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101/127

101:不可侵領域、再臨

 1人で地下に向かう通路を進む。

 前回の時とは違い、先に待つものが何か分かっているし戦える能力も持っているので、何も心配することは無い。


「うん、ここも久しぶり」


 全面真っ白の立方体の空間が見えてくる。中央にはベージュ色の球体、六天がいる。

 1度試しに《鑑定》を使ってみる。前は恐怖感に襲われていたが殆ど変化は無かった。


「それはそれとして……」

 この剣は……左が変幻自在、右が極悪非道にしておこう。ローブは今は着ない方が動きやすいか。

 それじゃあ、行こう。


 通路から飛び出すと道が閉ざされ、後戻り出来なくなる。勿論戻るつもりは微塵も無いが。

 立方体の下の面に向けて、途中で《自由飛翔》を使いながら降下する。減速する必要は無いので地面と垂直な体勢になり、地面が近づいた所で頭の向きを上に戻して着陸する。



「――――――!!」


 すると六天からこの世のものとは思えない音が響き、同時に球体が沸騰して泡沫が飛び散る。そして泡は分裂や合成を繰り返して形を変え、人の顔のようなベージュ色の仮面が30体ほど現れる。


□□□□□

潰爛-dpmmbqtf Lv.????

HP:????/???? MP:????/????

□□□□□


 《鑑定》をした所、過去に見たものと同じ結果が出た。


 再確認……。潰爛-『崩壊』の弱点は刺突、特に物理に弱い。注意すべきなのは、30を超える全ての個体から放たれる白い光線。……他に考慮するものは無いか。

「さて、行こうか」


 再び飛び立ち、左手の短剣『変幻自在』を構える。仮面の群れに近付くと、一斉に口を開いて光線を発射する。

 そこに合わせて上下左右に旋回することで、かすることも無く仮面に接近する。


「それっ」

 距離が残り数mというところで、短剣を仮面に向けて伸ばす。刃は少し薄くなって、飛ぶスピード以上に速く伸びていく。

 素早い動きの出来ない仮面は、為す術なく刃を受けて粉々に砕け散った。


「ふふっ、これは……かなり使えそうかも」

 ローブの方も色々悪いことが出来そうだったけど、殺傷力のあるものを変形させられるのもいいかも。体内でも出来るってことだから……


「おっと」


 少々ぼうっとしていて反応が遅れたが、光線が放たれたので回避する。


 そして1体粉砕させた後、刃は元に戻さずに別の仮面にターゲットを移す。

 体と短剣をターゲットに向けて加速させる。すると、刃は鞭のようにしなって仮面の右の縁に命中する。


「あぁ、これじゃ駄目なの」

 ちゃんと正面から当てないと金属みたいな硬さになるのね。

 使い勝手の方は……かなり良い。ただ、柄の向きとか体の位置を変えると、刃の形がそのまま動くからそれも考えて変形させないと大変そうかな。

 それじゃ、今度こそ次は……


 弾かれた刃を仮面の手前の長さまで縮めて、今度は正面に向けて刃を伸ばす。

 すると、今度は問題なく粉砕することが出来た。


「残りも行きましょうか」


 1度刃を元の長さに戻して息を整える。

 そして全体を確認した後、続きの3体目以降の撃破を開始した。




「さて、これで半分かな」


 外側にいた仮面を粉砕したところで1度全体を見回す。見ただけで分かるくらいには数が減っており、残りは13体だった。

 このタイミングで1度剣を《インベントリ》に仕舞い、クロスボウを取り出した。


「確か……。うん、あった」


 クロスボウの他に、アルミ製のごく普通の矢を取り出す。普通の矢も使える時があるだろうということで、予め30本用意しておいていた。


「こっちの矢でも試し打ちしておこう」

 さてどんなものかな……って、おっと。


 矢を装填して構えたところで光線が発射されたので、加速して回避する。

 しばらく回避していたが光線が止む気配がないので、飛翔したまま発射することにする。


「…………それっ!」

 よし、命中。かなり遅いから、偏差撃ちを考慮する必要も無いし簡単簡単。

 それじゃあ残り12体も落とそうか。




「これであと1体……よし、これで全部ね」


 順調にクロスボウで仮面を狙撃し続け、無事全滅させた。矢の方は全て回収したが、耐久力が低いからか程度に差はあれど全て破損していた。


「無事なのは17本か、まぁしょうがない」

 そんなことより今は次……正直あまり見たくはないけど、言ってる暇も無い。


「――――――!!」


 再び六天から音が響いて沸騰し始める。

 次に現れたのは冒涜-『狂気』。人の形をしているが、目から腕が生えたり胴体に眼球があったりと、これを認識していたいとは到底思えない見た目だ。


「ほんっっと気持ち悪い……」

 どうしてこんな見た目なのか疑問。体裁が整っていない意味で不細工の極地って言いたくなるくらい酷い。

 うん、消そう。目に入れたくもないから1秒でも早く殺そう。


 10体現れたので、その内の1体に飛翔して急加速する。

 すると接近している最中、全ての個体が視界の右へと平行移動し始めた。


「えっ何……あぁ、あれか」

 重力が私から見て右向きになったんだ。飛んでたから気付かなかった。言われてみれば体内の血液が右の方に寄った感覚がある。


「まぁ、気にする必要もないか」


 気を取り直し、今の地面の上空に位置取った。この異形は地面に居座って飛ぶ気配は無い。


「ならこれで行こうか」


 《インベントリ》からローブを取り出して装備した後、《禍雨》を発動して全体攻撃を試みる。だが上を見ても雲が見えない。

 室内だからかと思って気にせずに攻撃しようとしたその時……


「ちょっ……と、何で?」

 何で横から雨が降って来る訳……あぁ、これ元の向き依存なのね。雨は普通に降ってるけど私が90度横になってるからこんな奇妙なことになったのね。


 雨を受けて若干反応がある異形を尻目に考え事を始める。


 魔物とか相手だと影響が多いとは言えないけど、人相手なら動揺も誘えそう。次に目指すべきは重力操作かな……?


 そんなことを考えていると、異形がこちらに向けて。正確にはさっきまでの反対の面に向けて落下していた。

 実際こちら側に近付いているのも事実だったが。


「今度は飲み込まれるつもりはさらさら無いし、近付いた奴から殺す」


 異形に向けた独り言を放ち、双剣を構えた。

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[一言] 思ったより余裕そう さすがライブラ
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