表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
63/127

63:第1回公式イベント-13

 流石に時間を使い過ぎてしまったため、《恐怖の瞳》は常時強にする。そして、建物から出て《自由飛翔》で高所に飛んでフロート10台の位置を確かめる。


「見つけた」


 近い所から順に行きましょうか。まずはあれね。


 フロートの上に降り立ちアイテムの有無を確認すると、盾の形をした銀色のペンダントを見つけた。これは当たりでしょうね。



 ペンダントを眺めていると周りに少しずつ人が集まっていた。


「はぁ!? 鬼がそれ取んのは反則だろ!」


 正に飛んで火に入る夏の虫ね。わざわざ自分から鬼の方に来てくれるなんて。


 プレイヤー達の方を見ると、想定通り全員が恐怖状態になって苦しみ始めた。私は殺し零しが無いように見える限りのプレイヤーを双剣と《死の波紋》で全員殺しきる。


 さて、次行きましょうか。



 2つ目のフロートまで飛んで来たが、見た所ここにはペンダントは無かった。


 それならここは良いか――


「は?! 何で鬼が」


 一度近くを見回したらフロートに登ろうとしている人が目に入った。そして、同時に《恐怖の瞳》強が入る。


「うわぁあっ!? っ…………がぁっ……!」


 ふふっ、こんなタイミングで会うなんて。向こうからしたらたまったものじゃないでしょうね。



 そして私は《心の目》と目視で周りの確認をしたところ、ここの周りに30人程集まっていることに気が付いた。


 実際このペンダントを取りに行くメリットは大きい。取ってすぐ鬼にやられてもプラマイゼロ、やられなければその後余裕が出来る。だから、これ置いてあるかもしれない場所には人が群がることになる。


 だけど、鬼側からするとそれはただの狩場になるんだけどね。


 集まっていた人たちをいつも通り《恐怖の瞳》と《死の波紋》で殺す。

 殺している間にも数人がノコノコとやって来たので、そういう人たちも逃さない。


 これは凄まじい入れ食い状態ね。ここでこれだけなら他の場所にも期待が持てる。



 目に入った人を一通り殺した後、10のフロートを回る為に直ぐに《自由飛翔》で飛び立った。






「ここも無しか……」

 ただ今10台目のフロートに飛んで来た所だけど、ペンダントがここにもない。今回収集出来たのが3個、つまり2個取られてることになる。

 移動する毎に辺りの人たちを全員殺してた弊害が出た。でも、だからこそ数を大幅に減らせたと考えるとどっちが良かったかは分からない。


 ……これは考えないのが得策でしょうね。

 ペンダント持ってる人は鎧武者達が処理してることを願いましょうか。


「やっべ逃げろ!」

「うわっ!?」


 フロートがあるとペンダントの有無に関わらず人は寄ってくる。プレイヤー間の情報共有は口頭でしか出来ないから必然ではある。


 視界に入れられれば大体殺せてるから、楽と言えば楽だけど、波がなくて少々つまらないというのが本音。



 目に見える所にいる人たちを殺していると、一際目立つ容貌の人が現れた。

 その人は全身に西洋風の金属の鎧を纏っていた。顔も完全に隠して、正に完全防備と言うような格好だ。


 見るからに物理の耐性高そうな装備ね……それに《恐怖の瞳》の効果が入っていないように見えるし。


「いざ、勝負!」


 え? 戦うつもりなの? それは予想外。


 西洋の剣を構えてこちらに切りかかってきた。


 あれ、正に中世の鎧騎士の装備ね。それにしてもどうしようか。《恐怖の瞳》が入らないってことはそれなりの強さはある訳だし。今はHP30万に耐性99%なのも知られてる筈だからそれを削れる算段もあるんでしょう。


 鎧騎士が切りかかってきたので、私は……



「はああっ!!」


 ――シュン!


 避けることも無く剣はすり抜けた。

 《無形の瘴霧》様々ね。そういえばすっかり忘れてたけど、この霧状態で触れたら状態異常【腐蝕】とやらを与えられるんだったっけ。彼で試させて貰いましょうか。


 私は霧状態となり、鎧の隙間から霧が入り込む。1mm程度なら入り込めることは既に確認済みなので問題ない。


「なっ?!」


 体がめり込んでいく感覚がするとともに、煙と何かが溶けるような音が出始める。


「あ゛あ゛あ゛あ゛ああああぁぁぁっっ!」


 絶叫し始めたと同時に、霧状態から元に戻る。


 効果はどうだろう。鎧着てるせいであんまり見えないけど、煙が出てる辺り身体は溶けてると考えて大丈夫かな?



「う…………あ゛あっ……」

 ――シューーーッ…………


 赤、黒、紫を混ぜたような色の液体が広がって来た。どうやら身体が溶けた液らしい。

 鎧騎士はすぐに立てなくなったようで、膝から崩れ落ちて倒れ、間も無く死んで消えた。



 これが腐蝕ねぇ…………苦痛はそれなりのものがありそうだけど。溶けてる感じからして、塩酸とか硫酸とかをかけられてるのに近いのかな?実際かけたことも、それを見たことも無いけどね。

 それじゃ、フロート周りは大体殺せたし残りは1時間。最後まで全力で殺しまくりましょうか。





――第3Rが終了しました。残り人数は76人です。元のエリアに転移します――


「ふぅ…………」


 はぁぁ……全滅までは行かなかった。ミコで遊びすぎちゃったかもしれない。でも1時間遊んでた割には、頑張った方だと思う。

 最後の方《心の目》を使っても、飛んで上から探しても人の影見えなかったんだけど。残り76人は一体どこにいたんだろうね。


 でも充分に楽しめたし、ついでにスキルのテストも出来たから中々有意義な時間だった。



 今回の反省と回想をしていたら、いつの間にか転移が始まっていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ