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【連載版】クール美女系先輩が家に泊まっていけとお泊まりを要求してきました……  作者: 識原 佳乃
クール美女系先輩が家に泊まっていけとお泊まりを要求してきました……
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18 瀬能芹葉『……いつか私も弓削くんと――恋人同士に……』

15くらいの瀬能先輩視点のお話です。

身近な先輩のおかげもあって、やっとこさ明確に意識してくれました。

次話も瀬能先輩視点になります。

 ここのところの私は少しばかり集中力を欠いている……といっても、重要な会議やプライオリティの高い案件にはちゃんと取り組んでいるけれど。


 ……原因は分かってる。

 だって私から言い出したことだから。


「――べ、別にそこまでは聞いていないでしょう!? ……もうっ! 埋め合わせはじーっくり考えておくから、覚悟してなさいっ!?」



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 ――少し前のこと。

 前日に色々とあって飲み過ぎてしまった私はちょっぴり寝ぼけていて。弓削くんに指摘されて慌ててお着替えをして帰ってきた。


 初めは寝ぼけた状態の私服姿を見られてすっごく恥ずかしかったのだけれど。いざ着替えて弓削くんのもとに帰ってきたら、恥ずかしさを通り越していて。

 もし「似合ってますよ」なんて言ってもらえたら、嬉しくなって何もかもを忘れられるんじゃないかって思ったの。


 それで弓削くんの前でクルッとターンをしてみたり、ちょっとカッコ良くポーズを決めてみたり……。

 あの手この手でビシッと決めたスーツ姿を見てもらおうと頑張ったのだけれど、どうしてか弓削くんはこっちを見てくれない。

 それどころかPCの電源を付けてしまって振り向いてもくれない。

 私が「――なんで!?」と声を上げても弓削くんはどこ吹く風で知らんぷり。


 ――今まで私の言うことには素直に従ってくれていたのに……これが世間一般で言うところの、反抗期ってことね。親離れならぬ先輩離れってことかしら。


 …………やだ! せっかくカワイイ後輩ができて。

 私が後輩離れ出来ていないのに先に先輩離れなんてやだぁ!


「無視っ!? 弓削くんが……遅れてきた反抗期っ!?」


 何とか気を引こうとして弓削くんの後ろで喚いたのに、やっぱり反応はなし。

 弓削くんのあまりの無視っぷりに私、結構凹み気味。


 別に何もずーっと見てほしい訳じゃなくて。

 ただほんのちょっぴりでいいの。

 一瞬でもこっちに意識を向けてくれて。

 お世辞でもいいから、弓削くんに褒めてもらいたくって。


 ――気が付けば私のワガママな想いは、行動となって表に出てしまったのだ。


「……………………反抗期に反抗」


 ゆっくりと音を立てないように弓削くんの後ろに近付き。

 見てくれないのならば見てもらえばいいと思って、弓削くんの頬っぺたをサンドウィッチして。


 私の方に向けたの……。


 その時は弓削くんに構ってほしい一心だったので、ただ本気で拗ねていただけなのだけれど。

 今、思い返すと……なかったことにしたいくらい途方途轍もなく恥ずかしい。


 ――そんな自業自得な羞恥を撒き散らしたおかげで、弓削くんにはすっごく褒めてもらえて。

 おまけに埋め合わせもしてもらえることになったのだ!


 ……でもそのおかげで私は集中力を欠く、またしても自業自得な事態に陥ったの。



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 勢いで「埋め合わせはじーっくり考えておくから」と言ってしまったので、どんなことをしてもらうかで頭が一杯一杯になってしまったのだ。

 お仕事のことならスラスラといくらでも思い付くのに。……くやしいっ!


 そして数週間の間、私は様々な視点を交えた脳内会議を幾度となく開催して、慎重に埋め合わせプランについて協議を重ねた。


真面目私『……たとえばお昼ご飯を誘うのなんてどうかしら?』

天使私『でしたらお外の公園でのんびりランチがいいと思います! 弓削くんとまったり過ごすのはとってもいいです!』

ちょいワル私『ダメね。ツマラナイから却下。どうせならばもっと刺激的なことがいいわね』

ぽんこつ私『はいっ! それならゆげくんといっしょにおさけのみたいっ! さけらいむ!』

小悪魔私『もう何度もしているのだから、上に同じく却下ね。もう少し弓削くんとの仲を進展させたいわ』

天然私『でも仲を進展させるって一体どうするの? 全く分からないのだけれど……?』

クールモード私『……あなたね……それが分かっていたらこんなに思い悩んで苦労はしていないでしょう?』

よっぱらい私『そーだそーだぁーっ! わかんないならおさけのむのがいいの!』

課長モード私『大体あなたはいつも酔っぱらって弓削くんに迷惑掛けてばかりじゃない! 禁酒しなさいっ!』

普通モード私『それならばあなただって、先輩って呼んでもらえないからってへそを曲げて盛大に拗ねていたじゃない! 少しは大人になりなさいっ!』

おろおろ私『……み、みんな、仲良くしないと……最適解、だせないよ?』


議長私『――全員静粛に!! ……ん。皆、初めて好きな人が出来て……どうすればいいのか分からないってことでいいのよね?』

100人の私『……ん。異議なし』

議長私『それならば……想いを告げて恋人同士になっている身近な先輩に相談してみるってことでどうかしら?』

100人の私『――んんっ!! それだわっ!!』


 ――そんな感じで、このままでは自分で回答を出すことができないと悟った私は、同性で相談のしやすい小原先輩にランチがてら相談を持ち掛けた。


「どうしたのー? 珍しいね芹葉ちゃんから相談だなんて」

「……はい」

「ふ~む。これはお仕事のことじゃないと見た! いいよいいよー! お姉さんに相談してスッキリしちゃいなさい!」


 勘の鋭い小原先輩。

 少し目付きがニヤニヤしているように見える。

 ……でも私が頼れるのは小原先輩しかいないので、思い切って言う。


「……実は、弓削くんのこと――」

「――待って? 今ゴハン中だから先に聞いておくけど……惚気話じゃないよね? ゴハンよりも先に甘いものはやめてね?」


 せっかく思い切って言おうと思ったのに、逆に変な質問を小原先輩がしてきた。私にはよく意味が分からなかったので、気にせず言う。ここまできたら聞いてもらわないと気が済まないので、関係なく言う。言っちゃう。


「弓削くんがPC操作を優先して私に遅れてきた反抗期をしたので、埋め合わせで何かしていいってことになったんですけれど――」

「――うん。これっぽっちも伝わってこないから、いっかい落ちついて? ……芹葉ちゃんってお仕事の時はあれだけ冷静なのに、弓削くんのことになるとホントにいっぱいいっぱいなんだねー。……どんだけ好きなのさー」

「……このくらい好き」

「否定しないところが芹葉ちゃんらしいねー」


 改めて事実を突きつけられるとすごく、すごーく恥ずかしい。

 ……でも今更やめることはできないので、開き直る。

 既に埋め合わせが約束されている以上、賽は投げられているのだから。


 言われた通り落ち着いて順を追って説明して、ようやく小原先輩に伝わったみたい。いくらなんでも焦り過ぎでしょう私……。


「……埋め合わせっていう大義名分があるのに、ランチとか飲みだなんて絶対ダメ! いい、芹葉ちゃん? そもそもいの一番に思いつくべきことがあるよねー?」

「………………席替え!! 弓削くんを私の隣のデスクに――」

「――発想が小学生かっ!! ……はぁ~。芹葉ちゃんが初恋でその辺疎いのは分かってたけど……仕方ないねー。お姉さんがしっかり教えてあげる」


 それからじーっくりねっとりこってりと、小原先輩に私が選ぶべき答えを教えてもらった。

 単刀直入に言うと「デートしてきなさい」。

 懇切丁寧に言うと「お付き合いを始めるうえで、互いの相性を見るためにもデートは必須」であったり「どんなカップルでも必ずすること」や「むしろ行かないとダメ」「行かないと小学生以下!」と、目の笑っていない笑みを浮かべながら説教されたのだ。……ちびっと、ううん……結構怖かった。


 余りの怖さに出張に行った時にデートしました、とは言えず。私はコクコクと頷くので精一杯。 


「――そういえば丁度今週末の土曜日にデートにピッタリのイベントがあるよー! 私も甲斐先輩と行く約束をしてるんだけど――」


 ――そこでデートの鬼……じゃなくって、小原先輩から提示されたプランにちょっとした運命を感じたのと、それっぽい後付けの理由を即座に考え付いたので、私はそれを実行することにした。


「――ありがとうございます小原先輩。スッキリしました」

「よかったよかった。それじゃ頑張ってねー! あと、結果もちゃんと教えてねー?」

「資料を作ってご報告させていただきます」

「――マジメかっ!! デートの結果を資料報告って……芹葉ちゃんらしいねー」


 クスクスと笑う小原先輩は席を立ち「応援してるからがんばってねー!」という言葉を残して、さりげなく甲斐先輩の隣の席に行ってしまった……。


 ……いいなぁ……いつか私も弓削くんと――恋人同士に……。

~レビューのお礼~

バトル不可能様、31件目のレビューありがとうございます!

>その中毒の進化系として全身(特に脳)に直接働きかけてくる症状が発見されました。

 ⇒それ結構ヤバイやつだ!(笑)

  直接働きかけてくるとか悪質過ぎる\(^o^)/

>症状としては、全身に甘い痺れが走る、脳が溶ける錯覚に陥る(ドーパミンの過剰分泌と思われる)等です。

 ⇒あ、これなら大丈夫ですね(笑)

  みんなドロドロに溶けてどうぞ!(笑)\(^o^)/

>(なんで弓削君は一番近くにいるのに症状が出ないんだろう・・)

 ⇒弓削くんは調教済み(意味深)だからです(笑)

>あ、ちなみに初レビューですよ。責任、とってくださいね?

 ⇒やめてぇぇぇぇぇぇ(笑)

  どうしてみんなここで初レビュー童貞?捨てていくのぉぉぉぉ!(笑)\(^o^)/

  ……逆に考えれば私は初物ハン……ゲフンゲフン……ノクターン送りにされそうなので黙ります(笑)


バトル不可能! SS

飲み会で上機嫌よっぱらい瀬能先輩「……ん~? んーっ! ゆげくんがふたりっ! ゆげくんがいっぱいっ!?」

弓削くん「あ~もう、先輩少し飲み過ぎですよ」

瀬能先輩「……んっ!! 全然(れんれん)よってま()ん♪」

釣井先輩「おい……お前の先輩が酔い潰れかけてるからちゃんと介抱しとけよ! むしろふたりともこっちの卓にくるなよ? 絶対だぞ!?」

バトル不可能様「俺は張り合うぞ! このふたりのイチャイチャにも耐えてみせる! いざ尋常に勝負!!」

弓削くん「は、はぁ……分かりました。先輩、そろそろお水飲んでください」

瀬能先輩「や(りゃ)ぁっ!! まだごくごくのめるよ! しょうぶ! ごくごく!」空のおちょこを傾けるよっぱらい

バトル不可能様「ま、まだ……まだ大丈夫! この程度何ともない!!」

弓削くん「自分でゴクゴク言いながらおちょこにかじりつくのはやめてください!」

瀬能先輩「らったらぁ! ゆげくん、がじがじするよ! がじがじ!」弓削くんの指を甘噛みするよっぱらい

弓削くん「ちょっ! 先輩、ら、らめぇぇぇぇぇ!!」

バトル不可能様「アァァァァやっぱりもう無理ィィィィ!! 口からさ、砂糖が(ry」

釣井先輩「何やってんだあいつら……」


\(^o^)/私事ですがイタリアにちょっくら出張に行くことが決定しました(笑)

イヤァァァァァ!!(;゜Д゜)誰か切実に代わってぇぇぇ!

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