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19:情報交換

 ――チーン!


 エレベーターに乗って1階に戻って来た。人は居ないようだった。


 ふぅ、丁度ここはセーフティエリアだし、今日はここらでログアウトしよう。





 うーっ、ちょっと頭が痛い。時間は…………4,5時間くらい経ってる、丸1日もやってたのね。


 それにしても今日は中々濃い1日だった。Lvもかなり上がったし、明日からは長時間出来るようになるから、色々と出来ることは増えそうだね。今後が楽しみだ。

 とりあえず、夕食の準備とかしておかないと……




 「うーん……」


 私は夕食を食べながらテレビでニュースを見ていた。

『…………で2人を殺害、7人に骨折などの怪我を負わせたとして、警察は殺人などの罪で〇〇〇〇容疑者を逮捕しました。〇〇容疑者は取り調べで「注目されるために殺した」などと供述しており、容疑を認めているということです。続いての…………』


 全く、一体何をやっているんだか。それもいい歳した大人が。行動するのは法律で許される範囲に抑えるべきでしょう。

 私だって行動には線引きをしている、法律があるという理由もあるが親に迷惑がかかるんだもの。FIWの中では許されているのだから、殺すし嬲るし弄ぶ。今後もそういうことをやめるつもりは無い。


「ふぅ。ご馳走様でした」


 さて、食器を片付けたらどうしよう、掲示板で情報収集でもしようか。


 ――ピコン!


 秋川さんからのチャットの通知だ。


『月華さん今時間あるかな? あればちょっと通話したいんだけど』


 どうしたんだろうか。家事の諸々済ませないとだし、『30分程後なら大丈夫です』と。



 一体何だろう。通話出来る時になったらしてと言われたので、かけている所だが。


「秋川さん、どうしたんですか?」

「月華さん今日ってFIWやった? あと今Lv幾つ?」

「はい、少し前までやっていましたが。Lvは17になりました」

「えっ17!? いつの間に……私まだ12なのに。あ、でも20は超えてないね。ならちょっと話したいことがあるの、長くなるかもしれないんだけど」


 話? それもLv関係とは、一体何だろう。


「構いませんよ、時間ならありますから」

「うん分かった。実は私達の高校でFIWをやってる人達の何人かのチャットグループがあって、そこで聞いた話とも関係があるんだけど。あ、月華さんも入る? でも、そういうのあんまり好きじゃなさそうだよね……?」

「そうですね……今の所は遠慮いたします」

「そっか。そこでね、詳しいことは聞いてないけど、1年の別のクラスの人が酷いことに遭わされたらしいの。その人は暫くFIW休むって言ってて。月華さんがそういうことに巻き込まれないか心配になって、PK辺りの注意を伝えようと思うの」

「そうだったんですか、わざわざありがとうございます」


 それにしてもそんなことがあったとは。酷いことをする人も居るものだ。私はしたいからするけど。


「まずはする方とされる方が両方20以下の時はね――――」


 えっと、今の秋川さんの説明をまとめると……


・20以下→20以下:そもそも攻撃出来ないので何も起きない。

・21以上→20以下:そもそも攻撃出来ない上、した側にペナルティあり。

・20以下→21以上:初撃を受ける前は反撃は出来ない。受けた以降は、反撃とキルまで可能になる。

・21以上→21以上:制限無し。


……こんな所かな。


「なるほど……大体分かりました」

「その人はLv21以上だったんだけど、Lv21以上のそこのルールってちょっと複雑で調べないと分かりにくいんだよね」

「分かりやすかったですよ、助かりました」

「ほんと? よかった。折角楽しそうだったのにやるのが辛くなったら悲しいもん」

「ありがとうございます。ところで話というのは今のという事で?」

「あ、うん。折角だし、何してたか話しよう! いいかな?」

「はい、勿論」

「ありがと! それで私はね――――」



「――――それでダンジョン内で装備品を見付けたんです。2つあるんですが、1つはLv不足で効果が分からず……」

「えっ凄い! 装備品……魔道具って中々見つからないって掲示板でも言われてるのに。その上性能の当たり外れも色々あるんだよね」

「そうなんですか、私が見付けたのは…………秘密にしましょうか。こういうのは易々と話さないものらしいですし」

「そうだね、それに会った時に勝負するんだし、それまでは内緒ね! あ、それもだけど、服もだよ! 1部の生産系プレイヤーが服を作って売ってるらしくて! デザインも色々あって掲示板で話されてたんだよね」

「服ですか……服の魔道具とか防具ってあるんですかね?」

「服の魔道具は聞かないかな…………防具は色々出来てるらしいよ。鎧とか篭手とか作られてて、デザイン性も試行錯誤されてるって」


 服の魔道具は無いのか……もしかしたらあれは中々貴重なものなのかも。



「――――そうだ、東京の掲示板で見たんだけど龍? が出て大変だったって。その話知ってる? 何でも情報提供者が2,3人しかいないけど、信憑性が高いから話題になってて」

「あー、そうですね。知ってますよ」

「そっか、それにしても東京エリアだと龍も出るんだね……京都エリアだとそういう事無くて。情報も増えればいいんだけど」

「なんと言いますか、秋川さんだから話しますが、その情報提供者? その内の1人私だと思うんですよ、その場に居ましたので」

「え!? 嘘! そうだったの?!」

「はい、他の人に内緒にすると約束して頂けたら少し詳しく話せますが」

「うん、勿論秘密にする」

「はい。では、竜の名前は鯉登の幟竜でLv40。黒光りした巨大な鯉の見た目で、ブレスによって波が発生して…………」

「待って待って! 何で月華さんそこまで詳しいの?! その場にいたって公園の敷地に居たってことじゃないの?」

「いえ、竜が出てきたのが私のすぐ前でしたので。危うく死にかけましたが」

「月華さん……情報量の波に呑み込まれてついてけない。とにかく生き残れたのなら良かったけど…………」



 私達はその後、雑談と情報交換を暫く続けて通話を終わらせた。

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