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異世界転生 最終戦、詭弁使いVS第三王女

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

俺(ほーら来たよ!)


俺(最終的にそういう結論にたどり着くと思ってたよ!)


そうなのだ。最初の敵兵襲撃の時、俺が放たれ敵兵を殺さなければ。


獣人店主の時、俺が煽ってパールにうんこをさせなければ。


敵兵に追い掛け回されてる時、隠れず、誘導せず素直に捕まっていれば。


こんな事にはなってなかった。

そういう結論にたどり着いてしまう。


だから真実を話したくなかったのだ。


全ての責任を俺に押し付けられるから。


俺『ま、待てパール!俺だって必死だったんだ。あの時はこんな真実が

 隠されてるとは思わなかったんだよ』


パール(君が何もしなければ、全て丸く収まってた・・・)


俺『いや、そうだけどさ、俺だってお前を守る為に』


パール(女騎士の誘いに乗らせないようにわたしに嘘までついたのは

   自分に責任を押し付けられないようにした為でしょ・・・)


俺『い、いや、その・・・』


その通りである。


完全に俺の思惑がばれた。


そんな俺とパールの会話など知らずに王が話し出す。


国王「まさかお前にあんなとんでもない”ギフト”を授かるとは思わなかったのだ」


パール「!」


俺『ギフト?』


パール(この世界の魔法の一種で平たく言えば特殊能力の事だよ)


パール(正確には魔術師や女騎士が使った”魔術”の法則にあてはまらない

   ”魔法”という種別に入るけどギフトは術師の固有の能力で

   生まれつきや何かのきっかけで発現する超常の力の事だよ。

   どういった能力かはその術師によって違うけど)


なるほど、簡単に言えばスタンド能力か。


しかし前々から思ってたがパールの魔術の知識には感心する。


仮に魔術を現代世界の科学と置き換えた場合、

俺がパールくらいの年齢の時に

科学と化学の違いもわかってたかどうか疑問なものだ。


王族の魔術教育というものが含まれているのだろうか。


とはいえ、話を戻すと今回の場合で言うならば

国王の言った”ギフト”では間違ってる。


全ては俺の異世界転生で授かった能力でパールの能力ではない。


パール「ち、違うの、お父さん!これはギフトじゃなくて・・・」


パールは全てを話そうと慌てていう。


が、そうはさえない!


俺『ま、待てパール!全てを話すつもりか!いいのかそんな事をして!』


パール「え?」


俺は必死に頭を回転させ、この場を切り抜ける算段を立てる。


ここで全ての責任を押し付けられるわけにはいかないのだ。


そんな事をされればパールの腹から引っ張り出され、

外気にさらされれば死を待つしかないのがうんこの運命だ。


パールであれば王族だ。謝罪で済むかもしれないが、俺となればただの逆賊。


確実に処刑されるしかない。


俺のチート能力はあくまでパールの協力があって成立するものだ。


パールに追い出されれば、もう手がない。


やはりここは俺の異世界転生で手に入れたうんことしてのチート能力ではなく、

ブラック企業で培い前世から受け継いだ”詭弁使い”の能力でどうにかするしかない。


何が何でも出し抜く。


俺『考えてもみろ!うんこに転生したなどと言って信じると思うのか!』


パール「!」


俺『ただでさえ異世界人てのは珍しいんだろ?

 しかも俺は世にも珍しいうんこに転生したんだ』


俺『そんな事例、世界各国どこにもないだろ』


俺『それを国の王たる者が信じると思うのか?』


パール(そ、それは・・・)


国王「どうした、パール。何か言いたい事があるのか?」


突然黙ったパールに不思議に思い聞き返す王。


パール「いや、その・・」


国王「言いたい事があるなら言ってみよ」


その王の目を見て俺はパールと同じ感想を抱いた。


それは威厳にみちた態度でありながらも娘を信じる父親の目でもあった。


パール(そうだ。お父さんならわたしの話を信じてくれる!)


パールが再び語る決心をつける。だが、ここで折れてもらわないと困るのだ。


俺『ダメだパール!、お前まだ事態がわかってない!』


パール(事態)


俺『お前の父親がお前の話を信じるかどうかはこのさい関係ないんだよ』


パール(え?)


俺『国王が国の代表として国民の目の前で、

 そんな世迷言を信じるそれ自体が問題なんだ』


パール「!」


俺『なるほど、お前の父親は優秀だよ。あぁ、俺の世界でも

 ここまで機転がきき柔軟に動ける王というのはそうはいないだろう』


俺『だが有能であるがゆえに父親はお前の言葉を信じるわけにはいかないんだよ』


俺『お前のそんな世迷言を信じたら、逆に国民の信頼が失われる

 事がわかってるから、だからお前をどんなに溺愛しようがなんだろうが、

 国の王である以上その国に一番必要な行動をとる。それが有能な王なんだ』


パール「・・・!」


パールの動きが止まる。


それは王族であるパール自身もよくわかってる事だったのだろう。


もっとも尊敬してる父親という存在。


それを家族と共に近くで見ていたのだ。


だからこそ俺の言葉が真実であると思ってしまう。


俺『パール、俺の存在を話すだけでも危ういんだ。お前の正気まで疑われ

 立場を危うくするだけだぞ』


俺は心のなかで手ごたえを感じていた。


パールは王族であるがゆえに、どちらが理があるか考えてしまうのだ。


あの王の娘であるがゆえに感情で物事を考えてはいけないとわかっているのだ。


と俺は推察した。


だが、それほど自体は甘くない。


相手はパール。


今まで戦ってた仲間であるがゆえに、俺の裏切り、かわからんが、少なくとも

そう簡単には俺を許すつもりはないようだ。


そう俺を見下ろすパールの影のある目が言っていた。


俺『ぱ、パール?』


不安になり伺うように聞く。


パール(・・・やる)


何事かをボソリとつぶやくパール。

聞き取れず『え?』と返すと


パール(ひねり出してやる)


俺『!』


パール(この場でひねり出して踏みつぶしてやる)


俺『ちょ、ちょっと待て!!何でそんな事を!』


パール(この場で君を踏みつぶして、皆の前でもう二度とこんな事はしないと謝る!それで許してもらう)


パール(そういうデモンストレーションをする!)


パール(それをもって謝罪とする!)


こいつ!


パールもまた有能な王の元で帝王学を学んだ有能な少女の一人だ。


謝罪とはそれ相応の痛みをしいる事。


今回の場合、人前で元凶たるうんこ自ら踏みつぶし

謝罪し許してもらう。そういう行動を取ろうとしているのだ。


それはまずい。


そんな事をされれば一撃死だ。


だがパールはいうが早い、パールを眺める国民に向き直り言い放つ


パール「このたびは皆さんに非常に迷惑をかけました!

今からわたしは誠心誠意を込めた謝罪をします!

よく見ててください!」


その言葉に国民や王家、兵士にも同様が走る。


こ、コイツ本気だ!


人前でうんこする事をあれだけ嫌がっていたパールが

本気でうんこしようとしてるのだ。


今のパールならばうんこに頭をこすりつけてでも謝罪しようとするだろう。


そこにかつての引き籠った姿はない。


パール「ふんぐうううう」


ふんばりはじめるパール。


王妃「パール、なにを!?」


王妃があまりの行為に止めようとするが、それを国王がいさめる。


国王「見ていなさい」


国王はこれで娘を許してもらおうとゆう腹づもりなのだろうが、

俺にとってはそれは死に直結する問題だ。


俺『ま、待て、パール!話を聞け!』


パール「ぐううううっ」


必死にとどまろうとしても、所詮うんこ。


宿主である追い出さそうとするパールの意志の方が優先される。


まずい、まずいぞ!


パールに俺のうんこスキルは通用しない。


つまりまだ言葉が届くうちに詭弁でどうにかするしかない。


本当に外に追い出された時点で終わりだ。


何か、何かないか!詭弁に使える材料は!


俺は再び頭をフル回転させ周りを注視する。


何か、何か!


そこに今まさにパールが謝罪しようとする対象の国民が目に映る。


そうだ!これだ!


俺『パール!もし俺をひねり出そうなどとするならば俺も考えがあるぞ!』


パール「んぐうううぅう?」


パールの腸の動きが緩くなる。


俺『もう既に俺の仕掛けは終ってるんだ』


パール(仕掛け?)


俺『忘れたか、パール。この戦い最後にお前が女騎士に言った言葉を』


パール(言った言葉って・・君がわたしに言わせたて事?)


俺『そうだ。お前は女騎士に、こちらは炎の魔術を使えると言ったな』


パール(それが?あれハッタリでしょ?炎魔術なんか使えないじゃん)


俺『お前はな』


パール(え?)


俺『俺は新しいスキルを覚えたんだよ』


パール(!?)


俺『スキル”焼けグソ”だ』


パール(や、焼けグソ!)


俺『このスキルはその名の通り、うんこを燃やす技だ』


俺『そして見てみろ、お前の周り』


パール(!?)


俺『国民も兵士も女騎士も王家の面々も誰もかれもがお前のうんこだらけだろ』


パール(ま、まさか!?)


俺『そのまさかだ。もしお前が俺を追い出そうなどとするならば、

 まき散らしたうんこを発火させてやる!』


パール(!?)


俺『今ならせいぜいドッキリの過失致死程度で済むが、

 国民や王家を焼き殺したなんてなったら国家反逆罪

 なんの言い訳もできないぜ。全てお前の責任だ』


パール(!!?)


完全にパールの腸の動きが止まった。


というよりひっこんだ。


恐怖心で胃が縮こまったのがわかる。


やった!


確かな手ごたえを感じた。


もちろん焼けグソなんてスキルは覚えていない。


ただのハッタリである。


だが、今まで数々のありえないうんこを見せられた

パールにはその判断がつかない。


パールから見れば信じるに足るだけのものは見てきたのだ。


俺『わかったら、俺に謝るんだ。もうこんな事はしませんと』


パール(!?)


謝罪を要求。


この謝罪要求、普通の人は

「謝罪させて精神的マウント取りたいだけのただの自己満だ」

なんて思うかもしれないがブラック企業で働いた俺にはなかなか

侮れない事を知っている。


俺は謝罪はある種の枷と捉えている。


同じことを二度としないとする精神的な枷。


俺が今やったハッタリなど、冷静に考えたらうんこを

水で洗い流せばどうとでもなるのだ。


つまりこの場さえやり過ごせてしまえば

後でひねり出されても俺は何もできなくなってしまう。


だからこそ枷が必要なのだ。


しかもパールは王族だ。謝罪というこの誓いにも等しい行為を

そうそう反古にはできはしまい。


パール「ううっ・・・」


パールは崩れ落ちるように手を地面につける。


幼女になんて外道な行いだと思うか?


あぁ外道だとも。


だがそうでなくてはブラック会社では生き残れなかったのだ。


生き残るという意味であればこの異世界も同じ。


生き残るという事はそういう事である。


パール「ご、ごめんなさい・・・」


そしてパールは頭を地面に押し付ける。


パール「もうこのような事はいたしません!」


この国の全員の前でパールは土下座をした。


国民にはきっとパールが今回の件を謝ったように見えただろうが、

その真の意味は誰も気づいていない。


パールの涙ながらの土下座に怪我させられた兵士達も怒りをぶつけられずにいた。


今回の騒ぎは対外的に見てもパールのせいとばかり言えないのだから致し方ない。


国全体がそういう雰囲気だった。


もっとも目に浮かぶ涙も罪の重さからではなく、

きっと俺に対しての悔し涙なのだろうな。


そうして今回の事件の何もかもが終わった。




・・・・そう思うだろ?



同作者の作品


ニコニコマンガ 第二次世界大戦を中二病で解説してみた

http://seiga.nicovideo.jp/comic/37013 


連絡用

nikoniko_akizakiyuu@yahoo.co.jp

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@akizakiyuu11

もしくはhttps://twitter.com/akizakiyuu11

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