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73:新たな領域へ

□□□□□

tdsjquvsf pg ebsl nbhjd-uif bcztt-1 Lv.????

耐久力:∞/∞

voefstuboe uif bcztt. sftpobuf xjui uif bcztt.

□□□□□


 テキストの内容は一切理解出来なかったが、一瞬で危ないものだということは理解出来た。



 ……何これ。そもそもこれはどうやって使えばいいの、読めばいいの?



 意を決して本を開き、表紙を捲る。羊皮紙らしき紙で出来た最初の1ページには1文だけ書かれていた。


『この書はbczttへ入る1つめのusjbmである。ebslの力を得たければ、voefstuboeせよ、sftpobufせよ』


 謎の文字列と日本語が混じった文章、これは時間かかりそうね。ここじゃなくて落ち着いて読める場所に戻りましょうか。




「――これでよし……と」


 錐で京都駅を帰還場所その2に設定した後、帰還の羽で東京の拠点に帰って来た。


 今は部屋の机に向かって椅子に座っている。

 机の上には例の本、B5サイズのノート、ボールペン数本がある。ノートとペンはメダルで交換して手に入れた。


 さて、解読を始めましょうか……


「っひぁあああっ?!」


 読み始めようと2ページ目を開いて文を見た時、全身に震えと悪寒が走った。

 慌てて目を離して本を閉じる。


「はぁ……はぁっ…………。ふぅ」


 目を離した後も震えは残っていたが、深呼吸をして精神を落ちつかせると、すぐ震えも無くなった。



 な、何今のは。見ただけでこうなるって、危険物にも程があるでしょう?!

 心の準備をしてもう1回見ましょう。何かしらの状態異常だと思うからステータスもちゃんと確認しよう。


「っっ…………。だ、大丈夫かな……」


 もう一度開いて文を見ると、同じように震えと悪寒が襲う。だが、来ると分かっていたからか読むのに支障が出るほどではない。

 ステータスを確認すると、そこには【恐怖・強】の状態異常があった。



 ……え? これが強なの、全然強く無いというか恐怖とすら言えない程度だけど。落ち着いて受けたらそう騒ぐ程でも無かった。


 《恐怖の瞳》の効果ってこの程度だったの。逆に考えると、これを受けて殺せてたってことだよね。どういうこと? たまたま今回の恐怖が弱くなってただけとか?


 ともかく、これなら読み進められるでしょう。今度こそ解読を始めましょうか――





「ebslには複数のbsdipoが存在し、gfbsやnbeoftt、tbdsjgjdf、eftuspzが――」



「全ての属性には極点が存在する。bczttとは、ebslのdmjnbyへの入口である――」



「――この全てをvoefstuboeした者はsftpobufすることが出来るだろう。……ふぅ」




 ひとまず最後のページまで読み進めることが出来た。


 この文字列は既存の言語の文字列を少し変えただけだったため翻訳自体は出来たが、読解には非常に時間がかかった。……恐怖と言えない程度の【恐怖・強】も相まって。


 時間を確認すると、読み始めてから半日経過していたことに気が付いた。



 もうこんな時間か……。

 ところで、読み終わったけど何も起きないの? 何か他に情報は?


 終わりだと思っていたが、裏表紙の裏面にこの1文が書かれているのに気がついた。


『jg zpv dbo voefstuboe bmm uijt,tipx nf zpvs xjmm up sftpobuf.』



 えっと…………つまり、『もしこれを全て理解出来たのならば、あなたの共鳴する意志を示しなさい』ってところかな?


「私は闇属性の魔法の力を得て、深淵に共鳴することを望んでいます。…………これじゃ駄目かな?」


 意志を示すということ自体は口に出すことで間違ってないと思う。だとすると、何かが間違っているということになる。



「まさか……言語が違う?」


 もしかして、あの闇が話してた言語で話しなさいってこと? 何をどう話すのかイメージすらないのに。

 せめて、何か少しのサンプルに出来る例でもあれば………………




「あっ、いた」


 長考の末、1つだけこの言語の発音方法の例を見ていたことを思い出す。



 このゲームを始めたばかりの時、私を最初に殺した闇がいた。

 さっきの闇と話してる言葉は同じだった。だけどあの時は何故か、話している言葉を文字として理解出来ていた。


 その理由は分からないがそのおかげで、この言語をどのように発音するかはイメージが出来た。



「つまり…………xjti up hbjo uif qpxfs pg uif ebsl. xjti up sftpobuf xjui uif bcztt!」


 そう唱えたと同時に本から闇のオーラが溢れ出し、そのオーラに包まれて意識が闇に呑み込まれた――――





 暫く眠っていた後、頭痛と共に目が覚めた。

 それと同時に頭にアナウンスが響き渡る。


――スキル《深淵-領域拡張》を獲得しました――

――スキル《治癒・弱》を削除することでクラスアップデートを行うことが出来ます。実行しますか?――



 クラスアップデート? 何の?

 治癒は頻繁に使ってた訳じゃないし、HP回復薬でどうにか出来るでしょう。削除は……『はい』で。



――共鳴属性が『闇』になりました――

――ステータスに『深淵共鳴度』が追加されました――


 情報量が多い……。1つずつ確認しよう。


 まずはステータスから。


□□□□□

ライブラ Lv.25

HP:1240/1240 MP:341/341

深淵共鳴度:1

耐性

火:0 水:0 氷:0 雷:0 風:0 地:0 光:70 闇:50 物理:0

スキル

《鑑定》《インベントリ》

《狂風》《自由飛翔》《見切り》《狂化》《恐怖の瞳》《二刀流》《心の目》《冥界の掟》《無形の瘴霧》《死の波紋》《沸騰する狂気》《深淵-領域拡張》

□□□□□


 深淵共鳴度の項目が増えている。共鳴が何かはよく分かってないけど、深淵が何かならある程度理解出来た。


 深淵というのは、闇属性の魔法の深奥・極点・原初にあたるものらしい。つまり他の属性も同じようなものがあるんでしょうね。


 共鳴属性っていうのは、極点に至ることが出来る属性になるのかな? これは推測だけど。



 次はスキル《深淵-領域拡張》ね。


□□□□□

《深淵-領域拡張》

MP:0 CT:0

効果:深淵に属する魔法の対象領域を拡張する。

※拡張範囲は深淵共鳴度に依存する。

□□□□□


 なんて単純な効果説明文なんだろう。効果とスキル名の言ってることがほぼ同じ。深淵に属するってことは、闇属性ってことだよね。



 予想以上に時間かかったけど、かなり大きな成果だったと思う。特にステータスに項目が増えたのは、多分重要そうだし。



 この本を容易に入手出来たこととか、ステータスそのものに変化が生じたこととか、考えたいことは色々ある。だけど殺戮のための成長になるのなら、深く考える必要はないでしょう。



 ――確認は済んだし、今日はログアウトしよう。更なる殺戮の為にも、今後も魔法の強化と自己研鑽には励みましょうか……

本話で第1章終了となります、読んでくださる皆様のお陰でここまで続けられました。本当にありがとうございます!

ブックマーク、高評価なども頂けますと嬉しいです!


次話より第2章となりますので、これからも楽しんで読んで頂けますと幸いです。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ありそうでなかったゲーム世界で、序盤は引き込まれたし、その点は良かったと思う。 [気になる点] 本来はキャラクターが動き回った結果として展開が生まれるわけだけど、この作品からは目的の展開を…
[一言] 闇属性ボスの周回とかするんかな
[一言] すごくおもしろいです!
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