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SS08.ハンバーグの美味しいレストランの女将の独白

いつまで小話アップできるかな。

とある日の夜、子供二人が店に来たんだ。

そりゃぁ、ビックリしたさ。

どう見ても子供の二人は、隠しているようだけど貴族のように見えたんだ。


なんでかって?


そりゃぁ、身なりは私たちと変わらないのに所作や振る舞いが貴族でしたと言っているように見えたのさ。


没落した貴族なんざ、横柄な態度を取るか弱々しいかのどちらかなのに、その二人は違ってたさね。


何かって?




強く生きている、そう見えたんだよ。




暗い顔してたんだけどさ、うちのハンバーグを食べたら二人ともとびきりの笑顔になってねぇ。

可愛いったらありゃしないよ。



レオンは普通のハンバーグに大根おろしのソースが好きでセドリックはチーズインのハンバーグが好きなのさ。


初めて店に来た時はレオンのことを女の子だと思ったねぇ。よくいるからね、平民には髪の毛の短い女の子が。


年頃になるとレオン程短い子はいなくなるけど、手入れが手間だったりするから短くする子も多いのさ。


それでさ、レオンが騎士になると話を聞いて驚いたよ。男だっていうのは冗談半分で聞いていたけど、騎士になれるくらいの剣の腕があるなら男なのだろうねぇ。


セドリックは心配そうにしていたけど、養われている身だから文句も言えないみたいでね、仲の良い兄弟ってのは、あぁなるもんかね。


うちの息子達なんて年中、喧嘩ばかりだからさ、お前達も見習えって何度も叱り飛ばしたよ。



レオンが卒業した日は常連達でお祝いをしたんだよ。赴任先が私たちの住む王都で護衛班だなんて名誉な職場に配属されたからね。


街中のゴロツキをレオンの細腕でギャフンと言わせる日がきたのかと思うと感慨深いね。


うちに初めて来た時なんて、細っこくて女みたいで痩せっぽっちで。

髪の毛もボサボサで、いつも疲れていたのに、騎士の学校に入ってから食事もまともになったのか身体付きもしっかりしてきたけど、それでも周りの男達に比べたら線が細くて心配していたんだよ。


レオンは皆んなに愛されているからね。

皆んなで地域を護っていこうと誓ったさね。



もちろん、セドリックだって私達からしたら大切な息子さね。



騎士になってからも、うちの店にはセドリックと通ってくれていたんだけど、ある日突然、すんごい良い顔をした男を連れてきたんだよ。




あの時の衝撃は忘れられないさね。



娘がいないからわからないけど、娘が彼氏を連れてきた時の父親の気分だったよ!

息子が彼女を連れてきた時よりも衝撃だったさ。



顔の良い男はレオンよりも身体付きがしっかりしていたね。ありゃぁ、上司だろうけど間違いなく恋人だ。違うってんなら男の方がレオンに気があって付き纏っているね。


街の娘っ子達が噂していたよ。

カッコいい人がレオンと一緒にいるってね。

ありゃぁ、いいとこの坊ちゃんだ。

もしかしたらもしかして、公爵様とか侯爵様かもしれないねぇ。


そんくらい、男前なんだよ。


で、その時に私は自分の間違いに気付いたさ。




レオンは女の子なんだよ。




間違いないね。

あの良い男はレオンを愛おしそうに見ていたんだよ。男相手にそんな愛おしそうにするかい?もし、そっちの趣味があるなら隠すさ。

隠さないで分かるように好意を示している、愛おしそうに見つめるなんて、女の子相手としか考えられないよ。




まぁ、レオンは気づいていないようだったけどね。

あの子は肝心なところが抜けてるんだよ。

セドリックがいなければ今頃、どうなっていた事かと怖くなっちまうね。



レオンのことを心配していたけど、あんな風に大切にしてくれる男が一緒なら安心だね。


レオンが女の子だって知ったら煩い奴が多いから黙っておいたんだよ。

自分で気づけってね。




んでビックリたまげたことがあったんだよ!!



レオンはお貴族様のお姫様だったんだよ。

んで、あの顔の良い男が護っていたらしいんだ。


その男が王子様ってんだから……




いやぁ、本当に童話みたいに王子様が悪い奴を倒してお姫様を迎えに来るなんてあるんだね。



いやぁ、ビックリした。

うちの亭主も常連も口をあんぐりと開けてビックリしてたわ。




お姫様でもレオンはレオンだね。

可愛い服を着て口を大きく開けてハンバーグを食べている姿なんざ、お姫様には見えないわ。


セドリックが良いとこの坊ちゃんと知って街娘は色めきだって、きゃぁきゃぁと騒がしかったねぇ。レオンがお姫様だと知った時よりも街中が煩かったよ。


きゃぁきゃぁ、なんて可愛らしいもんじゃなかってね。獲物を狙うハイエナ如く、ぎゃぁぎゃぁと騒いでいたわ、二十台前半の女どもが。


王太子妃?とかいうお姫様になったのに、レオンはセドリックと食事に来ることがあってね。その時は煩くない常連だけを店に入れているよ。




だってね、ちょうど食事を始めた頃合いを見計らって心配した王子様が迎えに来ちゃうからね。



二人が美味しそうに、うちでハンバーグを食べてくれるだなんて、嬉しいことないさね。

子供ができたら見せにおいでと話してあるからね、孫を楽しみにしている気持ちだよ。

女将が気付けたのは年の功。

長年、店で人を見ていた観察眼。ということにしておこう。


ーーーーーーー


読んでくださり、ありがとうございます!


最後にお願いですが、★評価いただけると励みになります!!燃料投下、どうぞ、よろしくお願いします(*^▽^*)


番外編が準備できるまでは、番外編になりきれないのを小話として更新します!


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他作品の紹介!!

▼完結済み連載

「狂う程の愛を知りたい〜王太子は心を奪った令嬢に愛を乞う〜」

https://ncode.syosetu.com/n4767gl/


→一目惚れされて逃げる侯爵令嬢と追いかける王太子の話し

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― 新着の感想 ―
[良い点] このコロナの渦中、心が暖まってウキウキした作品を読めることができて、本当に幸せです。 ストーリー展開もテンポ良く、表現も明るく、読後、今日の東京のスッキリした青空のような清々しい気分になり…
[一言] こういう視点のお話、大好きです。
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