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22話呉服屋の親子
という話を貴族や王族御用達の呉服屋マケテリア家の主人、彼自身も当然複数の呉服屋を束ねる大貴族の一人はライカント家からの手紙で知ると娘のイーチェに伝えた。
「まあ!なんと素晴らしいことなんです?!」
ミトリアと同い年の彼女はピョンと飛び跳ねて喜ぶ。
「いやでも、どんな服が気に入るかわからないし困ったよ・・・」
主人は頭が痛くなった。
商売において客の好みがわからないほど困ったこちはない。
「ならせめて子供用の服を用意すればいいじゃないですの?」
「それもそうか。サイズはちゃんと手紙にかいてあるしな」
「ふふ、乙女の服の好みならお任せくださいまし」
イーチェは得意げになる。
「すまんな。服には詳しいつもりだが小さい子供の好みはちょっとな・・・」
主人は苦笑いした。
「呉服屋なのに情けないですのね・・・」
イーチェはちょっとあきれる。




