5:初めての〇〇
またひたすら歩いていると、ついに住宅街から大通りに出られた。
「やっと出られた……」
さっきから住宅街から全く出られず2時間ほどさ迷っていたけど、やっと景色が変わった。
「ずっと同じような景色ばっかりだったし……なんでこの世界でいきなり迷路することになるの……」
全く……せめて初期拠点の地図があれば……
「ん?地図?」
完全に忘れていた。UIの中に地図があったんだった。
「どれどれ…………って、えっ」
どうやらこの地図は一度通らないと記録されないようなのだけど……
「同じ所ぐるぐる回ってただけだ……」
何と言うか……誰にも見られてなくて良かった。まさか自分がここまで方向音痴だったとは。
自宅と学校間しか外に出てなかったし、見知らぬ土地に行くことなんて無かったから気付かなかった。
気にしても仕方ない! うん、次からは地図があるし大丈夫だ。大丈夫……だよね?
それにしても静かだね。大通りなのに車も人も見られない。日本の土地にゲームプレイヤー分しか人が居ないことになるんだから、そりゃ少ないか。
って、あれは! 人だ!
つい隠れてしまったけど、やっと人に会えた……このゲーム始まったばっかりだからLv20以下だろうし、PKは起きないから普通に出てみるか。
でもその前に、《鑑定》!
□□□□□
カイ Lv.21
※詳細鑑定不能※
□□□□□
うわ、凄いLv高い……あの人もしかしたら凄い人なのかもしれない。
……あっ、待てよ?確かこのゲームのPKはLv20以下はされないだけで、PKすることは出来るんじゃない?
相手は1人で武器は見たところ持ってない。もしかしたらチャンスなんじゃない?
「よし、殺ろう」
相手との距離は約150m、身長170cmで首に防具の類は無い。こっち側に歩いてきてるけど、気付いてる素振りは無いし、ひとまず路地裏に隠れておこう。
――よし、通り過ぎたね。
じゃあ……《隠密》《追風・弱》《静音・弱》!
駆け出してすぐに背後につく。
では死んで貰いましょう。
――――せいっ!
「ぐぁっ!! がはっ…………」
首を斬って押し倒す、反撃されないようにしたけど、これで行けたかな?
っと、消えた。ってことは死んだかな?
人が殺される時の声はまた新鮮だなぁ……今顔を見られるのは困るから、私も死に際の顔見られなかったのはちょっと惜しい。隠密スキルは姿を完全に消せる訳じゃないみたいだし。
――431ネイを獲得しました――
――Lv6に上がりました――
――スキル《暗殺・弱》を獲得しました――
Lv差大きかったけどアイテムは少ないんだね。それより殺人をしたこの感覚の方がいい報酬になる。
「ふふっ」
この世界では人を殺しても大丈夫、私を縛る法律という枷は存在しない。
殺人に限らず他のことに手を出してもいいかもしれない、この世界を駆け回りたい! ここなら私のこの好奇心を満たされるまで開放し続けられる!
「次は何をしようかなぁ……」
今日、私はこの世界を私の心のままに生きるための第一歩を踏み出した。