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第8話 夏休み・前半

 夏休み初日。部員が揃った部室。

「今日は、講師を招いているよ」

「講師?」

「キミとは同じクラスだったかな。山吹くんだ」

「ど、どうもー」

 部長の呼び声に招かれ、山吹さんがおそるおそる部室に入ってくる。

「山吹くんは、校内でも数少ないスーパークラスの持ち主だからね。色々と貴重な話が聞けるだろうと思って、招いたんだ」

「招かれました、山吹です。えっと、自己紹介、いりますか?」

「一応お願いしてもいいかな? メソッドのことだけでいいのでね」

「はい。私のメソッドは、『ナイチンゲール』。触れた相手の体力を回復するメソッドです。スーパークラスは『ナイチンゲール・ギフト』。今までに治してきた体力の一部を使って発動するカウンターで、触れた相手にダメージを与えます」

 回復も攻撃もできる。改めて聞いてみても、強力なメソッドだ。

「メソッドは、誰かから譲り受けたものかい?」

「はい。お母さんから伝えてもらいました」

「スーパークラスも、その時に?」

「そうです。一緒に」

「スーパークラスを発動する時の感覚は、どういった感じなのかな?」

「感覚と言っても、なんていったらいいのかな。こう、包まれる感じ、です」

 僕も自分のメソッドを説明しろと言われたら同じことになるだろうから、人のことは言えないけど、抽象的すぎて参考にするのが難しい。

「普通のメソッドとスーパークラスのメソッドで、発動方法に何か違いはあるのかな?」

「えっと、『ナイチンゲール』は、自分の表面で発動する感覚で、『ナイチンゲール・ギフト』は、表面から奥に手を伸ばして発動する感じです」

「なるほど。奥がある感じというのはいいね。一ノ宮くん、キミはどう思う?」

「うーん。メソッドに奥行きがあるなんて考えたこともなかったですね」

「今、試すことはできるかな」

「はい。やってみます」

 僕は『全てが偽になる』を発動した。何かに守られている感覚が僕を包む。この、奥?

 奥って、なんだろう。

 僕のメソッド発動は、スイッチのオンオフのような感覚なので、上下左右や手前奥といった感覚は、掴めない。

 でも、発動のその先があるという感覚は、なぜか少しだけわかる。

 この感覚を煮詰めていった先に、僕のスーパークラスがあるんだろうか。

「なんとなくきっかけは掴めた気がしますけど、スーパークラスとして形になるまではいかないですね」

「うん。きっかけが掴めたというのは、大きな進歩だ。ありがとう、山吹くん。キミのおかげだ」

「私は何も。良かったね、一ノ宮くん」

「ありがとう、山吹さん」

 お互いに目を合わせて、健闘を称え合う。

 なんだかすごく、健全な成長をしている気がする。

「山吹くん。どうだろう。キミさえ良ければ、メソ研の部員になって、これからも一緒に活動してくれないか」

「今の部活と掛け持ちになるから、あまり活動には出られないかもしれないですけど、それでもよければ」

「もちろんだとも」

「じゃあ、よろしくお願いします」

「山吹さん部活やってたんだ。何部なの?」

「剣道部だよ」

「剣道部なんだ。ちょっと意外だね」

「そう?」

「うん。なんかもっとチームプレイをする部活のイメージがあったから」

 勝手なイメージだけど。

「あ、そういう理由なんだ。メソッドが回復系だから武道はイメージじゃないって言われたことはあるけど。違うんだね」

「言われてみれば、それもそうだね」

 単に、誰とでも仲良く話せる人柄の良さを思ってのことだったんだけど、そうか、メソッドと絡めるという観点はなかった。

「メソッドバトルだと、後方支援になることが多いけど、武器ありなら前線もできるよ」

「すごい。かっこいいね」

「そ、そう?」

 僕の直球な感想に照れる山吹さん。

「そんなにストレートに褒められたことないから、ちょっとびっくり」

 照れ隠しをするように、山吹さんは言葉を続けた。

「よし、今日はこんなところだろう」

 部長の掛け声で活動が終わり、いつもの通り雑談の時間になった。


 8月半ば。メソ研夏合宿の日。

 文化系の部活なのに、何を合宿するのかという声が聞こえてきそうだが、というか、僕もそういった声を上げた一人だが、部長曰く、メソ研の活動において、避けては通れないくらい、重要な機会であるらしい。

 部長が言うには、この合宿を通じて、スーパークラス発現の足がかりを掴んでほしい、ということだ。

 そしてやってきた合宿。場所は、海。

 女子の参加者の桜井先輩と山吹さんの、水着姿が眩しい。

「一ノ宮くん。変じゃないかな、この水着」

「え? う、うん。別に変じゃないよ」

「良かった。学校で水泳の授業がないから、お互い水着姿は初めてだね」

 山吹さんはともかく、僕は水着姿なんていうほどの格好はしてないけど。セールになってたハーフパンツ型の水着を着ているだけだし。

「二人で何話してるッスか」

「あ、九部くん。別に大したことは話してないよ。水着についてちょっと話してただけ」

「そッスか。そんなことより、部長が呼んでるッスよ」

「そうなの? それじゃ行こっか、山吹さん」

「うん」

 いつの間にか設置されたパラソルの下に集合する僕ら。

「集まったな、諸君。前にも言ったが、この合宿では、メソッドの強化及び発展を目的として活動することになる」

「具体的な内容は決まってるんですか?」

「うむ。それについてはおいおい説明しようと思う。まず手始めとしてやるのは、スイカ割りだ」

「スイカ割り?」

「普通のスイカ割りと違って、周りからの声援は一切ない。視界を塞いで己の感覚だけを頼りに執り行う、その名も『開眼スイカ割り』だ。」

「開眼スイカ割り」

 なんだか凄そうな名前だ。

「じゃあまずは一年生からだ」

「誰がやる?」

「ボクが一番手で行くッス」

「ぼ、ぼくは最後が、いい」

「私が先でいい? 一ノ宮くん」

「うん。じゃあ、僕は三番目で」

「順番は決まったようだな。じゃあ、早速始めるぞ」

 地面にスイカを置き、少し離れたところに立つ九部くんが目隠しをつける。

「その場で十回回るんだ」

 部長の声に反応して、九部くんがその場で回りだす。

「よし、十回回ったな、ゲーム開始だ」

 ゆっくり、徐々に徐々にといった感じで、歩みを進める九部くん。

 今のところ、スイカのある方にまっすぐ向かっている。

 九部くんが今感じてる感覚はわからないけど、ほぼ正確にスイカのある位置を捉えているように思える。

 九部くんは、そのままスイカの近くまで行った、が、スイカの前で止まらず、スイカを通り越して進んでしまった。

「えい」

 そして、何もないところに棒を振り下ろす九部くん。

 目隠しを外して、後ろを振り向いたところにスイカがあるのを確認する。

「残念ッス。ちょっとズレちゃったッスね」

「いや、大健闘だ。初めてとは思えないくらい、近くまで行けていた。どうかな? 何か掴めたかい?」

「能力につながるかはわからないッスけど、新鮮な感覚は味わえたッス」

「そうか。少しでも得るものがあるなら、良かった」

「じゃあ、次は私だね」

 九部くんから目隠しと棒を受け取った山吹さんが、その場で回る。

「えい」

 そして、九部くんとは逆に、スイカよりだいぶ前の位置で棒を振り下ろした。

「あれー? 絶対ここだと思ったんだけどなあ」

 悔しそうな山吹さんから目隠しと棒を受け取り、僕の番。

 棒をかかげたまま、その場で十回回る。

 直前に見たスイカの位置は、回りながらでもしっかりイメージできている。

 視界を塞ぎ、耳から聞こえてくるのは環境音だけ。否が応でも、集中力が高まる。

 まるで、自分を置いて、自分の周りのものが全てなくなったかのような錯覚を覚える。

 そして、そんな感覚の中においても、スイカの場所だけは、手に取るようにわかる。

 この感覚が、部長がこのゲームを通じて理解してほしかった感覚なのだろうか。

 僕は、見えないスイカに向けて一直線に近づき、まっすぐに棒を振り下ろした。

 両手にスイカを叩いた感触が伝わってくる・・・はずだったが、イメージのスイカを通り過ぎ、地面を叩いた感触が伝わってきた。

 あれ?

 どういうことかと、慌てて目隠しを取る。

 僕がイメージしていた、そこには、スイカは影も形もなく。

 振り返れば、最初に見ていた場所より、さらに遠くにスイカが見えた。

 えーと、つまり。

 僕はスタート地点から、スイカとは真逆の方向に進んで、棒を振ったということだろうか。

 前の二人が良い感じに近づいた流れからの、これはかなり恥ずかしい。

「何か掴めたかい?」

 特に馬鹿にするわけでもなく、冷静に訪ねてくる部長の優しさが、今は心に痛い。

「視界を塞いだだけなのに、普段とは全然違う感覚に陥るのが、驚きでした」

 自分の失態はなかったことにして、努めて平静に回答する。

「うんうん。良い感じだね」

 満足そうにうなずく部長。

「次は、松本くんだね。よし、行ってみよう」

 僕は、手に持っていた目隠しと棒を松本くんに渡した。

 松本くんは、僕のように逆に向かうということもなく、それどころか、前の二人よりも更に近づき、クリーンヒットとはいかなかったが、スイカにかすって当たる角度で、棒を振った。

「凄い。松本くん、当たったよ!」

 気配を消すメソッドの使い手だから、その逆の気配を察知する能力も高いのだろうか。

「む、難しかった」

「最後は桜井くんだな。お手本を頼むよ」

「わかりました」

 松本くんが目隠しと棒を桜井先輩に渡す。

 受け取った目隠しを付けた桜井先輩は、その場で回り終えると、迷いなくスイカに向かって歩き出した。

 まるで目隠しをなんてしてないかのように、淀みない歩み。

 そして、スイカの目の前まで来た桜井先輩は、持っている棒を構え、スイカの中心に向かって棒を振り下ろした。

 中心を貫かれ、真っ二つに割れるスイカ。

「す、凄い」

「まるで見えてるようだったね」

「見えてるッスよ?」

「え?」

「そっか。二人は知らないッスね。桜井さんのメソッド『千里眼』は、透視のメソッドッス。目隠ししても、視界は確保されているッスよ」

 透視というと、壁の向こうが透けて見えるとか、そういう類の能力ということだろうか。

 確かに、今の桜井先輩の動きは、とても目隠しをされた人の動きとは思えなかった。

「ふう」

 桜井先輩が、目隠しを外した。

「お疲れ様。さあ、切り分けて皆で食べよう」

 手慣れた動作で、部長がスイカを人数分に切り分ける。

 夏の日差しを浴びてぬるくなったスイカは、よく冷えたスイカには及ばないかもしれないが、皆で食べるこの空気が味方して、おいしく味わうことができた。


 スイカ割りが一段落して。

 部長が夜まで自由時間だというので、早々に旅館に帰った桜井先輩と松本くん、パラソルの側で日焼けをするという部長を尻目に、僕と九部くん山吹さんの三人は海に繰り出すことにした。

 お誂え向きに荷物に入っていたビーチボールを膨らませて、海の上でビーチバレー(といってもトスを送り合うだけの簡単なもの)に精を出す。

 三人で笑いながら、どんなに無茶に飛び込んでも受け止めてくれる水の上で、はしゃぐ。

 なんだか、凄く青春してるっていう感じ。

 青春に得点があったら、きっと今の僕らは高得点だ。


 その日の夜。

 食事を終えた僕らは、部長の招集で男部屋に集まった。ちなみに、今回の合宿では、男子四人が泊まる四人部屋と、女子二人が泊まる二人部屋の、二つの部屋を借りて海の近くの旅館に泊まっている。

 二つ部屋があるうちの広い方の部屋に、部員が全員集まったというわけだ。

「夜は何をするんですか?」

 全員が揃って落ち着いたところで、部長に聞いてみた。

「定番ではあるが、肝試しをする。この旅館の裏手は森になっていて、道を進んだ先に小さな社があるという話だから、そこまで行って戻ってくるというのがルートだ」

「一人一人行くんですか?」

「いや、ペアで行く。皆これを引いてくれ。番号が書いてあるから、同じ番号同士がペアだ。出発順も番号の通りだ」

 部長が人数分の紙を取り出し、僕らはそれを順に引いた。

 僕の番号は、二だ。

「僕、二番」

「あ、私と一緒だね」

 僕のペアは、山吹さんか。

「一ッス」

「ぼ、ぼくも一」

「私は三だ」

「私も三です」

 それぞれ、ペアが決まった。

 僕らは旅館の外に移動して、鬱蒼と生い茂る森の入口に整列した。

「じゃあ、これが懐中電灯と、社に置いてくるロウソクと着火用のマッチだ」

 トップバッターの九部くん松本くんペアに、アイテムが手渡される。

「それじゃ、行くッス」

「こ、こわい」

 光源が、僕らがいるところにある電池式のランタンと九部くんが持っている懐中電灯しかない、夜の森。誰の手も入っていないのに、下手なお化け屋敷よりも何かがありそうな雰囲気を醸し出している。

 松本くんが怖がるのも無理はない。

 そして、二人が歩みを始めた。

 数メートル進んだところで、もう二人の姿は見えなくなった。

「そういえば」

 不意に、部長が口を開いた。

「出発前に怪談話をするのを忘れていたな」

 一体何事かと思ったが、思ったよりくだらないことだった。

「いいですよ。そんなの、やらなくて」

 ホラー耐性はそこそこあるほうだと思うけど、それでも、これだけ暗い森の中というシチュエーションにいると、それなりに怖い。

 事前に怪談話なんか聞かされたら、出発できないくらい、怖さが倍増していた危険性がある。

「今やるか」

「やらなくていいですって」

 そんなくだらない話をしながら、二人が帰ってくるのを待つ。

 そして、十分くらい時間が経ったころ、二人が帰ってきた。

「そんなに怖くなかったッスね」

「こ、こわかった」

 正反対の反応を見せる二人。

「九部くん。怖くなかったの?」

「幽霊とかは信じてないッスからね。熊か猪でも出てきやしないかと、そっちのほうが怖かったッス」

 強い。さっきは自分にホラー耐性があるといったけど、本当に耐性がある人っていうのは、九部くんみたいな人をいうのかもしれない。

 九部くんから懐中電灯を受け取って、僕らの番。

「私怖いのあんまり得意じゃないから、迷惑かけちゃうかも。先に謝っとくね」

「大丈夫だよ、山吹さん。何か出ても僕のメソッドがあれば」

 男として、ちょっとカッコつける僕。実際のところ、僕のメソッドは攻撃ができないから、何かがあったとしても対処は難しいかもしれないんだけど、そこはそれだ。

 僕を先頭に、僕らは歩き出す。

 さっき二人が数メートル進んだところで見えなくなったように、数メートル進んだだけで背中から感じていた光が消えて、懐中電灯の光だけが頼りの、真っ暗闇に包まれる。

 目に見えるのは、少し先の地面と両脇の木。聞こえてくるのは、風が木々を揺らす音。

「な、なんか、思ったより怖いね」

「う、うん」

 二人して、わかりやすく怯える。

 一度怖いものとして認識してしまうと、森は途端に怖いものとしての振る舞いをしてくる。

 明かりで照らせてない範囲に、何かがいるかもしれない。

 明かりで照らしているところに、急に何かが映り込んでくるかもしれない。

 具体的な対象は何もないのに、『何か』という謎の存在に怯えてしまう。

 そうして怯えながら歩いて、五分くらい。

 特に何も起きず、目的地の社に到着した。

「山吹さん。ロウソクとマッチを貸して」

「はい、どうぞ」

 先発の二人が置いたロウソクは、社から少し離れたところの地面に石で囲われて置いてあった。

 確かに、社は木でできているし、受け皿もない。こうして置いたほうが、安全かもしれないと思い、僕も倣って石で囲いを作って、地面にロウソクを立て、火をつけた。

 目的も果たしたし、さっさと帰ろう。

 そう思って、来た道の方を向いた時。

「ねえ、あそこ、何かいない?」

 山吹さんが、どきりとするようなことを言った。

 山吹さんが指さした方に懐中電灯の明かりを向けると、社の横の奥の方で、確かに何かがいるかのように、草木が揺れていた。

 幽霊にしては、登場方法が物理的すぎる気もする。野生動物だろうか。

 僕は、山吹さんを庇うように前に立ち、『全てが偽になる』を発動した。

「山吹さん。このままゆっくり下がって、道の方に」

「う、うん」

 幽霊でも野生動物でもいいが、とにかく、このまま会わずに終わりたい。

 僕は茂みの方を最大限に警戒しながら、山吹さんと二人、ゆっくり道の方へ後ずさった。

 頼む。このまま出てこないでくれ。

 僕はそう願ったが、願いも虚しく、茂みにいる何かの気配は、確実にこちらに近づいてきている。

 いざとなれば、山吹さんだけでも逃してあげないと。

 僕は、いつもメソッドバトルでしているように、後ろにいる人を絶対に守る姿勢を取った。

 たとえどんなものが来ようと、この守りは貫かせない。

 そうして、覚悟を決めたその時、茂みから何かが飛び出した。

 ニャー。

 何かの正体は、可愛らしい、猫だった。

 一鳴きすると、こちらに興味はないとでもいうかのように、また茂みに入って、どこかに行ってしまった。

「可愛かったね」

「うん」

 警戒と緊張感が、一気に緩んだ瞬間だった。

 その後は、特に事件もなく、僕らは皆が待つ森の入口に戻った。

「最後は、私達だな」

「行きましょう」

 順番が変わって、部長と桜井先輩の番。

 森の中に消えていく背中を見送る。

「それにしても、蒸し暑いね。汗かいちゃった」

「早くお風呂に入りたいね」

「お風呂といえば、ここの旅館、お風呂は温泉らしいッスよ」

「ろ、露天風呂もあ、あるみたい」

「そうなんだ。気持ちよさそう」

 後で入るのが楽しみだ。

 僕たちは、そんな雑談をしながら、二人が帰ってくるのを待った。

 そして十数分後。二人が戻ってきた。

「よし、肝試しはこんなところか。どうかな? 諸君。何か得るものはあったかい?」

 そういえば、この合宿はスーパークラスを閃くのが目的だった。

 目的を忘れて普通に活動を楽しんでしまっていた。

「得るものということからは少し外れるんですけど、さっき動物と会った時にふと気がついてみたら、私達、攻撃系のメソッドを持っている人いないんですね」

 山吹さんの言葉に、その場にいた全員がハッと気づきのリアクションをする。

 確かに、言われてみれば、積極的に危害を加えるようなメソッドを使う人は、この中にはいない。

 攻撃系のメソッドか。

 いざという時のために、一人か二人くらいは、そういうメソッドを持った人がいてもいいのかもしれない。

 自分がその候補になれればいいんだけど、桁数もメソッドの能力も、攻撃からは遠い。

 周りを見ると、皆も何か思うところがあるのか、それぞれ考え込んでいた。

 これも、気付きと言えるのだろうか。

 特に誰かが答えを出すわけでもなく、その場は、それで解散となり、僕は旅館に戻って早速、大浴場へ行き温泉を堪能した。

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