62:第1回公式イベント-12
やっぱり楽しい時間はあっという間に過ぎるって言うのは本当ね。
あれから2時間半、テンションが上がった私は殺しに殺しまくっていた。残り1690人、このペースなら全滅も見えている。
次に標的にした建物内部に《心の目》を使う。
……ここは10人ね。
このエリアは全体的に開けている所が多いからか、大抵建物の中に隠れていることが多い。
ここはレストランのようで隠れるのには利用しやすいと考えたんでしょう。まあ、《心の目》があるから無意味なんだけど。
見えた通りに、1人ずつ隠れたプレイヤーを殺していく。
「え何でぇ?!」
「ここまで見んの!?」
見つけた時は色々と言ってくるが無視。
さて、あそこで最後ね。
最後の1人を残してここは全員殺したので、残りの個室に向かう。扉を開くと中に姿を確認したので、殺そうとしたのだが……
「ひぃっ!?」
「あっ」
私は気付いた。誰かと思えば彼女、ミコだ。
そこにいたのは病院ダンジョンで3人を殺した時、最後まで弄んだ彼女だった。
こんな偶然があるとは。もう一度会えないかと願ってはいたけどここで会えるなんて。
折角だから少し遊ばせてもらおう……とその前に貰ったあのガラス玉を使っておこう。
ガラス玉を割り隠蔽を済ませ、《インベントリ》から鉈を取り出す。獅子戦の周回をした際にアイテムボックスから出てきたものだ。
「いやっ……」
扉の外に逃げようとしたので、左脚を切り落とさない程度に切る。
――ザンッ!
「あっっ……!!」
脚から血が流れだしているのを確認し、彼女の後ろに立った上で何もしないでおく。
彼女のリアリティは低くないだろうことは知っているし、こういう遊び方もいいでしょう。
「逃げたらどうです?」
「…………へ?」
一瞬飲み込めていないようだったが、すぐにHP回復薬を出して、逃げ出そうとしていく。それを見ながら私は眼帯を外して、《恐怖の瞳》を弱にした。
「ひああっ!?」
恐怖はちゃんと入ってるね。回復は面倒だからそれは止めてもらおうか。
私は右腕を肘の辺りで切り落とす。
――ガッ! …………ザンッッ!!
「あ゛あっ…………」
よし、ちゃんと切れ味が悪い。左脚も治させてないね。
「どうしました? 逃げないんです?」
「はぁっ…………な、何を…………」
この程度じゃ恐怖は弱かったかな。それなら左手も切り落とそう。
――ザンッッ!!
「いだぁっ!!」
ふふっ……切れ味の悪い方が痛みが強いっていうのは本当なのね。
「ほらほら、逃げてもいいんですよ」
「はぁっ…………自分で切っておいて、何……を……」
――ザシュッ!
今度は双剣に持ち替えて右の太腿に突き刺す。
「うぁっ…………」
刺した拍子に転んだ、まあ転ばせるために刺したんだけど。
「どうしました? 早く逃げないと殺しますよ?」
「うぅっ…………いやぁ……なんで…………」
もう泣かれてしまった。でもなぁ、泣かれると余計に嗜虐心唆られるんだよねぇ…………
「ふふっ。それっ」
足をこちらに向けてくれたので、両足を真ん中で切り裂こうと鉈を横に振り切ると……
――ザッ!!
左足の途中で止まってしまった。
「いぁっ…………」
鉈を一度引き出してもう一度振る。
――ザッッ!!
まだ切れない。骨ごと切るのは大変なのかもね。もう1回。
――ザンッ!
「いぎぃっっ!!」
切る場所がズレてしまった。わざとだけど。
――ザシュン!!
左足の半分が切り落とされた。
「ふふっ……ごめんなさい、中々切れなくて」
「…………なに………………を……」
「それじゃ、次は右足、行きますね」
「…………ぁっ……」
――ザンッッ!
「うぁっ…………やめ…………」
――ザシュッ!!
「いぁああああっっ!!」
――ザシュン!!
「あれ、思ったより早く切れてしまいましたね」
「はぁっ、はっ…………」
「それじゃあ、次は左足首ですね。少しずつ上にずらしていきましょうか」
「あっ、いや…………」
――ザンッッ!!!
「ふぅっ。これで7回目ですか、次は右脚4回目行きましょうか!」
「………っ……………ぁあ…………えぁ…………」
顔が涙や涎で酷いことになっているし、全く呂律が回らなくなっている。
あなたにそんな顔されると酷く唆られるんだけど。
「そういえば、イベント中だと強制ログアウトが発動しないらしいですね」
「ぁ…………ぇぁ…………」
「でもダンジョンとは違って、今は自分の意思でログアウトは出来るでしょう?」
「…………ぁ…………ぅぁ……」
「何です? 頭働きませんか……まぁそんな白目剥いてるくらいですし、そうでしょうね」
私は一度辺りを見回してある物を探す。
「あ、あった。ほら、HP回復薬です。帰ってきて下さい?」
脚の傷口にかけると、傷が段々と治っていくのが見て取れる。
「はぁっ………………はぁっ…………」
「あら、おかえりなさい」
「ひぁっ!? あ、あなた…………何のためにこんなこと…………」
「んー、後で話しますよ。とりあえず今は続きです、行きますね?」
「いやぁあああああああ!! やめてやめてやめてやめてやめてやめて……」
「何です、あなたに拒否権はありませんよ?」
――ザンッッ!!
「いああああぁぁ!!」
膝上辺りまで切り進めた所でアナウンスが流れ出した。
――特殊イベントが発生しました。エリア内にフロートが10台発生しました。うち5台には鬼からの攻撃を一度無効化し、鬼を一定時間行動不能にするアイテムが設置されています――
「はぁ…………なるほど」
これは放置したら私が困る案件ね。残念だけどここはこれまでかな。って、1時間以上もここいたの?!
「少々遊び過ぎてしまったようなので、ここでお終いです。良かったですね、やめてって言ってましたよね」
「っ、どの口が…………」
私は彼女を仰向けにひっくり返した後、上に跨って押さえつける。
そして、双剣に持ち替えて1本を口の中に刺し込んで、小声で彼女の耳元で囁く。
「病院の時より楽しかったですよ。また遊ばせて下さいね」
「あ、あの時の!?」
――ザンッッ!!
うん、かなり楽しかった! やっぱり彼女以上に弄び甲斐のある人は居ないんじゃないかな?
まあ、今はアイテム回収に行きましょうか。その後は全滅するまで殺してやりましょう…………




