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77:一時の凪

「うぶっ……おぼ゛っ、お゛ぇぇっ!」

「ふふっ、まだ出せるでしょう?」

「ごほっ! かはっ……はっ、はひゅっ……」


 この紫髪の少女、ソフィアは玩具として凄い良い見た目なんだけど、駄目になるのが早いなぁ。


 水を限界まで飲ませた後、空になるまで吐かせるのを2回繰り返した。その結果、目は完全に焦点が定まっておらず、肌の色は赤を通り越して紫に、口から出る水には血が混じっていた。

 声は出ているので気を失ってはいないらしいが、意味のある言葉は全く出ないので思考は止まっているようだった。


「さて、3回目と行きましょうか。と言っても聞こえていな……、あっ」


 話している間に消失してしまった。どうやら強制ログアウトが実行されたらしい。


 もう駄目かぁ。まぁ反応無いのもつまらないから潮時だったのかもね。


「今度はもっと遊びましょうか、ソフィア?」


 聞けるはずもないがそう呟いた。彼女はミコと並ぶ程好みの見た目だったので、また会えることを願って。


 道草はここまでにして……と、その前に覗き見してるそこの男だけ殺しておきましょうか。


 壁の陰から顔を出している男に向かって、《狂風》で接近して、剣で首を切り裂く。


「あ待っ……ぐぁっ!」


 なるほど、《狂風》には変化無しね。それじゃあ、今度こそ公園に向かおうか――



 再び公園に向けて歩きだしたが、人の姿が全く見えない。《心の目》を使っても反応が無かった。


 範囲は変わってなさそうだから、《深淵-領域拡張》で強化されるのは状態異常関係のみで間違いないか。

 それより、さっきまではチラホラ人の姿はあったのに一体何が…………まあいいか、別に全員殺したい訳でもないし。


――特殊エリアに転移します――


「えっ」



 突然アナウンスが流れて転移が始まり、気が付くと緑のオーロラの浮かぶ黒い空間に出ていた。


「ライブラ、あなたは一体何をしているんです」

「《チュートリアル》ですか、お久しぶりです。此度はどういったご用件でしょうか」


 ここに来るのは3回目だけど、何も無いタイミングなのに呼ばれる理由って……


「分かりませんか、あれはやり過ぎです。というかあなた頭どうなってるんですか」

「どう……とは?」

「《チュートリアル》で守られてる相手に何を考えればあそこまで思いつくんです。そもそもLv20以下と分かれば引くことを考えて…………は貰えないようですね」

「ええ、優先するのは常識より殺人欲求ですから」

「はぁ……。ライブラ、あなたには現実時間で4日間のログイン停止が求められています」


 …………は? 4日間も楽しみを止めろと?


 非常に困る言葉に苛立ちを隠せなくなる。


「処罰の意味では無いらしいですね、こちらは運営からです。Lv20以下のプレイヤーも惨殺されるとなるとゲーム人口の流出増加、流入低下が見込まれる。その対応のシステム変更を行うため、申し訳ないですが時間を頂きたい。とのことです」

「何故初めからしないんです、それに時間かかりすぎでは?」

「運営には奇人や変人はいても、あなたのような殺人に長けた狂人はいないのです。あなたの被通報数が全プレイヤー中圧倒的最多とはいえ、止める意思も理由もありませんのでご安心下さい。ともありますね」


 はぁ…………殺す相手がいなくなるのは私も困るから、しょうがないか。


「分かりました、待ちましょう。ですが、4日後からは殺戮に一切の遠慮なく行きますので」

「ええ、助かりました。運営の不手際でログインを停止するということで、補填は行われますのでこちらもご安心を。ここの空間までは入ることが出来て、掲示板にはアクセス出来ます。それでは4日後に……」


 その言葉と同時に、各種UIの画面と『ログイン制限 残り3日23時間59分59秒』と書かれたウィンドウが表示される。


 承諾したとはいえ、中々苛立たしいものがあったが、実際問題拒否権など無いので渋々納得する。


「ログアウトするか……」




 自室のベッドの上で目を覚ます。


「はぁ……次は4日後かぁ」


 次殺人を出来るまで4日間悶々と過ごさないといけないのか。これは中々辛いかも。何しようか……


 ――ピコン! ピコン!


 通話の着信音が鳴り出した。発信者を見ると『秋川莉桜』、コスモスだった。


「秋川さん、どうしましたか?」

「どうしたもこうしたも無いよ! 突然ライブラの状態がログインでもログアウトでも無く、『ログイン制限中』の表示になったから何かあったのかと思って」


 あの空間に転移して今まで、10分も無い気がするんだけど、何があればそんなに早く……まぁいいか。


「特に問題はありませんよ。4日で終わるものですし、私に咎があった訳でもありませんから」

「そう? なら良かった! 殺人のし過ぎでBANされちゃったのかと」

「大丈夫ですよ。全プレイヤーの中で私が1番被通報数が多かったらしいですが、それは理由にならないそうですから」

「へ、へぇ……それは良かった、のかな? でもシステム的に良いのかな、それ」

「それは私たちの気にすることではないですから、良いのでしょう」

「そっか、そうだね! そうだ、これからは莉桜って呼び捨てで呼んで! 向こうでも呼び捨てなんだから」

「分かりました。これからは莉桜と呼ばせて貰いますね」

「うん、これからもよろしくね月華!」

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― 新着の感想 ―
[一言] ゲーム内時間24日分のログイン停止措置……… はて、運営からの補填は如何程のものになるのか()
[一言] つまり次のアプデが終わると殺人許可証が正式発行されたキラーが解き放たれるんですね解ります 他のプレイヤーはこの4日で強くならなきゃダメですわ …セルゲーム前に精神と時の部屋に入って修行したZ…
[良い点] 運営としては、やってほしくないことをできないようにしてない方が悪いという考え方なんですね。 筋金入りだ [気になる点] 物語の媒体がゲーム内となっている都合上、 周囲と比べ主人公の能力の強…
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