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色褪せた花にxxを  作者: 光織希楓
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Myosotis 

長いことお待たせしちゃいましたごめんなさい。文化祭今週末です。やることいっぱいあります。息抜きだったんですええ。久々に書けて楽しかった...

部誌を書いたおかげなのか、文章力が上がったように思います。多分ね。...期待はしないでくださいな。

 「今度こそ、師匠が理想とする”弟子”になれたと思ったんだけどなぁ....」

 そう、乾いた笑みを浮かべながら。尊師のいるであろう部屋の前、扉一枚隔てた場所で立ちすくんでいた青年__ヴェール・ディサイプは自室へと踵を返した。かつて肩にかけていたマントはなく、双眸の翠は光を帯びずに冷たく前を見据えている。

 最弱の部隊から昇りつめた強者、と。最近彼のことを取り上げた記事はこう綴った。

『昔から一つのことを極めるのが得意だったという彼の成長は目覚ましく、片目を失明した師に代わり齢16にして狙撃部隊長に就任したと思えば、年上であろうとため口を聞くのは躊躇われるほど、周りから畏怖される存在になった。一度戦場に出れば明確な指令と迷いのない狙撃で敵を翻弄し、目的以上の戦果を挙げて帰還する。士官学校を卒業し部隊に正式配属されてから、手にした勲章は数知れないとか。』

 そこに記された言葉は、彼さえいれば安全と思わせるほどの圧倒的「英雄」のイメージを人々に植え付ける一方で、普段の彼....敵意に満ちたあの瞳を一度でも見たことがあり、且つ昔の彼を知らない人には、「冷酷」「残忍」といった、マイナスで冷たいイメージを色濃く残していった。

 大人に憧れ必死に背伸びをしながらも、己を「僕」と呼んだあどけない少年はもういない。

 これは、師弟がすれ違うきっかけの話。






*********

 「三年前の、丁度この季節....だったかな」

 窓越しに降る雨粒が、規則的な音を奏でては消えてゆく。今しがた後にしたばかりの自室へ戻ってきたヴェールは、己の地位を示す金色のバッチがついた堅苦しい軍服を脱ぎ捨てた。彼にしては珍しく、皺になることを承知の上で部屋の隅に乱雑に放る。今だけは自分が軍人であることを忘れてしまいたくて、適当な普段着に袖を通したヴェールは、瞼の裏に翡翠の石を隠した。


 脳裏に蘇ったあの日も確か、今日と同じように雨が降っていて。

 三年前、初陣にして敵のトップを射貫くという高戦績を収めたヴェールは、その後の祝杯にて自分を"殺した"。勿論これは言葉の綾というやつで実際に命を絶ったわけではないのだが、とにかく嫌だったのだ。師弟関係でありながらもあの人に恋慕の情を抱いてしまったことが、敬愛するはずの家族を一瞬でも妬んでしまったことが。自分の何もかもが醜く思え、終いには首に手をまわした。

 嫌なら殺してしまえばいい。この行為を悪く言う人など、誰もいやしないんだから。

儀式的で合法の殺人。自己満足なそれを屁理屈で正当化して、彼は生まれ直した"ことにした"。今まで使っていた「僕」という一人称も捨てて「俺」に変え、自覚のないまま演じ続けたのだ。初めからこうであったかのように。何事もなかったかのように。

 だがしかし。残酷なことに、近くにいた人間ほど小さな「変化」に気づいてしまうものなのだ。隠すように一人で背負い込んでいた罰なのか。何にしたって神様、俺はあなたのこと、一生をかけても好きにはなれないみたいです。ため息と共に確かな嫌悪感を吐き出した。

 (極めつけは、今朝のあれですよ)

 何度忘れようとしても、耳にこびりついた台詞を消し去ることはできなかった。少しずつ、少しずつ、ヴェールの心を蝕んでは黒く染めていく。大好きなあの人の、声。


『最近、さ....ちょっとヴェールが怖いんだ』


 いつもの如く。朝の挨拶をしようと師のもとへ向かっていたヴェールは、寸前の所で彼と、彼の想い人の会話を聞いてしまったのだ。恐怖心以上に弟子へ対する罪悪感が大きいらしい、彼の弱弱しい声を聞いて__嗚呼、やっぱり師匠は優しいんだなと、場違いなことを思った。

 そして同時に、自分の存在価値が...分からなくなった。だからきっと、あんな言葉が出てきてしまったのだろう。

(師匠が好いてくれるヴェールになることが、”僕”を殺した目的だったはずだ。なのになぜ...師匠に怖がられてる?こんなのヴェールじゃない、違う、違う!!!)

(何が悪かった?どうしてこうなった!?邪魔な敵倒して、勲章だって沢山取ったはずだ。それどころか、師匠から隊長の座を継いでから俺の部隊は負けなしだよ!?何が不満なんだよ、どうしたら...いつになったら!)

「ディオ兄じゃなくて俺を見てくれるの...?」

 掠れた声、だった。けれど、紛れもない”本心”。大切な人を傷つけまいと必死に隠してきた、自分でさえ見失っていた言葉。想い。心の底からの本音。何か温かいものが、冷たくなった頬を伝うのが分かった。

握りしめすぎて食い込んだ爪に血がにじむ。どうしようもない惨めさに襲われて、近くにあった毛布を手繰り寄せては顔を埋めた。無機物の有難さに涙が出そうだった。全ての人間に平等で、いついかなる時も柔らかく包んでくれる。醜い俺のことさえも。優しく。温かく。

(俺は...僕は、もう。師匠の傍にいちゃいけないのかもしれない)

 光を忘れた両の目は、彼に恐怖しか与えなかった。”僕”が理想とした”俺”すらも駄目なのだ。ヴェールは家族。そう思ってくれることに不満はない。ないと思うことにした、だけど。それでも...足りないと思ってしまう僕はもう、僕の手に負えない怪物だ。

 師匠を傷つけたくない。師匠の命に反したくない。だからこそ...

「貴方が要らないというのなら、僕は」

 喜んで関りを切りますと、ヴェール・ディサイプは笑った。

 泣きながら、笑った。


**********


これは、惨めな弟子が、大好きな師を思う話。


相変わらずの稚拙な文でゴメンナサイ。

ましになったと思いませんか...?え、気のせい??ですよねー。精進します....


文化祭が終わるのでもう書く少し時間が増えるはず!新作もたくさん書きたいので、お題があれば是非に!

読んで下さってありがとうございました!

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