第13話訓練開始
王子と顔合わせした翌日、ミトリアはシンと剣術訓練をしていた。
「でえい!」
「はあっ!」
シンはミトリアの剣をたやすく受けて弾く。
「甘いですよお嬢様・・・」
「こんのー!」
ミトリアは先ほどより声をあげて大振りに剣を振る。
「おおっと!」
「ああんっ!」
シンは身体を後ろに引かせて衝撃を和らげると思いっきり体重を利用してミトリアを吹っ飛ばした。
「ちょっとー、加減くらいしなさいよー」
尻餅までついてしまい抗議する。
「いや、加減なんてしたら訓練にならないですよ?」
「むすー」
ミトリアはあからさまに頬を膨らませた。
「じゃあいいわよ!次、魔法よ!魔法教えなさい!」
ミトリアは腕をぶんぶんと振って注文する。
(ものすっげえめんどくせえ人だな。てかこれ俺が教えていいのか?)
シンはものすごい神妙な顔になった。
齢10歳という若輩者ゆえにやや不安にもなる。
都合よく練習用の的が倉庫にあったのでそれで射撃魔法の練習をさせることにした。
「と、試しにどうです?」
「ふーん、いいじゃない。で、どうやるのよ?」
「あー、それなら・・・」
シンはシンプルな魔力を貯めて打ち出す魔法を見せた。
「はあっ!」
「おおー!」
これは苦戦せず目標に当てる。
「ふふん、これで結婚なんてせずとも冒険者としてやっていけるわ」
それは先ほどまで剣で好き放題されていた少女とはまるで違う愛らしい少女だった。
だがシンの返答は違うものだ。
「いや、そりゃあさすがに無理があるんじゃないですかね」
その顔はものすっごい苦笑いしていた。
「むっすー」
ミトリアの頬が先ほどより大きく膨らむ。




