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第七話第一王子と悪役令嬢の出会い
つまり第一王子とミトリアの初対面はこうである。両家とも顔見知りで子供たちが互いに父親に連れられてくる。
ミトリアは眉をひそめるくらいだが第一王子はおどおどしていた。
「ほら、ツーナロ挨拶なさい」
父親たる国王に促される。
「えっと、その・・・ぼくは・・・」
が、そのおどおどした態度は変らず言葉に詰まってしまう。
「むぅ・・・」
ミトリアがいらだってその態度に頬を膨らませた。
「ひっ・・・」
その目に幼いながらもツーナロ王子は気圧されてしまう。
「お父さま、こいつきらい!」
ミトリアは小声ながらはっきりと言い放った。が、この距離では当然全員に聞こえるのでその言葉に互いの父親は口をあんぐりしてしまう。
「も、申し訳ありません!うちの娘が失礼を!」
ミトリアの父親が思わず謝罪する。
「いえ、こちらこそ申し訳ない。ほれ、名前くらい言いなさい」
「つ、ツーナロです・・・」
国王に再び促されようやく王子はようやく名前を発した。
が、この程度ではミトリアからの印象など変わるわけなかった。