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異世界転生 真の真相

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

俺『・・・・・・』


俺はパールの腹の中で国王の話を黙って聞いていた。


まさしく俺の推理した通りの事だった。


プロジェクト”ヘブンズドア”


俺のような異世界の日本出身だと”ヘブンズドア、天国の扉”と聞くと

あのマンガの超能力を真っ先に思いつくが、俺よりも上の世代、

このマンガを知らない世代あたりになると、まったく違った答えが

帰ってくるかもしれない。


パールはあの時こう言った


「あぁ、うん、聞いたことあるよ。確かえっと極東のジパングって国の話だよね」


そう、この世界には日本の別名ともいわれる

伝説の黄金の国、ジパングという国が存在するというのだ。


ゆえに日本と、そしてこの世界にもあるジパングという国にはこんな話があった。


日本の最も大きな宗教、神道の最も有名な神話だ。


その神話の最高神の太陽神が、ある事件を引き金に引き籠ってしまい太陽が

昇らなくなったという事件があった。


困った他の神々は鏡のトリックを使い太陽神を騙して岩戸から引きずり出した。

要約するとそういった話の神話だ。


だからメイド達が言っていた”甘いわ”と言っていたのだ。


それが略称なのか、あるいはパールの聞き取りミスなのかはわからないが、

メイドたちは”甘いわ”ではなく、”天岩”と言おうとしていたのだろう。


そう、神話上こう呼ばれてる物語。


天岩戸あまのいわと”つまり”ヘブンズドア”だ。


この神話もまた引き籠った神様を臣下が騙して岩戸から引きずりだした話。


パールが引き籠ってしまいそこから引きずり出そうとした

まさしく今回の茶番にふさわしい名前だろう。


つまり今回の事件は最初っから最後まで


パール「ま、待って・・!今の話を要約すると・・・!」


パールはワナワナと震えていた。


あまりの衝撃の事実に。


パール「今までの事あれもこれも全て」


パール「ただのドッキリだったっていうのおおおお!?」


俺「・・・・・」


思えば俺視点で言うなら最初からヒントは出されていたのだ。


俺はパールと会話が成立する事に妙に不思議に思ってた。


異世界転生のラノベではこれがデフォルトになってるが、

その業界に明るくない俺からすれば日本以外の所に行って

言葉が通じるなど、ただの違和感でしかない。


だが、そんなラノベなど知らないはずのパールは何も不思議には思っていなかった。


異世界人である事を知っても、別段言葉が通じる事に疑問すら

浮かんでなさそうだった。


それもそのはず。


この世界には天岩戸神話とは逆に存在しない話がある。


不思議の国のアリスやラプンツェルなどの”童話”よりは

天岩戸に近い”神話”にカテゴリーされる話。


天まで届く高い建物の神話。


つまり”バベルの塔”の神話である。


人間が自らの傲慢さの象徴として天まで届く高い塔を作ろうとしたのだが、

それが神の怒りに触れ塔は破壊され、言語体系がめちゃくちゃになってしまったという。


この神話は俺達の世界の多種多様な言語体系を意味を持たせたものだが

その神話がこの世界ではまるまる存在しないのだ。


つまり言語体系がめちゃくちゃにされなかった世界。


何故滅茶苦茶じゃないのかは、神による言語を通じる魔法の加護なのか、

あるいは元々言語が統一していたのかは不明だが

この世界では俺の元いた世界のように他国では言葉が通じないという常識は

むしろ真逆。通じてあたりまえの世界なのだ。


国王「・・・・悪いと思っている」


国王の話は続く。


国王「だがお前にはわかってもらいたかったんだ。王家の重要さ

  国事を怠ればどんな事が起きるのか」


国王「事実お前は引き籠ってたがゆえに何も把握できなかっただろ」


国王「これだけの国家プロジェクトだ。いくら口を封じていようと

  お前がちょっとでも外に出ればすぐに露見した話だった」


そうだ。こんな国をあげてのドッキリ企画。隠し通せるわけがない。

事実、ちょっとトイレに外に出て来ただけでメイドの噂話を耳にしたほどだ。


そしてこれだけの国家プロジェクトだ。


王家だけではなく


パール「まさか、・・国民達も!?」


国民もうんこの被害で泥だらけになりながらも、

どこか危機感のない顔をしている。


死闘を戦ったパールを見る顔ではない。


どこかうんこまみれになりながらも笑いをこらえてる者もいる。


まさしくドッキリを仕掛けた側の顔だ。


パール「そ、そんなああああ」


崩れ落ちるようにへたりこむパール


女騎士ももう戦闘の意欲はないらしく、orzになってるパールに何もしようとはして来ない。


あの時、女騎士があのアポカリプスサウンドで国民に呼びかけた時

ヘブンズドアの名前を出したのは国民に安心させる意図があった。


「この事態は王家の想定内の事。安心してほしい」とヘブンズドアの

プロジェクト名を出す事により国民の混乱を避けたかったのだ。


おそらくそれも国王の指示だったのだろうがまったく驚かされる。


この適応能力の速さといい、この国の王は本当に有能なのだろう。


結構無茶なやり方かもしれないが、事実パールはこうして外に出て、

あれだけ嫌がった人前に立っている。


パール(も、もしかして、神ちゃんも気づいてたの?)


少し冷静になってきたのか、パールが心の声で語り掛けて来た。


俺『ま、まぁ・・・・』


肯定した。


俺がこの事実に気づいたのはパールが俺を初めて排出するまでの詳細を聞いた時だ。


俺が飛び出す直前、パールは敵兵に襲われかけていたという。


それもおそらくこのヘブンズドアのシナリオの一つだったのだろう。


ただのドッキリ企画でここまでするかとも思うが、

それは平和な世界に生きる日本人的感覚だ。


中世の情勢のようなこの世界ならば国家転覆のさいああいう事態は何度も起こって来たはずだ。


しかもパールは一般人ではない、れっきとした王族だ。


政治をおろそかにすれば招く結末をその身を持ってわからせる必要があったのだろう。


がここに決定的な不自然が生まれた。


もし本当に敵兵にそういう事をする気があったのならば、

当然敵兵はその全身鎧で覆われたフルアーマーを脱がなければならない。


だが俺達が倒れた敵兵を見た時、その体はちゃんと鎧を着こんでいた。


まったく脱ごうとした様子すらなかった。


だからこそパールはフルセットで敵兵の鎧を取る事ができたのだ。


敵兵が脱がなかった理由は想像に難くない。


もちろん本当にそういう事をする気がなかったというのもあるだろうが、

それだけが理由ではないだろう。


パールとて王族である。

兵士の一人一人の顔は覚えてなくとも見た事くらいはあるはずだ。


だからこそ姿を隠すために鎧を脱がなかったのだ。


俺達を街中で追い掛け回してた敵兵も同じ理由で脱がなかったのだろうし、

全てはこの茶番の仕掛の為だ。


パール「わざわざ私を騙す為に敵兵に変装して引っ張りだしたのですか!」


国王「それに関しては違うぞ、パール。

  お前を騙すためだけにそんな予算を使うわけがなかろう」


パール「え?」


国王「引き籠ってるからわからぬのだ。あれが我が国の正規軍の鎧だ。

  1年ほど前により武装に新調しただけだ」


パール「!?」


そう全てはパールが引き籠ってたがゆえの事だった。


パールが引き籠ってたがゆえに騙せた茶番。


俺『・・・・』


そう、これは茶番で本来ならばこれで全て解決した話である。


解決していたのだが、本当の問題はここから。


パール「あれ?待って?」


パール「いくらなんでもおかしくないですか?

   わたしを引き籠りから直す為とはいえここまでするものですか?」


国王「・・・・」


王妃「それは・・・」


母親の王妃が口を開くが、やはり言いずらそうにしている。


そうなのだ、パールが指摘するように、いくらなんでもやりすぎである。


ネタバラシというのであれば、もっと早い段階だ。


王宮を出た時点、あるいはどんなに遅くとも獣人の店の一件までだ。


こんな何日も逃げ回ったあげく、家族を処刑するなどと言って呼び出すなど

いくら王家の娘が引き籠ったからと言って無茶苦茶だ。


俺『・・・・・』


だが俺にはその理由もわかっていた。


この話にはまだ続きがあるのだ。


国王にとって、このヘブンズドアにとって

あまりに想定外の事が起きてしまったからだ。


同作者の作品


ニコニコマンガ 第二次世界大戦を中二病で解説してみた

http://seiga.nicovideo.jp/comic/37013 


連絡用

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もしくはhttps://twitter.com/akizakiyuu11

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