序章ー2
※主人公の名前を変更しました。
先制攻撃を仕掛けたのは、魔法使いの少年のロンダーだ。
いつもは生意気でスレた性格だが、強い火力と短い詠唱の速い魔法で、相手に隙を与えず攻撃をする。
「炎よ。…敵を穿て!!」
ロンダーの手から燃え盛る火炎が放たれ、真っ直ぐに飛んでいく。
それを魔王が、大きく腕を横に振って凪ぎ払った。
「ユージとリュート…今だ!!」
とライアンが叫び、剣を振りかざして駆け出す。
「おうよ。」と間髪入れずに返事し、戦士の男のユージも続いた。
彼は最も屈強で力の強い大男だ。このパーティーでの前衛の要である。
もう一人の呼ばれた俺、ーリュート・バルバドスも拳を握りしめつつ、遅ればせながらも勢いよく飛び出した。
それぞれ三人は、別々に相手の身体へと攻めかかる。
ライアンは剣で切り裂いた。
ユージが怪力に物言わせ、巨大な斧を振り回しながら特攻する。
俺も素早く動きで翻弄し、短剣を突き出す。
「えぇい、羽虫共め!!」
しかし、魔王も負けじと反撃をしてきた。
幾何学な模様の魔方陣を正面に展開し、そこから紫の雷を広く打ち出してくる。
直撃した俺達は後方へと吹き飛んでいった。
ダメージを受けて地面に倒れていると、全身を緑色の眩い光が包みこんでいき、身体の痛みが消えている。
後ろを振り返って一瞥すると、僧侶のアニーが回復の魔法をかけたのだと気がつく。
「だ、大丈夫ですか?」
と可愛らしい声で聞いてきているが、またいつもの様に、おどおどと狼狽えた様子でいるようだ。
「あぁ、ありがとう。」
ライアンが返事をしたら、再び突撃していった。
俺達も付いていく。
その後もしばらく、互いに一進一退の攻防が続いた。