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SS05.護衛班班長ヴィンスの独白

レオンが初めて王城へ行った日に呼び出した人、上司の名前はヴィンスです。彼の独白。

ジルクハルト殿下が薬……媚薬を飲まされて城へと運び込まれた翌日に、アマルフィ公爵令息の執務室へと呼び出された。


学園は生徒の学び場ということでジルクハルト殿下に専属の護衛がつくことはなかった。学びの邪魔をしないため、他の生徒と同じように一生徒として学ぶためだ。


その学園で、媚薬とはいえ王族へ薬を盛る事件が起きた。


王都護衛班の班長として、不審な人物を学園へ侵入させた罪は大きい。

もしかすると、王都へ侵入した他国の人間かもしれない。それなら王都を護る長である私の責任だ。



責任を追求されるなら国王や宰相から呼び出されるかと思っていたが、まさか、次期宰相候補のクロード・アマルフィ公爵令息からとは思いもしなかった。


レティシア様の捜索のことで以前から付き合いがあるという理由なのだろうか。

そう思いながらアマルフィ公爵令息の執務室を訪ねた。


それが、まさかな依頼で人員の選出に苦労することになるとは。


オースティン侯爵家と関わりがなく、可能な限り身内との親交の浅い者、そしてジルクハルト殿下に侍れるだけの学力を持ち裏切らない者を紹介だなんて……難しすぎる!


ジルクハルト殿下に侍れるだけの学力があったら騎士にはなっていない。

いや……自立したくて手っ取り早く騎士爵狙いならいるかもしれない。


その日は夜遅くまで騎士団にいる現役騎士や士官学校在学中の者、つい最近、卒業した者を調べた。


そして、偶然にも一人だけいた。


平民で侯爵令息より優秀な男。

身体の線が細く騎士として勤めあげるのは難しいだろうと考えていた。

だから、ジルクハルト殿下の側で仕えることができれば、彼が将来、騎士団を辞めても実績から良い職へとつけるかもしれない。

少しだけ打算が入った。


だが、平民だ。

ジルクハルト殿下に侍れるだけの教養があるかは未知数だ。近衛ではなく王都護衛班の所属だ。荒くれ者を相手にする仕事に就けると判断されたのだから教養は期待できない。

そもそも平民の騎士に教養を求めるのが間違っている。


それかもう一人……一度、学園を中退しているが根性のある貴族の息子だ。必要最低限の教養はあるから問題はないだろう。それに、二人は仲が良いと聞く。二人まとめて王城へ呼びつければ変に勘繰ることはないはずだ。

ジルクハルト殿下に、どちらが良いのか選んでもらおう。


そう考えて二人を呼びつけた。

で、俺は大きな過ちを犯したのだ、と、気づいた。


ジルクハルト殿下が、よりにもよって平民であるレオンを気に入り側においている。

男色に目覚めさせてしまったのは俺かもしれない。


俺がレオンを呼び出さなければジルクハルト殿下は変な方向に目覚めることはなかったのだ。それなのに、二人を逢わせてしまったから、ジルクハルト殿下はレティシア様を探しながらレオンに想いを募らせてしまっている!!


王城へ通い情報を精査する日々は変わらない。王都警護に就く日や外出予定のある日が嬉しくなるくらい、王城の廊下や食堂でレティシア様に仕える予定の侍女やお針子達と出会すと視線が痛い。


女性に見つめられるのは光栄だ。

だが、刺すような視線がとても痛い。


侍女やお針子は知っているのだ。

レオンを呼び出してジルクハルト殿下に紹介してのが俺だと。


だからレティシア様ではなくレオンに心動かされているように見えているジルクハルト殿下の様子は俺のせいだと思っているのだろう。


もしこれが、もし、もしも、だ、ジルクハルト殿下が男色に目覚められて、ご結婚相手に男であるレオンを希望した場合、だ、紹介者として俺の処分は免れない。




…………困る。非常に困る。




俺には愛する妻と可愛い息子と娘がいるんだ。その暮らしを守るためにもジルクハルト殿下とレオンの親密な関係は主従関係だけであることを……願うしかない。



そう、願うしかないのだ。

だって本人に聞けないだろ?

ジルクハルト殿下に『レオンと結婚されるのですか?』なんて聞けねぇよ!




それこそ物理的に俺の首が飛ぶ。




あぁ、早くレティシア様を見つけなければ……その思いが強くなるほど、ジルクハルト殿下とレオンの仲が深まっていくように見えるのは俺の勘違いであって欲しい。



ジェイドはジェイドでジルクハルト殿下に気に入られたようだが、アイツはレオンほどではないと見てわかる。


ジェイドが報告した市井での女性の髪の毛はレティシア様のものだった。

その報告を受けたジルクハルト殿下は嬉しそうに、そして熱い眼差しで髪の毛を見て、ほんの少しだけ、わざと、レオンを見たことを俺は知っている。



マズイ。

ひじょーーーーーにマズイ。




王太子を男色に目覚めさせた男として処分をされるのは恐らく歴史上、俺だけになるだろう。


歴史に名を刻むのはありがたいが、ソウジャナイ!!






神様、女神様、レオン様、どうか、どうか、早くレティシア様を見つけてください!!




主に俺の命と家族のために!!!

読んでくださり、ありがとうございます!


最後にお願いですが、★評価いただけると励みになります!!燃料投下、どうぞ、よろしくお願いします(*^▽^*)


番外編が準備できるまでは、番外編になりきれないのを小話として更新します!


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他作品の紹介!!

▼完結済み連載

「狂う程の愛を知りたい〜王太子は心を奪った令嬢に愛を乞う〜」

https://ncode.syosetu.com/n4767gl/


→一目惚れされて逃げる侯爵令嬢と追いかける王太子の話し

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