴いたことがある……」
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ミハヤがつぶやく。
「これが、“本当のわたしたち”の記憶……?」
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石碑の前に立つイサナの胸が、熱くなる。
“イサナギ”という名が、音として世界に共鳴していく。
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──イサナギ
──セオリヒメ
──ヒミカ(ミハヤ)
三つの魂が共鳴するように、
古代の記憶が彼らの中で目を覚まし始めていた。
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イサナはふと、空の果てに一筋の光を見つけた。
その光の先には――もうひとつの神域。
そして、閉ざされた“第五の扉”の気配があった。
「……あそこに行こう。次の、“扉”が待ってる」
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“はじまり”は、まだ物語の入り口だった。
この記憶の泉の奥には、封印された“真実”が眠っている。
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言霊が、時を超えて彼らを導いていた。
それぞれの名に込められた、神話の片鱗を宿しながら――。
第50話にして、ついに“言霊の源流”へ。
ここからは神話と現実が交差し、名の由来、魂の契り、
失われた祈りの言葉が解き明かされていきます。
次なる章は、封印された“第五の扉”と
“カムナの核”の真実へ。




