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【連載版】クール美女系先輩が家に泊まっていけとお泊まりを要求してきました……  作者: 識原 佳乃
クール美女系先輩が家に泊まっていけとお泊まりを要求してきました……
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21 『OKだワン!!』

 メッセージを送ると同時に既読がつき。

 そのまた数秒後には瀬能先輩からの返信があった。


『ε=====ヽ(●゜д゜)ノ>ニゲロォー』

「なんでだよ!?」


 思わずひとりで画面にツッコミを入れながら、瀬能先輩らしい反応に笑ってしまった。

 またしても顔文字。

 そして今度は逃亡。

 ……ますます何がしたいのか不明である。そんなところも可愛らしくていいんだけどな。


 とりあえず逃亡を阻止すべく再度メッセージを打ち込んだ。


『なんで逃げるんですか?』

『弓削くんからすぐに返信があって……びっくりした!』


 ふむふむなるほど。

 ライン初心者の瀬能先輩は俺が速攻で返信したことに驚いたため逃亡を図ったとのこと。……って俺のせいなのか!?

 と、とにかく理由は分かったので、どうしてラインを送ってきたのかを訊いておくか。


『そうだったんですね。そういえば遅くなりましたが、ラインでは初めましてですね。よろしくお願いいたします』

『弓削くんまじめ! こちらこそ右も左も仕組みも何もかも分かっていないのだけれど、優しくしてくれると嬉しい。ふつつかものですがよろしくお願いします』

『先輩こそ真面目じゃないですか。それで俺に何か用事でもあったんですか?』


 それまではすぐに返信があったが、数分経ってもメッセージが返ってこなくなった。

 既読にはなっているので目を通してくれているようだが……俺何かマズいことでも書いたか?

 不安になって見返してみるも特に変なことは書いていないと……思う。いや、そう思いたい。


 スマホの画面を凝視しながら身なりをビシッと決めた状態でベッドの上で正座をしている男。……これって傍から見たらヤバいやつだよな。


 ――なんてことを考えていたら、瀬能先輩からメッセージが飛んできた。


『えっと、別に大した用事なんてないの。

 お出掛けの準備をしていたら、弓削くん今何してるのかな、ってなんか気になっちゃって。

 だけど数時間後には会えるから我慢しようって思ったのよ?

 ……でも一度考えだしたら余計に気になって、我慢できなくなっちゃって。

 それでこっそりラインしたのだけれど、すぐに返信がきたでしょう?

 びっくりしてどう返せばいいのか分からなくなっちゃって、慌てて逃げたの!

 だから本当に用事と呼べるものなんてなくて。

 ただ弓削くんと、ラインしたら楽しそうだなって……。

 もし弓削くんのお邪魔をしてしまっていたら、ごめんなさい』


 ――あれ?

 もしかして俺は夢でも見ているのか?

 極度の緊張状態でいたから実はもう失神していて、これは白昼夢って可能性もある気がする。


 ……だとしても瀬能先輩が特に用もなく俺に連絡をくれるなんて、控えめに言っても最高。控えずに言った場合「最高ぉぉぉぉ!!」というレベルだ。

 それになんだか瀬能先輩がいつになく可愛い気がするんだが……お出掛け前に俺は昇天させられるのかもしれない。勘弁して!


『何言ってるんですか先輩!

 俺の中では先輩が何よりも最優先です!

 むしろ用事があろうがなかろうが、先輩からの連絡は大歓迎です!』


 幾分テンションの上がってしまった俺は、以前瀬能先輩がデスクに貼っていった付箋のキャラを思い出し。速攻でスタンプを買ってきて早速『OKだワン!!』を送った。


 すると――、


『わっ!』

『弓削くん!』

『しばんぱいあ!!』

『しばんぱいあだ!!』

『どうやってやるの!?』

『しばんぱいあどこに隠れてるの??』


 興奮気味なラインがポンポンと立て続けに送られてくるではないか。

 その様子から瀬能先輩が目をキラキラさせながら、ラインをしている姿が容易に想像できた。……想像しただけで可愛いとかこれ如何に。

 そんないつも通りの無邪気な反応が見れて、不思議と心が落ち着いてきた。瀬能先輩の無邪気天然にはリラックス効果もあるらしい……。


『今送りますね』


 瀬能先輩に何かをプレゼントするのは、もしかしたらこれが初めてかもしれない。『しばんぱいあシリーズ』のスタンプを追加購入して瀬能先輩に送りながら、俺はそんなことを考えていた。


『全身白タイツの人がFORYOUって言ってるわ!!』

『そのスタンプの下にある〝受けとる〟っていうところをタップしてみてください』

『わかっ()!』


 そのミスタップからどれだけテンションが上がっているのかすぐに分かった。というかどんだけそのキャラのことが好きなのか。

 瀬能先輩といえば鮭。

 鮭と言えば瀬能先輩。

 それほどまでに瀬能先輩の鮭好きは知っていたが、まさかキャラものも好きだったとは。


 ――程なくして瀬能先輩から『しばんぱいあー!!』という歓喜(?)のメッセージとともに、スタンプ連打があったのは言うまでもないだろう……。



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



『先輩、落ち着きましたか?』

『落ち着きました。嬉しくてちょっぴり取り乱してしまったわ』


 これ可愛い! あれも可愛い! と10連打スタンプと怒涛の連続メッセージをしたのにあれでちょっぴりだと!?

 ……まぁ、ライン初心者で初めてスタンプを使って、しかもそれが自分の好きなキャラだったらこうなるのも仕方ないだろう。

 テンション高めの可愛い瀬能先輩が見れたので良しとしよう。


『気に入ってもらえたようで良かったです』

『ありがとうね、弓削くん。これって有料なのよね?』

『どういたしまして。自分が勝手にやったことなので気にしないでください』

『弓削くんが気にしなくても私が気にするの。私も何かプレゼントするから、希望を言って頂戴』


 律儀な瀬能先輩のことなので絶対にこうなるだろうとは予想できていた。

 だが別にこれといって欲しいスタンプがある訳でもないので、どうするべきか……。


『先輩、もう出掛ける準備ってできてたりします?』


 俺の希望と言うか願望は初めからひとつしかない。

 仕事ではなくプライベートで瀬能先輩とふたりきりで出掛けるという今日の日を、どれだけ楽しみにしていたか。

 ……そうなればひとつしかない。

 女性は男よりも色々と準備があると思うので、ダメもとでそんなメッセージを送ったら――瀬能先輩から電話が掛かってきた。


「――もしもし、弓削ですけど」

『――も……えーっと……ん。いつもお世話になっております。総務部総務課の瀬能芹葉です』

「――真面目かっ!? ……あっ……す、すいませんつい」


 すると電話越しに瀬能先輩がクスクスと笑っているのが分かった。どうも今のは瀬能先輩なりのボケだったみたいだ。……まんまとツッコミを入れちまった。めちゃくちゃ恥ずかしい。


『少しふざけてしまったわ。……改めましてこんにちは、弓削くん』

「は、はい。お疲れ様です、先輩。それでどうかしましたか?」

『……ん? 別にどうもしていないのだけれど?』

「え?」


 電話を掛けてきたのに、別に何もないってどういうこと!?

 さすがに訳が分からない。


『……だって弓削くんが言ってくれたじゃない。――用事が無くても大歓迎って』


 そう言うことか!

 瀬能先輩はさっそく実行してくれたようだ。さすが最年少課長昇進者は行動力と実行力が違う。……見習わなくては!


「そういうことですか。もちろん大歓迎ですよ」

『……迷惑じゃなかった?』

「いえ。実はもう準備も済んでいて暇していたので」

『……ん。私も。ワクワクソワソワして2時間前に準備終わちゃって、ボーっとしてたの!』

「先輩もですか!? 実は自分も同じです」


 ふたりして何してるんでしょうね、と一頻り笑いあってから、俺は意を決して先程のラインの続きを口にした。


「せ、先輩。さっきのプレゼントの話ですけど、自分の希望を言っていいですか?」

『えぇ。でも私ができる範囲でお願いね?』

「はい。それで希望なんですけど――今からもう出掛けませんか?」

『――やっ――』


 そこで突然電話が切られてしまった。


 うわぁぁぁぁぁぁ!

 やっちまったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!

 ブチ切りされるって……怒らせたのか?

 それともドン引きされ――、




『OKだワン!!』しばんぱいあスタンプ




 えぇぇぇぇぇぇ!?

 まさかのOKなんですかぁぁぁぁぁ!?


 ――こうして瀬能先輩とのふたりきりのお出掛けは、1時間だけだが早まったのだった。

電話をブチ切りした瞬間の瀬能先輩

『はい。それで希望なんですけど――今からもう出掛けませんか?』

「――やっ――」力んで通話終了ボタンをミスタップ

「たぁーっ!!」通話が切れていることに気が付かずにベッドの上でポヨンポヨンと飛び跳ねながら歓喜する瀬能先輩

「弓削くん今か――ん?」通話が切れていることにようやく気が付く

「――無料通話って時間制限があるのかしら? ずーっと無料で通話ができたら通信会社さんが困って――そんなことよりも弓削くんにしばんぱいあ送らなきゃっ!!」間違った推測を立てながらラインをする瀬能先輩だった……


~レビューのお礼~

狼陛下様! 遅くなり申し訳ありません!

32件目のレビューありがとうございます!

>先輩が尊い₍₍ (̨̡ ‾᷄⌂‾᷅)̧̢ ₎₎

 ⇒まずいきなり顔文字が可愛い(笑)

  なんか癒されますねこの顔文字! 好き!

>あ、初レビューではないです。

 ⇒よかったよかっ――

>あ、初レビューではないと言いましたが、あれは嘘だ!!

>しっかりと作者様にヴァターシのhazimeteを捧げておりまする

 ⇒よくないぃぃぃぃ!!(笑)

  なんて心臓に悪いフェイントを仕掛けてくるんですか!?\(^o^)/

  狼陛下様――策士ッ――!!(笑)

  hazimete←なんかこれで無性に笑ってしまいました(笑)


瀬能先輩は何属性なのか!?

釣井先輩「おい、弓削、ちょっといいか?」

弓削くん「はい」

釣井先輩「丁度狼陛下と話してたんだが……」

狼陛下様「課長って何属性だと思う?」

弓削くん「属性……ですか?」

狼陛下様「あぁ……課長って見た目は大人(クール)! 中身は子供(ぽんこつ)! を地でいってるだろ?」

釣井先輩「コナ〇くんじゃねぇか!?」

弓削くん「同意していいのかあれですけど、概ね一致ですね」

狼陛下様「そこで……課長の本当の属性はどれなのかなと思ってな。クール……はないとして」

釣井先輩「おいやめろ! タイトル詐欺って言われるからやめろ!! やめてくれ!!」

弓削くん「それには同意です」

釣井先輩「おいなんでお前も同意してんだよ!? 否定しろよ!! 先輩はクールです! って言っとけよ」

狼陛下様「そこで自分は、天然に一票だな」

釣井先輩「もうやだこいつら……完全に無視してやがる……こうなったら瀬能を直接――」どこかに走り去った釣井先輩

弓削くん「クッ……いいところをつきますね。自分はぽんこつに一票投じます」

狼陛下様「同票か……誰か他にも意見を――って釣井先輩どこ行った?」

弓削くん「さぁ? いつの間にかいなくなっ――」

瀬能先輩「――私に何か訊きたいことがあるってつるりんから聞いたのだけれど?」

釣井先輩「ははは! 連れてきてやったぞ! ってつるりんって俺のことか!?」

弓削くん「……瀬能先輩」

狼陛下様「本人に直接聞けばいいのか……課長、ひとつ気になってたんですが。――課長は自分のこと何属性だと思います?」

瀬能先輩「……私? ……それはもちろん――氷属性のクールタイプ!!」(●`・ω・´●) ドヤァッ

弓削くん「……瀬能先輩……その回答をしている時点でクールはないです」

釣井先輩「ダメだぁ! もう俺にもフォローできねぇぞ!? タイトル詐欺だ……クールなんてなかったんや!!」

狼陛下様「この回答は天然だ!! いや、天然甘えん坊駄々っ子ポンコツ癒しや!!」


瀬能先輩は自称〝氷属性のクールタイプ〟ということで、タイトル詐欺はなかったんや!\(^o^)/

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cool
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― 新着の感想 ―
[一言] とても楽しく読ませていただきました! ほんわかにっこりできてとても元気になりました!
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