第17話演劇鑑賞
ある日シンたちは見聞を広めるため演劇に来ていた。
「おーほっほっほ!このアンテレン家が令嬢に逆らうとはいい度胸ですわ!!」
舞台では派手な衣装の女優が扇をかかげ大仰な演技をしている。
この世界ではこのようなわかりやすい演技が好まれているのだ。
(なんだこれ・・・)
シンには見慣れない光景なため顔を歪めてしまう。アニメや漫画でなく立体物で見るのはかなり異物感があった。
「ふあああああ・・・」
が、ミトリアの方は目をらんらんと輝かせている。
「ええ・・・」
シンはリアクションに顔を歪めた。
(これって、流行りなのか・・・?)
「ふあーあ・・・」
が、サキはあくびをして退屈をしている。
「さあ、ひざますきなさい!野郎ども!!」
『ははーー!!』
舞台では貴族令嬢が庶民や悪人を地べたにはいつかせていた。
(うーん・・・)
シンはこの構図にどこか見覚えがあるような気がしている。一部おかしいがどこか勧善懲悪にみえてしまうのだ。
「あの、演劇というのはこのようなものが流行ってるのでしょうか・・・」
帰りの馬車の中で真っ先に弱音を上げたのはサキだった。
「まあ、思ったより普通なんじゃないですかね・・・」
シンは苦笑いする。
「はあ?!あれのどこがおかしいのよ!すっごく面白いじゃない!」
ミトリアは力強く反論した。
「よく・・・わからないです・・・」
サキはなおも首を傾げた。
「まあ、人の趣味はそれぞれということで・・・」
シンは人差し指を上げた。
「まあ、そういうことにしてあげるわ・・・」
ミトリアは納得することにする。




