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13 『問題。焼き肉の時、お肉に巻いて食べる葉の名前は?』

 切りどころの関係で少し短めです。

「……ここね」

「中々良いお店ですね」


 スマホ片手にマップを見ていた瀬能先輩が立ち止まって、画面と店舗を見比べていた。

 辿り着いた店舗は2階にオープンテラス席がある雰囲気の良いカフェだった。

 向かいは公園なので景色を楽しみながらまったりとランチが出来そうだ。

 横を見れば瀬能先輩も期待しているのか、口をω←こんな形にして目を細めていた。……なんか子犬みたいで思わず頬をつついてみたくなった。

 瀬能先輩はカフェを眺めることに集中しているので、少しくらいつついてもバレないだろう。


「…………」お店を眺めてニコニコしている瀬能先輩

「……入りましょうか」さりげなく瀬能先輩の頬っぺたをつつく俺

「……んっ!?」

「先輩どうかしました?」

「……いま、つんつん、した?」


 自身の頬を押さえた瀬能先輩が驚きと困惑を顔に滲ませて首を傾げている。

 再現なのか分からないが、ひとりで「つんつん……ってした!」と言いながら、自分の頬をつついていた。……何これ俺を悶え殺すつもりなのか?


 ……速攻でバレた。

 ……一瞬で気が付かれた。

 と、とりあえず誤魔化してみるとする。


「してませんよ? 先輩、早く入りましょう」


 エスコートのためにこのカフェに来るまで組んでいた腕を解こうとしたら……それを察知した瀬能先輩が手まで繋いできた。

 しかも絡めて逃がさないようにということなのか分からないが――俗に言う恋人繋ぎというものでだ。


「……嘘! 弓削くん、つんつん、したっ!」

「あ、あの……早く食べないとお昼終わっちゃ――」

「――絶対、つんつん、したっ!」

「……先輩……もしかして怒ってます?」

「……怒ってます! ……私にもつんつんさせてくれないと、この怒りは決しておさまらないと断言するわ。この怒りを例えるのならば、煮えたぎるマグマなんて生易しいくらい、怒ってます!」


 口では「怒ってます!」と言っているが、表情はどうみても笑いを堪えているようにしか見えない……。

 これ間違いなく何か別のことを考えている気がする。

 一先ず怒られてしまったので素直に認めて謝っておこう。


「……すみませんでした! つい先輩の――」

「――弓削くん……認めたわね?」


 瀬能先輩が背伸びをしていたずらっ子のような悪い顔を近づけてきた。

 ……正直、嫌な予感しかしない。


「は、い……認めました」

「……それならば……目を瞑りなさい。目一杯、ギュッて、何も見えないくらい、瞑りなさい?」


 こ、怖い!

 瀬能先輩の指示が意味不明過ぎて怖い!

 自称怒っている相手の前で目を瞑ることの恐怖。

 ……これは想像以上に勇気がいる行動だった。


「…………」

「弓削くん? 早く目を瞑って?」

「……は、はい」


 逃れることは無理そうだったので、覚悟を決めて思い切り目を瞑った。

 目を瞑ると当然視界は閉ざされる。

 そうなると視覚以外の感覚が研ぎ澄まされてくるのだ。


 手や腕の密着感を強く感じるのは触覚。

 密着しているからこそ分かる花のような甘い香り。これは嗅覚。


 ――そして瀬能先輩に耳元で囁かれて、俺の聴覚は逝きかけた。


「―― (今から私が) (出題するク) (イズに正解) (できたら、) (つんつんは) (しないわ。) (それでどう) (かしら?)


 鋭くなった聴覚が必要以上に音を拾う。

 声だけじゃない息遣いに背筋がゾクリと震えた。


「わ、分かりました。いつでも……どうぞ」

「…… (ん。) (問題。) (焼き肉の時) (、お肉に巻) (いて食べる) (葉の名前は) ()


 ……え?

 もしかして何かの引っ掛けか?


 そう考えてしまう程のサービス問題である。

 答えは恐らく――サンチュ。

 だがこんな簡単な問題を瀬能先輩が出すのか?

 頭の回転が速くて切れ者な瀬能先輩が……だぞ?


 ……だがいくら考えても他の答えが思い付かったので、諦めて普通に答えることにした。


「答えていいですか?」

(う、うん)


 なんでか知らないけど瀬能先輩が少し緊張している気がする。

 よ、よし! 答えるぞ!


「答えは――サンチュ――ッ!?」






「………………んっ。…………正解」


 そして俺が「サンチュ」と答えた瞬間――頬に何か柔らかいものが触れてきたのだった……。


 ……え?

~レビューのお礼~

ザミュエル様! 9件目のレビューありがとうございます!

『コミュ障』以来……約1年半ぶりということでしょうか!?

光栄です! 嬉しいです! 感謝、感謝、感謝です!

レビューの内容も私を悶死させようとしてるんですか!?(笑)

これは嬉し過ぎて恥ずかしいパターンです。照れます(笑)


「ブラックコーヒーを一瞬でMAXコーヒーに変化させるマジシャン、ザミュエル?」ポスターを眺める瀬能先輩

「あそこの特設ステージやっているみたいですよ」弓削くんがザミュエル様のオンステージを発見した模様……

「……みたい! マジック直でみるのはじめて!」わくわくしながらステージを見つめる瀬能先輩

「それでは今から、私が一瞬後ろを向いた瞬間にこのブラックコーヒーがMAXコーヒーへと変化します! それではいきますよ!」マジシャンザミュエル様が後ろを向き……

「……オロロロロロロロロッ!」オロッてるザミュエル様だった……

「……おろろろろって何してたのかしら?」純粋に不思議がってる瀬能先輩

「な、何してたんでしょうね?」察した弓削くん


「……え」

「今あの人」

「口から砂糖と練乳吐いてなかった?」

「ヤバくね? あの人体内どうなってんだ!?」そして観客たちはスタンディングオベーションをしたとかしなかったとか……


ザミュエル様……せっかくレビューを書いて下さったのに……こんな仕打ちをしてすみませんでしたぁぁぁ!

許して下さい!(土下座)

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