第18話 風が導く、紅の気配
静かに続いていた旅路の先に、風は新たな出会いを運んできました。
紅の風と共に現れた少女は、何を秘めているのか――
次なる“鍵”の目覚めが始まります。
森を抜け、しばらく進んだ丘の上で、ふたりは立ち止まった。
眼下には、広大な草原と、点在する岩のような建物の影。
その先に、ひとつだけ異彩を放つ建物があった。赤い屋根。まるで灯火のように輝いていた。
「……あそこ、何かあるね」
「うん。行ってみようか」
道なき道を進みながら、ふたりは草原を下っていく。
風が強く吹き、セオリの銀白の髪がふわりと舞った。
「ねえ、イサナ……」
「ん?」
「わたし……この先で、何か“運命”みたいなものに出会う気がするの」
セオリの言葉に、イサナはふと空を見上げた。
雲が流れ、風が螺旋を描く。
*
草原の中央、小さな集落に辿り着いたふたり。
そこは、にぎやかというよりも、どこか張り詰めた空気が漂っていた。
「旅の方かい?」
低く渋い声で話しかけてきたのは、槍を抱えた若い男。
「この辺りは、最近“火の怪異”が出るって噂でな。気をつけるんだな」
「火の……怪異?」
「赤い風と共に現れて、ものを燃やして去っていく。誰も姿を見た者はいない」
「赤い風……」
その言葉に、セオリの目が細められる。
「……紅い何かに、呼ばれている気がするの」
集落の外れ、誰も寄り付かなくなった古い祠。
その前に立ったとき、風が強くなった。
「イサナ……あそこ、何か……いる」
「わかった。行こう」
ふたりが祠の中に入ると、ふわりと熱気が包み込む。
そして――
「誰?」
静寂を破って響いたのは、澄んだ少女の声。
その場に立っていたのは、炎のような紅の髪と、琥珀の瞳をもつ少女。
ゆっくりとこちらを振り返る。
「――あんたたち、どこから来たの?」
次なるヒロイン、ミハヤ。
その出会いは、風の予感と共に幕を開ける――。
新章の扉が開きました。
セオリとの旅を通して育んできた絆は、次の運命を引き寄せます。
紅き気配を纏う少女――ミハヤ。
彼女との出会いが、世界の“火”を灯すきっかけになっていきます。
ここからは、少しずつセオリとミハヤの関係性も深まり、
イサナの中で“選ばない愛”の形が浮かび上がっていくことになるでしょう。
次回、ミハヤとの対話。火の巫女の記憶と、過去の影が見えはじめます。
どうぞ、お楽しみに




