第32話「風の神殿、言霊の記憶」
開かれし“風の扉”の先に広がるのは、
古代の神々の祈りが宿る「風の神殿」。
そこには“言霊”の真なる力と、語られざる記憶が封じられていた――。
三人が風の扉を越えた先、そこには、時を超えて存在する風の神殿が広がっていた。
大地と空の間に浮かぶように築かれた、石と光の宮。
天井はなく、風が自由に駆け抜けていく。
「ここが……風の神殿……」
ミハヤが呟くと、神殿内の空気が応えるようにざわめいた。
セオリはその中央に立つ石柱に目を止めた。
「この模様……カタカムナ……?」
柱には古代の言霊が、螺旋状に刻まれていた。
読み解くように、セオリが指でなぞる。
「――“フルトノカミ カムナオシノミチ アマウタ ウムル”……?」
「これは、言霊を生む“源泉”……?」イサナが近づいてくる。
「……つまり、ここで“言葉の力”が創られた……ってこと?」
そのとき、風が強く吹き、空中に光の粒が舞いはじめた。
そして現れたのは、半透明の“記憶の巫女”。
「……あなたたちが、“目覚めの兆し”を運んできたのですね」
三人は息を呑む。
巫女の姿はぼやけていたが、その声は不思議と優しく、深い。
「この神殿は、失われし言霊の記憶を守る場。
けれど、それを再び世に出すには……“契り”が必要」
「契り……?」
巫女は、イサナたちに視線を向ける。
「あなたたちが、何のために旅をし、何を信じ、何を祈るのか……
それが、この神殿を継ぐ“鍵”となるでしょう」
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ミハヤが一歩、前に出た。
「……わたしは、自分の“火”が怖かった。でも……イサナとセオリに出会って、わかったの。
この火は、破壊するためじゃなく、照らすためにあるんだって」
彼女の胸元が赤く光り、手にうっすらと紋様が浮かぶ。
「わたしは、ヒミカとして……この祈りの力を、もう一度信じたい」
その言葉に、風が鳴った。
巫女が静かに微笑む。
「……では、始めましょう。
風の神殿に、あなたたちの祈りを――」
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空が一気に暗転し、神殿に響き渡る風の旋律。
三人の魂が、神代の記憶と共鳴を始める。
それは、まだ誰も知らない“言霊の真実”への扉。
ついに「風の神殿」へと足を踏み入れた三人。
そこは言霊の起源に触れる神域であり、神話が交わる場。
次回、彼らの祈りが神殿を通じてどんな未来を紡ぐのか――
運命の言霊が、いま目を覚まそうとしています。




