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序章ー5

 「?!」

 だが石に当たる寸前で、魔王の手が彼の首を掴んだ。

 「小癪な奴等め。」と魔王は、苦々しげに呟いている。

 ライアンも苦悶の表情を浮かべていた。なんとか逃れようと抵抗するが、全く微動だにできない。

 すると、また魔王の身体に緑色の光が纏りだし、傷が治り始めている。

 「これは、非常にまずいですね。…」とパーティーの誰かの声が聞こえ、周囲に絶望的な空気が漂いだす。

 「これで、終いじゃ!!」

 と魔王は、さらに力を込めている。

 ライアンが呻き、

 「勇者様!?」

 とアニーの悲鳴が挙がった。

 俺は無我夢中で身体を動かしていた。

 いつもよりも早く、二人の目の前に踊り出すと、首を掴む魔王の手に再び短剣を突き刺す。

 流石の魔王も表情を歪めて怯んでいた。

 「やるなら、ちゃんとやれ!!」

 と俺が一括し、正気を取り戻したライアンは、思いっきり剣を魔石に叩きこむ。

 途端に、巨大で凄まじい爆発が起きて、炎と熱気が俺達の身体を包みこんだ。

 俺は衝撃で魔王城の壁に激突し、そのまま地面に伏して動けなくなる。

 身体は大きな火傷を負い、ズキズキと痛む。

 それでも顔を上げて様子を確認すると、魔王もライアンも地面に倒れていた。

 だが魔王の身体は半分以上が、吹き飛んでいる。

 これではもう、あの回復も追い付かないだろう。

 「うぉぉぉ!!」

 とライアンは血だらけのまま立ち上がり、最後の力を振り絞って伝説の剣を相手の眉間に突き立てた。

 おぞましい声の絶叫が響き渡り、止むと同時に魔王の身体は消滅してしまった。

 激しかった戦いが、俺達の勝利で幕を閉じた瞬間だった。

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