序章ー3
「……はぁ、……はぁ、えぇい、…くそ。」
やがて、仲間全員が息も絶え絶えとなっている。
俺は苦し紛れに、魔王を睨み付けた。
しかし、全く意に介していない様子で、
「…さて、どう始末してやろうか。」
と一人で思案しながら、ぼやいているようだ。
非常に腹立たしい様子に、俺の中にイライラが蓄積してくる。
ふと後ろから、アニーが小声で俺達を呼び、魔王の方を指差していた。
確認すると、奴の身体を微弱な緑色の光が包んでいて、傷を与えた部分がゆっくりと治っているのだと解った。
「あれは、なんだ?!」
とライアンが驚いていた。
詳しいアニーが説明をしていく。
「ど、どうやら、…遅延性の回復魔法みたいです。…き、傷が治る量は少ないですが、気づき難くて、自動的に発動するみたいなんです。」
「気づいていたんなら、さっさと言えや!!」
俺は大声で怒鳴った。
それに彼女は怯え、急いで近くにいるライアンの背に隠れてしまう。
今度はライアンが、俺を諭すように宥めてくる。
「…落ち着くんだ、リュート。…わかっただけでも儲けものだよ。」
「お前は、こいつに何時も甘いんだよ!!」
「全く、…子供の頃から言っているが、お前は少し怒らないようにした方がいいぞ。」
「えぇい、…幼なじみだからって、こんな時まで注意してくんじゃねぇ!」
と、口論の最中にユージが間に割って入る。
「やめろって、お前ら。…いつもの事だが。」
それに便乗するように、ロンダーが溜め息を吐きつつ、
「とりあえず、アニーさん。…何か対抗策はありますか?…。」
「えっと、…一度またダメージを与えて、その後にあの身体を吹き飛ばす程の大きな攻撃をすれば、…。」
「そうか!!」
聞いていたライアンが何かを閃いて、懐から小さな物を取り出した。




