序章ー4
それは、手に納まるサイズの黒色の六角水晶だった。
確認した瞬間に、何なのか解った俺は驚いた。
「魔石じゃねぇか!?」
ライアンが、こくりと頷く
「あぁ、魔力が宿る石。…それも持っている物で一番に純度が高い。…これを傷を与えた後、この伝説の剣で叩けば、大爆発を引き起こせる筈だ。」
同意するようにロンダーも、
「そうか。…確かに魔石は、魔力を帯びた物で衝撃を与えれば誘爆する性質がありますね。…勝機はありますが、……。」
と説明を引き継いだが、最後に一旦話を区切る。
俺も他の仲間達も、言わんとする事の内容に予想がついた。
真っ先にアニー達が、抗議する。
「そ、それって、…剣を持つ勇者様が最も危険ではないのでは、だ、駄目ですよ!!」
「そう思うぞ、……俺も。」
「貴方は勇者ですよ。…生きて帰らねばならない筈です。」
しかし、それをライアンは手で制し、
「ありがとう。…皆が心配するのは嬉しいさ。…でも、伝説の剣は俺しか扱えないし、戦いが長引けば不利になるのは僕らだ。」
「だからやるしかない。」と力強く断言すれば、彼らは何も言えなくなった。
あいつらしい行動に、さらに俺はイライラが蓄積してくてきたので、分かりやすく溜め息を吐いてやった。
だが、それと同時に全員が立ち上がって、武器を構え出す。
仕方なく、俺も同じように行動した。
「いくぞ!!」
とライアンが再び掛け声を言うや、俺達は配置に付いて、戦闘が再開される。
流れは先ほどと同様に、ロンダーが魔法を放った。
「炎よ、…敵を穿て!!」
今までで最速の炎が、今度は魔王の顔面に直撃する。
視界を奪われて怯んだ隙に、俺達は一斉に向かって駆け出した。
その瞬間にアニーが、
「私は支援する。…何者にも負けない速さを!!」
とパーティー全体に向けて、支援魔法を唱える。これで俺達の速さが格段に上昇した。
そのまま、俺からユージの順番に魔王に攻撃して、ダメージを与える。
魔王が叫び声をあげ、ユージが待避するのを確認したら、最後にライアンが飛びかかった。
手にした魔石を、傷ついた魔王の身体に押し当てると、石を目掛けて伝説の剣を振り下ろした。