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行き当たりばったりな話

作者: 相浦アキラ

「あーセックスしてーなー」


 この物語の主人公、背楠四せっくすし泰三たいぞう

 彼は現実世界に生きる一般的な男子学生です。


 ……それにしても「あーセックスしてーなー」ですか。

 まあ一般的な男子学生なら普通に抱く感情だと思いますので、ついつい独り言で発露してしまうのは致し方ないかも知れませんね。


「セックスしてー」


 二回目ですね。

 二回も言う程セックスがしたくて堪らないのでしょうか。

 一回だけならまだしも二回も言うのはちょっと怖いですね。


「うるせーな! 人の勝手だろ!」


 ええ……ヤバいですよこの人。

 誰もいない所に向かって怒っています。怖いです。


「お前に言ってんだよ! お前に!」


 もしかして……私の声が聞こえているのですか?


「聞こえてるぜえええ! それに見えてるぜええええええええ!」


 何という事でしょう。

 適当にコメディ短編書いていたらなし崩し的にメタフィクションになってしまいました。

 どう収拾付ければいいか現時点の私には全く分かりません。


「お前よぉ……作者なんだろ?」


 まあそうですけど。


「じゃあ俺を女にモテモテにしてくれ! ついでに億万長者の不老不死にしてくれ!」


 ええ……他力本願が過ぎますよ。

 主人公だったら「お前は余計な事はするな! 俺の夢は俺自身で掴む!」とか「俺をオモチャにしやがったお前だけは許せねえ!」とか言ってくださいよ。


「うるせー! 他力本願で悪いか! 誰だって一人では生きていけないんだよ!」


 いいセリフみたいに言わないでください。

 あなたそれでも主人公ですか?


「別にどうでもいいけど? 俺はモテモテになってセックスしまくって贅沢三昧できれば後はどうでもいいぜ!」


 なんつー世俗的な主人公なんでしょうか。


「オラ早くしてくれよ! まずはオタクに優しい男勝りポニテ並乳幼馴染同級生と、普通に血が繋がってるヤンデレっぽいけどギリギリヤンデレじゃない少しヤンデレなポニテ貧乳妹と、クールで無口だけど俺にだけデレデレな巨乳ショート眼鏡っ子を存在する事にするんだよ! ああクールな子は眼鏡外すとかいう展開はいらないから! 俺、眼鏡属性あるから!」


 ……めっちゃ早口過ぎるし要求が具体的過ぎて怖いですよ。


「うるせーなー! オラ早くしろよ! 早くしないとエロエロワード連発してR18送りにすんぞ!」


 あーもう分かりましたよ。……出でよ!


「おっ泰三じゃん。って何で私泰三の部屋にいんだ?」


「お兄ちゃん! ねー遊ぼうよー!」


「泰三……」


「よっしゃああああああああああああ!」


 あーもう……どう収拾付ければいいんですか……これ。


「収拾付かないなら無理矢理終わればいいだろうが! 億万長者と不老不死も忘れるなよ!」


 ええ……でも。


「もう飽きて来たしネタも思いつかないんだろ?」


 まあそれはどうですけど。


「じゃあ終われよ! ハッピーエンドで終われ! 一秒でも早く!」


 ……なんか納得いかないけどそうします。


 こうして泰三は億万長者の不老不死になり、アホみたいにデカいハーレム宮殿を作って永遠にセックスをし続けましたとさ。


「よっしゃあああああああああああああああああ!」


 ……めでたしめでたし。

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