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2話婚約破棄の手紙
それからミトリアが10年、初等学校、中等学校を卒業した15歳の春、彼女は父親に呼び出されていた。
当の父親は長年にたまった怒りで身体の水分が沸騰していた。熱気が噴き出し溢れた汗がすぐ蒸発するほどである。
「なんでしょうお父様」
が、ミトリアはそんなことは気にせずきょとんとしていた。
「また王家から手紙がきていた」
父親はすっとそれをだして続ける。このようなものは定期的に何年もきていたのだ。
「その勝手なふるまいをやめないと第一王子はお前との婚約を破棄するそうだ」
「はー?!なによそれ?信じられない?!」
そこでようやくミトリアは怒りを示した。
「この際だ。その傲慢な性格を直したらどうなんだ!」
父親はバン!と机をどん!と叩いて怒りたいのはこっちと主張する。
「いえ、そのような軟弱者、こちらから願いさげよ」
ミトリアはやや考えてから落ち着いていった。
「そう先方にお伝えくださいませ」
ミトリアにとって第一王子という次期最高権力者でもその程度しかなかったのだ。
「なんだとー!」
父親は変わらぬ娘のわがままぶりに頭を抱えたくなる。