第12話 “封じられた祠”と、呼び起こされし声
森を進むふたりがたどり着いたのは、苔むす古の祠。
セオリにだけ響く“声”の正体は……?
封印された記憶が、少しずつ輪郭を見せはじめます――。
森の奥へと続く道。
夜明け前の薄明かりの中、セオリは何かに引き寄せられるように歩いていた。
「……こっちに、なにか……ある」
「セオリ?」
イサナは戸惑いながらも、彼女の後を追う。
やがて、岩に覆われた一角にたどり着く。
苔に包まれたその岩の中央に、古びた鳥居が立っていた。
そして、その奥には――
「……祠だ」
小さな、けれど異様な存在感を放つ木造の祠。
封印のように紙垂が風に揺れている。
「どうして……こんな場所に……」
セオリは、無意識に手を伸ばそうとする。
「待て」
イサナがその手を取った瞬間――
――ドンッ!
地響きのような音と共に、祠の周囲の空気が震えた。
風が唸り、空間が歪む。
「っ……く!」
セオリが膝をつく。
額に浮かぶ冷や汗。
目を閉じ、何かに耐えるように――
「聞こえる……呼ばれてる……っ。あの“声”、昨日の……“ソレ”と、同じ気配……でも……もっと、深くて、強くて……!」
突然、祠の奥から光が漏れ始める。
それはまるで、古の記憶が目覚めるかのような、優しくも威圧的な輝きだった。
「イサナ……」
「セオリ、大丈夫か?」
「……うん。でも……この祠は、きっと“ただの場所”じゃない。なにか……大事な、記憶が封じられてる……そんな感じがするの」
イサナは祠を見つめながら、背中に戦慄を感じていた。
ただの祠ではない。
それは、“何かを封じた”ものではなく――
“何かを思い出させる”ために置かれた装置のようでもあった。
ふたりはその場を離れたが、セオリの胸には、妙な感覚だけが残っていた。
呼ばれた“声”の主は誰だったのか。
そして、なぜ自分にしか響かなかったのか。
森は、またひとつ謎を抱えて静かに息を潜めた。
名もなき森の奥で、ふたりは静かに“過去”と“記憶”に触れました。
セオリの中で眠る力、そして声の主の存在――
小さな一歩が、やがて大きな運命を動かしていきます。
次回もお楽しみに




