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19話この方をどなたとこころえる!
(まずい、このままではお嬢様が恥をかいてしまう!)
シンはそう察した。そしてこれは好都合とも気づき膝まづいたまま両手の平を上に向ける。
「この方をどなたとこころえる!領主ライカン家がご令嬢、ミトリア様であるぞ!」
(ふ、きまった)
シンは心の中で悦に浸る。演劇の中の後始末のシーン、やるならばこれしかあるまい。
(そんなシーンあったかしら・・・)
ミトリアは記憶になく首を傾げた。
「知ってますがなにか?」
サキもさっぱりわからず首を傾げた。
「通じるわけねえー!!」
シンは途方にくれてうなだれる。
「マジでなに?」
ミトリアはむしろ彼方を見上げる。




